ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『フットライト・パレード(1933)』Footlight Parade


『フットライト・パレード(1933)』とは

1933年のワーナーブラザーズによるミュージカル映画

原案はロバート・ロードなど。

音楽は「Lullaby of Broadway」などを手がけたハリー・ウォレン、「Love Is a Many-Splendored Thing (慕情)」などを手がけたサミー・フェインらによる。

監督はロイド・ベーコン。ミュージカルシーンはバズビー・バークリーが担当した。

あらすじ

トーキー映画が全盛となり、舞台芸術は衰退するのではと危惧されていた時代。

舞台演出家のチェスターは、映画が上映される前に上演されるプロローグを任されるようになるが、情報が漏洩しいくつものアイデアを競合相手に盗まれ、振付師のフランシスを怒鳴り散らすばかり。

チェスターの秘書ナンは彼に恋しているが、チェスターは全くそれに気づいていない。

役者のスコットは元ダンサーの秘書ビーに出会って親しくなり、その後、ビーは再びダンサーとして復帰する。

ナンの昔の知り合いヴィヴィアンが突然やってきてチェスターと親しくなったり、チェスターの元妻が金の無心でやってきたりして、ナンはやきもきする。

そんな中、アナポリス映画館での仕事を決めるため、チェスターは情報漏洩しないよう厳戒態勢の中、3作のレビューを仕上げにかかる。

キャスト

チェスター   ジェームズ・キャグニー

ナン   ジョーン・ブロンデル

ビー   ルビー・キーラー

スコット   ディック・パウエル

フランシス   フランク・マクヒュー

グールド   ガイ・キビー

グールド夫人   ルース・ドネリー

チャールズ   ヒュー・ハーバート

ヴィヴィアン   クレア・ドッド

感想

ジェームズ・ギャグニーが初めて踊った映画であり、バズビー・バークリーの真骨頂であるマスゲーム的なミュージカルシーンが見どころのミュージカル映画です。

ルビー・キーラーとディック・パウエルは、バズビー・バークリーの関わる映画でカップル役として出演するのは3作目となり、今回も息のあったパフォーマンスを見せてくれます。

音楽はハリー・ウォレンやサミー・フェイン*1といった数々の名曲を生み出すソングライターが手がけているだけあり、印象的なナンバーが揃っています。

主演のジョーン・ブロンデルはミュージカルシーンはありませんが、恋敵に嫉妬しつつも思いを寄せるチェスターに健気に尽くす演技が可愛らしかったです。

▼trailer


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猫のコスチュームで猫の動きを真似てダンスする「Sitting on a Backyard Fence」、新婚旅行あるあるを綴った「Honeymoon Hotel」など、特徴的なテーマのレヴューが楽しめました。

特筆すべきは300人超の美女で構成されたhuman waterfallや、上から見ると万華鏡のように映える水中群舞といったバズビー・バークリーらしさが存分に発揮された「By a Waterfall」。エンターテイメントというより、もはや美術館に展示された芸術作品のよう。見事です。

▼「By a Waterfall」


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最終ナンバーの「Shanghai Lil」では役者が降板して急遽、演出家のチェスターが代役で主役を演じていますが、今の時代に観るとイエロー・フェイスなど問題のある描写の数々が見られます。

▼「Shanghai Lil」


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哀愁を帯びたこのナンバーは日本語歌詞が付けられ、何度も日本語でカヴァーされているようです。

上海リル

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  • 川畑文子
  • ジャズ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

*1:サミー・フェインは『ピーター・パン』や『ふしぎの国のアリス』といったディズニー映画の音楽も手がけたことでも有名です。