ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

ミューオタるんによる舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『浮かれ姫君(1935)』Naughty Marietta

Naughty Marietta (1935) - IMDb

『浮かれ姫君(1935)』とは

1935年のMGMによるミュージカル映画

1910年初演の同名のオペレッタ(邦題は『お転婆マリエッタ』)を基にしている。

ジャネット・マクドナルドネルソン・エディの初の共演作。

音楽はヴィクター・ハーバートによる。

監督はW・S・ヴァン・ダイク。

あらすじ

18世紀のフランス。

王女のマリーは親しみやすい性格で市民から愛されていたが、おじによって、好きでもないドン・カルロスと結婚することを決められてしまう。

何としてもカルロスとの結婚から逃げ出したいマリエッタは、カスケットガール・マリエッタに扮し、当時フランスの植民地だったアメリカ、ルイジアナ州に向かう船に乗る。

(カスケットガールとは国の補助を受けてルイジアナ州に住むフランス人男性と結婚するために渡航する女性たちのこと。)

航海中、マリエッタの乗る海賊に襲われ、危ないところをウォリントン大尉率いる一団に救われる。

最初はウォリントンに反発していたマリエッタだったが、孤独なルイジアナでの生活の中、徐々に彼に惹かれていく。

そんな折、マリー王女を探すパリからの使者がやってくる。

王女と大尉の仲を知った王女のおじは怒り心頭で、すぐに王女を連れてフランスへ帰るよう手配し、必要があれば大尉を殺すよう命令する。

キャスト

マリー王女/マリエッタ   ジャネット・マクドナルド

ウォリントン大尉   ネルソン・エディ

ダナール総督   フランク・モーガン

ダナール夫人   エルザ・ランチェスター

王女のおじ   ダグラス・ダンブリル

ジュリー   セシリア・パーカー

ドン・カルロス   ウォルター・キングスフォード

感想

政略結婚から逃れるためにパリからルイジアナ州まで身分を偽って旅した王女の物語。

元々はオペレッタで、舞台設定などはおおよそ同じで、その舞台音楽のうち数曲が本作でも使われています。

8つのミュージカル映画で共演したジャネット・マクドナルドネルソン・エディの相性は格別で、とてもロマンティックです。

▼trailer


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ジャネット・マクドナルドのソプラノとネルソン・エディバリトンのデュエットは聞き飽きることがありません。

この2人のようなオペラ的歌唱ができて、かつ、美貌を兼ね備えている俳優たちを他に知りませんし、稀有な存在だと思います。

「ダンスのアステア&ロジャース」であれば「歌唱のエディ&マクドナルド」とでも言えるのではないでしょうか。

それほどまでに彼らのケミストリーは特別だと思います。

▼「Italian Street Song」どうだと言わんばかりに歌声を披露するマリエッタが可愛らしい名シーン。


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そのため、私生活でも彼らが惹かれあったのは不思議ではないと感じました。

2人の不倫関係はマクドナルドの晩年まで続き、実際、彼女はエディの子を8回の妊娠しましたが、育て上げることは叶いませんでした。

当時は離婚はタブーとされていたようで、2人が結婚することはありませんでしたが、映画の中での演技とはいえ、その情熱を感じずにはいられず、観ているこちらまで熱くなってしまいます。

▼「Ah! Sweet Mystery of Life」


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この「Ah! Sweet Mystery of Life」と、「I'm Falling in Love with Someone」は2002年ブロードウェイで初演された『モダン・ミリー』Thoroughly Modern Millieで使われています。

どうりで聞き覚えがあるはずでした。

「Ah! Sweet Mystery of Life」は作品の最初の方でもマリーが数小節だけ歌うのですが、この時は未完成の状態で、ウォリントンとの出会いによって完成するという流れがとても良いです。

個人的にはマクドナルドの「プン!」と怒った表情が可愛らしくて好きです。

上に書いたようなミュージカルシーンだけでなく、海賊との戦闘などもあり、意外と最後までハラハラしながら観てしまいました。

 

『失われた地平線(1973)』Lost Horizon

Lost Horizon (1973) - IMDb

『失われた地平線(1973)』とは

1973年のコロンビアピクチャーズによるミュージカル映画

原作はジェームズ・ヒルトンの同名小説。

作曲はバート・バカラック、作詞はハル・デヴィッド。

監督はチャールズ・ジャロット。

あらすじ

ある国で革命運動が起こり、現地に滞在していたリチャードら一行は急遽帰国することになったが、飛行機がハイジャックされてしまう。

途中でエンジンが故障し、飛行機がヒマラヤの雪山に墜落したことでハイジャック犯は亡くなり、リチャードたちは寒さと孤独に怯えながらその場に取り残される。

そこにチャンが率いる旅の一団が通りかかり、リチャードらは彼らと一緒に旅を続け、シャングリラに辿り着く。

そこは俗世から切り離された桃源郷だった。

各々、次第に素朴な生活に慣れていくが、リチャードの弟ジョージだけはその場に馴染むことができなかった。

ジョージはシャングリラで出会った恋人のマリアと逃げ出そうとするが、ハンは「若く見えるマリアは実際には100歳を超えており、シャングリラを出ると元の年齢の姿に戻ってしまう」と忠告する。

しかしジョージはそれを信じず、リチャードも一緒に逃げ出すが、実際にはハンの言ったとおりマリアは年老いて亡くなる。

絶望と悲しみのあまり、ジョージは崖から落ちてしまう。

キャスト(歌唱部分の吹き替え)

リチャード   ピーター・フィンチ(ジェリー・ウィットマン)

キャサリン   リヴ・ウルマン(ダイアナ・リー)

サリー   サリー・ケラーマン

サム   ジョージ・ケネディ

ジョージ   マイケル・ヨーク

マリア   オリヴィア・ハッセーアンドラ・ウィリス)

ハリー   ボビー・バン

トーレン   ジェームズ・シゲタ

チャン   ジョン・ギールグッド

ハイ・ラマ   シャルル・ボワイエ

感想

思いがけず異世界に迷い込み、人生が変わってしまった人々の物語。

バート・バカラックが音楽を担当しているため、米盤を購入して観ましたが、なぜミュージカル映画にしようと思ったのか、最後まで腑に落ちない作品でした。

ただ豪華なセットや脇を固める豪華な役者陣は一見の価値があると思いました。

▼trailer


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シャングリラの豪華な宮殿や庭園のセットには目を見張るものがあります。

その点は美術さん、お見事です。

子どもたちがたくさん出てくるのですが、「The World Is a Circle」や「Question Me an Answer」といったナンバーは、エキゾチックでありながら『サウンド・オブ・ミュージック』的な世界観が広がっていて楽しかったです。

メインの役者たちはミュージカル映画の常連という顔ぶれではありませんが、意外にもサリー・ケラーマンは自身の声で歌っていて、なかなか好みでした。

あとは『フラワー・ドラム・ソング』などでお馴染みのジェームズ・シゲタさんもご自身の声で歌われていましたが、脇役でナンバーは少なめ。

布施明さんと出会う前のオリヴィア・ハッセーさんも出演していて、歌は吹き替えではありますが、日本舞踊のようなダンスも披露していてとても素敵です。

バカラック自身、「曲だけ単独で聴くといい曲なのだけれど、この話には合っていない」と話している通り、サントラとして聴く分にはいい曲なのだけれど、物語の途中で流れると違和感があることもありました。