『恋愛準決勝戦(1951)』とは
1951年公開のMGMのミュージカル映画。
フレッド・アステアのコート掛けと踊るシーンや、壁や天井に足をつけて踊るシーンなど、『ザッツ・エンターテイメント』に抜粋された代表的なミュージカルシーンがある。
バートン・レイン作曲、アラン・ジェイ・ラーナー作詞による音楽は、アカデミー賞歌曲賞にノミネートした。
劇中歌「How Could You Believe Me When I Said I Love You When You Know I've Been a Liar All My Life」は、MGMミュージカル映画史上で最も長いタイトルを持つナンバーである。
おなじみのミュージカル映画俳優に加わり出演するサラ・チャーチルは、イギリス首相であったウィンストン・チャーチルの次女である。
監督はスタンリー・ドーネン。
あらすじ
トムとエレンの兄妹は、ブロードウェイのショーで名を上げ、プライベートも充実している。
ある日、イギリス王女の結婚を記念したショーに出るため、ロンドンに向かうこととなる。
ロンドン行きの船の中で、エレンは貴族の家柄のジョンと出会い、互いに気になる存在となる。
一方、トムはロンドンの街角でたまたま出会ったアンに夢中になる。
街の祝賀ムードとともに、それぞれの恋模様は盛り上がっていく。
キャスト
トム・ボーウェン フレッド・アステア
エレン・ボーウェン ジェーン・パウエル
ジョン・ブリンデール卿 ピーター・ローフォード
アン・アシュモード サラ・チャーチル
アーヴィング/エドガー・クリンガー キーナン・ウィン
感想
本作は、いくつかのフレッド・アステアの代表的なダンスシーンがあることで有名ですが、ジェーン・パウエルの七変化、秀逸な音楽など、非常に見どころの多い作品だと思います。
▼trailerです。
Royal Wedding Official Trailer #1 - Keenan Wynn Movie (1951) HD
バートン・レインは『フィニアンの虹』などを手がけた作曲家ですし、アラン・ジェイ・ラーナーはフレデリック・ロウとのコンビと『マイ・フェア・レディ』や『キャメロット』を手がけた作詞家です。
彼らは本作でアカデミー賞にノミネートされるだけある美しいメロディを何曲も書いています。
バラードからダンスナンバー、コメディ調のものまで様々です。
冒頭の「Every Night At Seven」はその後brush upされ、ブロードウェイで再演された『晴れた日に永遠がみえる』で追加曲としてJessie Muellerに歌われており、時代を経ても色あせない魅力溢れる楽曲であることがわかります。
また、アステアの創意工夫溢れるダンスシーンは『ザッツ・エンターテイメント』など他作品でも見ることができるほどiconicです。
▼フレッド・アステアの「You're All the World to Me」
Dancing On The Ceiling 1951 (Fred Astaire)
フレッド・アステアの相手役を演じたのは、ジェーン・パウエル。
『掠奪された七人の花嫁』では年上の気丈な女性を演じていますが、本作では誰にでも愛される、ワカメちゃんのような妹像を演じています。
アステアとの掛け合いも非常に微笑ましく、実の兄弟のような無邪気さなのです。
アステアとパウエルのダンスシーンはもちろん見事なのですが、男女の仲には見えないのが、うまいなあと何度見ても思います。
本作のジェーン・パウエルは基本的には妹キャラなのですが、ステージ上ではエキゾチックな美女になったり、強気な彼女になったりと、様々な表情を見せてくれます。
そういう意味では、ジェーン・パウエルのための映画のように私は感じました。
▼ジェーン・パウエルの歌うバラード「Too Late Now」
サラ・チャーチルは、イギリス王室関連ということで友情出演となったのか、やはり一人だけレベルが違うというか素人ですね。
ダンスも長い手足を棒のように振り回しているだけですし、演技も可哀想になるほどでした。