『Walk on Through: Confessions of a Museum Novice』とは
2023年11月にオフブロードウェイのMCC Theaterで初演されたミュージカル。
作詞・作曲・脚本は、ニューヨークを中心として活躍する舞台俳優Gavin Creel。
2019年1月、メトロポリタン美術館のライヴ・アート部門からの依頼を受け、2021年10月、メトロポリタン美術館でコンサート形式で上演された。その後、ワークショップなどを経て、今回の上演が決定した。
演出はLinda Goodrich。
あらすじ
ニューヨークに20年以上住んでいたが、Gavinはそれまでメトロポリタン美術館に行ったことがなかった。
Gavinは初めて足を踏み入れ、数々の美術品を鑑賞するうちに湧き上がる思いを歌にする。
キャスト
Gavin Creel 『Hair』, 『Into the Woods』
Sasha Allen 『Hair』
Madeline Benson
Chris Peters
Corey Rawls
Ryan Vasquez 『The Wrong Man』
Scott Wasserman
感想
Gavin Creelといえば、個人的には彼を初めて観た『Hair』でのClaude役のイメージが強いです。最近だと『Into the Woods』再演の王子役でしょうか。『Hello, Dolly!』のコーネリウス役ではトニー賞助演男優賞を受賞しています。
パフォーマーのイメージが強く、クリエイターのイメージはなかったので、今回自作自演のミュージカルに出ると聞きとても驚きました。
タイトルを直訳すると『歩いてみて(美術館初心者の告白)』みたいになるのかな。
今シーズンのMCC Theaterのラインナップはいずれも魅力的だったので、サブスクリプションを購入し、この作品も最前列センターから鑑賞しました。
▼trailer
▼2021年メトロポリタン美術館でコンサート形式で上演された時のsneak peak
センターにピアノがあり、両サイドにバンドが配置される舞台。
アンサンブルのほとんどはバンドメンバーを兼ねていて、演奏とコーラスをしながら主演とアイコンタクトと笑顔で意思疎通をとっていて、不思議な連帯感が出ていました。
みんな笑顔で互いに以心伝心な幸せな空間。
Gavinは時にしっとりとピアノで弾き語りをし、時に舞台だけでなく客席をも駆け回りながらパフォーマンスを繰り広げていました。
背景にはメトロポリタン美術館に展示されている絵画が映像で投射され、それらについてGavinは解説しながら、そのアート作品を初めて観た時の衝撃を歌で綴っていくというスタイル。(ソングサイクル・ミュージカルと言っていいのかな。)
それとともに彼の中で様々な記憶が蘇り、ゲイとしてカミングアウトした時、元彼との出来事などが思い返されます。
元彼を演じるのは最近、様々な作品で引っ張りだこのRyan Vasquez。彼はミュージカル『The Notebook』にもメインで出演することになっています。
芸術作品に対峙した時に沸き起こった感情が見事に16曲程度の音楽で表現されていて、いずれも素晴らしかったです。
Gavinの新たな才能を垣間見ることができました。
願わくばいつか、このキャストレコーディングを出してほしいものです。
▼カーテンコール