ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『リトル・ナイト・ミュージック(1977)』A Little Night Music

Musical film

A Little Night Music (1977) - IMDb

『リトル・ナイト・ミュージック(1977)』とは

1977年のアメリカ・西ドイツ・オーストリア合作のミュージカル映画。

1973年にブロードウェイで初演された舞台ミュージカルを映画化したもの。

作詞・作曲はスティーヴン・ソンドハイム。

オリジナルの舞台版の楽曲に加えて、新たに「The Glamorous Life」が書かれた。

監督は舞台版で演出・製作を務めたハロルド・プリンス。

あらすじ

19世紀末のスウェーデン。

中年の弁護士フレデリック・エーガマンは、18歳のアンと再婚したもののなかなか手を出せず、結婚11ヶ月経った今もアンは処女のまま。

息子のヘンリックは、密かに一歳下の義母アンに恋心を抱いていた。

ある日、芝居を観に行ったフレデリックとアン。

主演女優のデジレ・アームフェルトが実はフレデリックの昔の恋人であることを察したアンは泣きながら席を立つ。

純粋すぎるアンに疲れたフレデリックは、ついデジレのもとへ。

14年ぶりの再会を果たした二人がまたも惹かれあったところにデジレの現在の恋人で乳房持ちのカールマグナス・マルコム伯爵が突然訪れる。

伯爵は二人の仲を怪しみ、妻シャーロットにフレデリックを調べるよう命令する。

アンがメイドのペトラと家に居るところへ、シャーロットが訪ねてくる。

やがてアンとシャーロットは共通の目的のため一致団結することに…

その後、フレデリックのことが気になるデジレは、母親のマダムと娘のフレデリカ、執事のフリードが暮らす田舎の屋敷に、フレデリック一家を招待する。

それを知った伯爵夫妻も屋敷へと向かう。

ついに顔を合わせることになった女たちと男たち。

それぞれの思惑を抱きながら、一夜を共にすることになるが…

キャスト

デジレ　　　エリザベス・テイラー

シャーロット　　　ダイアナ・リグ

フリードリヒ　　　レン・キャリオー

アン　　　レスリー＝アン・ダウン

アームフェルド夫人　　　ハーマイオニー・ギンゴールド

カール・マグナス　　　ローレンス・ギタード

エーリッヒ　　　クリストファー・ガード

ペトラ　　　レスリー・ダンロップ

フリド　　　ハインツ・マレセク

フレデリカ　　　クロエ・フランクス

指揮者　　　ジョナサン・チューニック

感想

日本ではディスク化されていないため、米盤を購入して観ました。

優雅なワルツが表しているように、上流階級の恋のから騒ぎを描いた作品です。

作品が始まる時はみんな片想いの状態ですが、田舎での週末を経て、みんな落ち着くところに落ち着きます。

一部にブロードウェイのオリジナルキャストを配していることからも、ハロルド・プリンスは舞台版を尊重したかったのだろうと感じました。

劇場に人が集い、幕が上がるオープニングは、これから始まるお話はあくまで物語であるということを示しているのかなと思いました。

お話の内容は舞台版とほぼ同じかと思います。

追加された「The Glamorous Life」が追加されたこれまでレコーディングを聴いてきたので、違和感がなかったのかもしれません。

ハロルド・プリンスの真面目な性格が表れているなと感じましたし、私は好きでしたが、やはり「映画」としての面白みには欠けるのかなと思いました。

ただヨーロッパのロケーションや家具などの家の中の様子は素敵でした。

エリザベス・テイラーは70年代はミュージカル映画に意外と出ていますが、本作では歌声を披露しています。

「Send In The Clowns」は元々グリニス・ジョーンズのためにソンドハイムが書いた曲で、彼女はこの役でトニー賞を受賞しています。

グリニスはハスキーで必ずしも美声ではありませんが、その特徴的な声が映えるようにと作曲されています。

エリザベス・テイラーは歌手ではないですが、この歌に関してはまずまず良かったのではないかと思います。

その他の役者もシャーロット役以外はまずまず聴くことができました。

「Weekend in the Country」のカメラカットも自分で想像していた通りで、とても良かったです。