『虹の女王(1949)』とは
1949年に公開されたワーナー・ブラザーズによる伝記ミュージカル映画。
1920〜1930年代にブロードウェイで活躍した女優マリリン・ミラーの半生を基にしている。
ミュージカルナンバーは彼女が出演した作品などからも採られている。
監督はデイヴィッド・バトラー。
あらすじ
マリリンは10代の頃から家族の一座でボードヴィルに出演し、得意のタップダンスや歌を披露していたが、ある時、ブロードウェイのショーに彼女だけ抜擢される。
彼女を妹のように可愛がっていたジャックは喜ぶが、ジャックに憧れていたマリリンは彼が既婚だと知り落ち込む。
マリリンは、ブロードウェイのショーでパートナー役を務めたフランクと親しくなり、彼が戦争から帰還した後、結婚する。
マリリンの初日には夫のフランクから象の置物がお守りとして贈られ、彼女はキャリアを積んでいく。
マリリンは、ジーグフェルドが製作するミュージカル『サリー』の主演をオファーされるが、スター女優になっていた彼女は皿洗いの女の役を演じるのを躊躇っていたが、夫の一言で出演を決心する。
しかし、『サリー』の公演初日に夫の姿はなかった。
事故で夫を亡くした後、サリーは病と向き合いながら舞台に立ち続ける道を選ぶ。
キャスト
マリリン ジューン・ヘイヴァー
ジャック レイ・ボルジャー
フランク ゴードン・マクレー
カーロ(マリリンの父) チャーリー・ラグルズ
マリリンの母 ローズマリー・ドゥキャンプ
クレア、ルース(マリリンの姉たち) リー・ワイルド、リン・ワイルド
ヘンリー ディック・シモンズ
シェンドルフ S・Z・サカール
ウォルター・キャトレット 本人
ヴァイオレット リリアン・ヤーボ
感想
マリリン・ミラーという名前自体、日本で生きているとあまり馴染みがありませんが、ブロードウェイの数々の舞台で主演した名女優として名前が残っているようです。
あらすじにおおよそ書きましたが、代表作としては1920年の『Sally』、1924年の『Peter Pan』再演、1925年カーンとハマースタインⅡ世による『Sunny』、1930年ガーシュウィンによる『Rosalie』、1930年にはフレッド・アステアと『Smiles』で共演しています。
アーヴィング・バーリンやジェローム・カーン、オスカー・ハマースタインⅡ世、ジョージ・ガーシュウィンといった当時ティン・パン・アレーを沸かせた音楽家たちの作品に主演し、彼らの作品を最初に世に披露した演者だった彼女の役は、この作品の他にも『雲流るるはてに(1946)』でジュディ・ガーランドによって演じられています。
本作のタイトルは1920年初演のミュージカル『Sally』の中のミュージカルナンバーに基づくもの。孤児のサリーが恵まれない境遇からダンスの才能を伸ばし、ついにはジーグフェルドに見出されてブロードウェイの舞台に立つというサクセスストーリー。「Look for the Silver Lining」は“どんな困難の中でも希望の兆し(silver lining)を探して生きていこう”というサリーの前向きな姿勢を歌ったナンバーです。
舞台上での姿とは対照的に、人生の後半になるにしたがって、夫の死や自身の病気など、彼女の苦悩が増えていくばかりですが、その時こそ、この歌の意味がより鮮やかに響きます。
『Sally』の映画化でもマリリンは主演しています。
▼trailer
見どころはレイ・ボルジャー*1のタップダンス・シークエンス。脇役ですが、彼のダンスにかなり尺が割かれています。主演のジューン・ヘイヴァーは飛び抜けたスター性を持ち合わせているわけではありませんが、ミュージカルシーンを可もなく不可もなくこなしています。