『Sondheim's Old Friends』とは
スティーヴン・ソンドハイムの手がけたミュージカル作品群に関するコンサート。
考案はキャメロン・マッキントッシュ。振付はStephen Mear。
演出はマシュー・ボーン。
キャスト
Lea Salonga
Christine Allado
Clare Burt
Janie Dee
Damian Humbley
Bradley Jaden
Bonnie Langford
Gavin Lee
Jason Pennycooke
Joanna Riding
Jeremy Secomb
Jac Yarrow
Marley Fenton
Beatrice Penny-Touré
Harry Apps
Bella Brown
Richard Dempsey
Monique Young
感想
ミュージカルは作品として楽しみたい気持ちが強いので、ミュージカルナンバーを寄せ集めたものであったとしてもコンサートにはあまり行かないのですが、SNS界隈の米ミュージカルファンたちがこぞって観に行っていて、大変評判が良かったので、マチネで行ってみることにしました。
なんだかんだ言って、生まれて初めてレア・サロンガのパフォーマンスを目の当たりにできることも楽しみでした。
ソンドハイムの冠コンサートなので、ソンドハイムが作詞も作曲も手がけたミュージカル作品全てから少しずつ選曲されているのかと思っていたら、割と偏っていて、ソンドハイムが作詞のみ手がけた作品からも選曲されていました。
歌われたナンバーは以下の通りです。
Act Ⅰ
Sunday in the Park With George - Sunday in the Park with George
Side By Side - Company
Comedy Tonight - A Funny Thing Happened on the Way to the Forum
Company - Company
The Little Things You Do Together - Company
You Could Drive A Person Crazy - Company
Live Alone and Like iIt - Dick Tracy
Loving You - Passion
Getting Married Today -Company
Into The Woods - Into the Woods
On The Steps Of The Palace - Into the Woods
Agony - Into the Woods
I Know Things Now - Into the Woods
Hello, Little Girl - Into the Woods
Children Will Listen - Into the Woods
A Weekend in the Country - A Little Night Music
Send In The Crowns - A Little Night Music
The Ballad of Sweeney Todd - Sweeney Todd
The Worst Pies in London - Sweeney Todd
My Friends - Sweeney Todd
Pretty Women - Sweeney Todd
A Little Priest - Sweeney Todd
The Ladies Who Lunch - Company
Sunday - Sunday in the Park with George
Act Ⅰは『Company』や『Into the Woods』からの選曲が多く、印象的でした。
『Company』はコンサート用のシンプルな衣装、『Into the Woods』は実際のミュージカルに寄せた衣装をみなさん身につけていました。
「Ladies Who Lunch」はやはりパティ・ルポーンで見たかったですね。*1 まあ、キャメロン・マッキントッシュが仕掛けたコンサートですし、そうなるとALWの息もかかっているから、パティは絶対に登場するはずないなと思ってはいたんですけれどね。
『Into the Woods』の赤ずきんちゃんがバーナデット・ピーターズ、狼がブラッドリー・ジェイデン、という組み合わせが面白かったです。
ブラッドリー・ジェイデンは『Les Miserables』でジャヴェールなどを演じている方で、御婦人用化粧室の列では専ら「あのホットな彼はどなた?」と噂されていました。
『Sweeney Todd』ではレア・サロンガがラヴェット夫人をコミカルに演じていて、前半で歌った「Loving You」と対照的でした。
今年2023年6月にブロードウェイで、大きなオーケストラ編成の『Sweeney Todd』再演を観たばかりだったので、このコンサートを観て、改めて2023年ブロードウェイ再演のオケ編成の偉大さを痛感しました。
1曲だけマイナーなナンバー「Live Alone and Like It」がありましたが、この曲は映画『ディック・トレイシー(1990)』(ミュージカル映画ではない)のなかで使われました。ソンドハイムはこの映画のために5曲提供しているそうです。
ということで、Act Ⅰは全てソンドハイムが作詞・作曲ともに手がけた音楽だったかと思われます。
Act Ⅱ
Entr'acte - Overture from Merrily We Roll Along
Somewhere - West Side Story
Tonight Quintet - West Side Story
Broadway Baby - Follies
Everybody Ought To Have a Maid - A Funny Thing Happened on the Way to the Forum
You Gotta Get A Gimmick - Gypsy
Waiting For The Girls Upstairs - Follies
I'm Still Here - Follies
Could I Leave You? - Follies
Buddy's Blues - Follies
The Boy From... - The Mad Show
Losing My Mind - Follies
Everything's Coming Up Roses - Gypsy
Not A Day Goes By - Merrily We Roll Along
Being Alive - Company
Old Friends - Merrily We Roll Along
Side By Side Finale - Company
Love Is In The Air written and performed by Stephen Sondheim
Act Ⅱはソンドハイムが作詞のみ手がけ、他の作曲家と共作した作品からのナンバーも盛り込まれていました。
レア・サロンガが『Gypsy』のRoseを演じていて、次のブロードウェイ『Gypsy』再演での主演の青写真が見えました。やはり圧倒的でしたね。ぜひパティの次のRoseに。
『Follies』の「I'm Still Here」も貫禄のある役者さんが歌うべきナンバーだなと改めて思いました。ということで、このコンサートと関係はないけれど、パティ・ルポーンの歌う「I'm Still Here」を貼っておきます。
マイナーどころとして、「The Boy from...」というボサノヴァの名曲「イパネマの娘」を題材にしたナンバー。こちらは『The Mad Show』というメアリー・ロジャースとの共作で手がけたナンバーです。大爆笑でした。
幸運なことに、バーナデット・ピーターズの歌う「Losing My Mind」を再びみることができました。以前、ブロードウェイでの『Follies』再演で拝見したことがあったのですが、シンプルな歌詞とメロディが心に沁み入って大変感動した思い出があります。その後、さまざまなレコーディングを聴いてきましたが、個人的にはこの曲はバーナデット、というイメージが強いです。
「Not A Day Goes By」ではバーナデットが歌いながら、スクリーンにソンドハイムの幼少期からの写真の数々がスライドショーで映されました。
最後の「Love Is In The Air」は元々『A Funny Thing Happened on the Way to the Forum』のナンバーでしたが、ミュージカルではカットされたようです。
マシュー・ボーンが演出でしたが、特にバレエを意識するシーンはなかったかと思います。そこまでダンスというダンスはありませんでした。
こうして物語の流れから離れてソンドハイムの楽曲に触れると、物語の中の音楽ではあるけれど、単体でスタンダードナンバーとして自立してもいて、歌詞を噛み締めながら普遍的だなぁと感じました。
贅沢な時間に感謝です。