『Close-Up The Twiggy Musical』とは
2023年に初演されたツイッギーについての伝記的なジュークボックス・ミュージカル。
ツイッギー自身とは必ずしも関連しているとは言えない既成曲のみで構成されている。
脚本・演出はBen Elton。
あらすじ
ツイッギーの両親の出会いの場面から始まり、田舎町の学生時代から16歳でモデルとなり、歌手とスターダムを駆け上がる様子が描かれる。
ヴィルヌーヴとの交際を経て、最初の夫マイケル・ウィットニーと結婚するものの、夫のアルコール依存症が原因で離婚し、シングルマザーとなるなど、紆余曲折ありつつ、映画や舞台で女優としてのキャリアを築く。
キャスト
Twiggy Harriet Bunton
Norman Hornby Steven Serlin
Nell Hornby Hannah-Jane Fox
Cindy Aoife Dunne
Sally Beth Devine
Kay Lauren Azania AJ King-Yombo
Justine de Villeneuve Matt Corner
Michael Witney Darren Day
感想
これまでずっと名前だけ知っていたメニエール・チョコレート劇場を初めて訪れることができました。
今回観たのは女優、モデルなどとして知られるツイッギーについての伝記ミュージカル。
日本でもモデルをしていたそうなので、ご存知の方もいらっしゃるかと思われますが、ミュージカル関連ですと、やはりミュージカル映画『ボーイフレンド(1970)』への主演やミュージカル『My One and Only』でのトミー・チューンとの共演が有名でしょうか。
私はこの2作品でしか彼女を知りませんでした。
▼trailer
ツイッギーが狂言回しとなり、自身の人生を回想する形で話が進んでいきました。
ジュークボックスミュージカルで、音楽は全て既成曲ですが、それらはツイッギー自身が歌ったというものではなく、基本的に当時流行っていた楽曲だったようです。ポピュラー音楽が中心。
そしてミュージカルシーンに入る時に逐一、「こちらは196X年に流行していた・・・という歌です」とツイッギーから解説が入るのですが、これが非常に興醒め。
この解説によって、芝居とミュージカルシーンが分断されてしまっていました。
ツイッギーによる解説はミュージカルシーンに限らず、例えば「10代の頃に痩せていることがとても嫌で自分の身体をとても醜いと思っていた。これは今でいう身体醜形障害ね」などという「これは今でいうところの・・・」という説明が随所にあり、やや鼻につきました。
また、ツイッギーの母が産後うつで、電気けいれん療法を受けることになるのですが、その具体的な治療場面が舞台上で再現されていて、観ている側としてはただただつらかったです。
実際に行われたとしても具体的な行為自体は描かずに仄めかす程度に留めておけばよかったのに、と思わざるを得ませんでした。
概してジュークボックスミュージカルはどちらかというと苦手な私ですが、最近は工夫を凝らした作品が出てきて個人的に評価が上がっていたものの、本作はこれまで観てきたジュークボックスミュージカルのなかで最悪の部類に入るものでした。
何より、ツイッギーという人物の人生の機微を捉えきれておらず、全てが中途半端で残念でした。
そもそもツイッギーの人生が物語として面白いものか、ということもありますが、見せ方の問題だと思います。特に脚本。
加えて、振付も手足をブンブン振り回すだけで面白みを見出せませんでした。