ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『Into the Woods』2022.11.25.14:00 @St. James Theatre

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『Into the Woods』とは

1987年ブロードウェイ初演のミュージカル。

作詞・作曲はスティーヴン・ソンドハイム

脚本はジェームズ・ラパイン。

今回のプロダクションは2022年5月にニューヨーク・シティー・センターのEncores!シリーズの一環で上演されたものが好評だったため、同年6月ブロードウェイにトランスファーしたもの。

あらすじ

子宝に恵まれないパン屋の夫婦は、魔女にかけられた呪いを解くために、彼女に要求された品物ーー牛乳のように白い牛、血のように赤い頭巾、とうもろこしのように黄色い髪、黄金のように透明な靴ーーを探すことになる。

ジャック、赤ずきんラプンツェル、シンデレラらがそれぞれの思惑で行動する中、夫婦はなんとか期限内に全ての品物を揃え、子どもを授かる。

しかし、ジャックに殺された巨人の未亡人が怒り、下界を荒らすようになる。

登場人物たちは大切なものを失う中で、狼狽しつつも現実を受け止める。

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キャスト

Witch    Montego Glover

Baker's Wife    Stephanie J. Block

Baker    Brian D'arcy James

Cinderella's Prince/Wolf    Gavin Creel 『Hair』,  『Walk on Through: Confessions of a Museum Novice』

Rapunzel's Prince    Joshua Henry

Cinderella    Denée Benton

Jack    Cole Thompson

Little Red Ridinghood    Katy Geraghty

Narrator/Mysterious Man    David Patrick Kelly 『An Enemy of the People』

Cinderella's Mother/Granny/Giant    Annie Golden

Cinderella's Stepmother    Nancy Opel

Jack's Mother    Ann Harada 『Dear World』

Lucinda    Ta'nika Gibson

Cinderella's Father/Puppeteer    Albert Guerzon

Florinda    Brooke Ishibashi

Milky White/Puppeteer    Kennedy Kanagawa

Steward    Jim Stanek

Rapunzel    Alysia Velez

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感想

2年9ヶ月ぶりのブロードウェイでの観劇ということで選んだのがこちらの作品でした。

ニューヨーク・シティ・センターでのコンサート形式での公演をトランスファーしたものということで、舞台装置は簡素で、バックにオーケストラがいる状態、ただ役者は楽譜を持たずに演じるという形になっていました。

上手にジャック、下手にシンデレラ、真ん中にパン屋、というふうに棲み分けがされ、わかりやすかったですが、具体的な家のセットは登場せず、それぞれの上に、小さな家の形をしたものが吊り下がり、その家であることを示していました。

もちろん巨人の胴体も出てきません。(あ、でも足は出てきたかな?)

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ここまでコンサート形式に近いセットにも関わらず、作品の世界にグイグイと引き込まれたのは、ひとえに役者さんの力。

難解な楽曲を完璧に歌いこなすのはもちろん、コメディックで息の合った演技に魅了されました。

大袈裟でなく、毎秒の勢いで笑いが起きている状態でした。

それもそのはず、演じているのは最近のプロダクションでメインを演じ、トニー賞ノミネーションにも関わった実力派の面々。

個人的にはStephanie J. Blockが歌う「〜justifying the beans!!」を拝めただけで、もうここまで来た甲斐があったと思いました。

特に前半、パン屋の妻が物語を進めていくような部分があるので、とても重要な役なんですよね。

やはりStephanieさんだと安心感がありましたし、Brianさんとの掛け合いも良かったです。

魔女は本役のPatina Millerではなかったのですが、『Memphis』などのMontegoさんも素晴らしかったです。

後は、ずっと『Avenue Q』のOBCRでは聴いていたけれど実際お目にかかるのは初めてだった、Ann Haradaさん。

そういった長年の夢が叶って対面を果たせた方が多くいらっしゃり、そういう意味でも心の中は感動の嵐でした。

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観劇後の率直な感想としては、ここまで笑える作品だとは今まで全く思っていなかったなぁということ。

映像や書籍などを通してこの作品への理解が深まっていたことも影響していたかもしれませんが、映画版を観て二の足を踏んでしまっている方も、臆せずこの公演の扉を開いてみていただきたいです。

2023年1月8日まで上演予定です。

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