『スタア誕生(1954)』とは
1954年のワーナー・ブラザーズによるミュージカル映画。
1937年の同名映画をミュージカル化したもの。
同作は1976年にバーブラ・ストライサンド主演、2018年にレディー・ガガ主演でリメイクされている。
ジュディ・ガーランドはアカデミー賞にノミネートされたが受賞には至らなかった。
監督はジョージ・キューカー。
あらすじ
スターに憧れて上京してきたエスターは、大スターであるノーマンと知り合い、歌手としてデビューする。
しかし、次第にエスターの人気が高まり、ノーマンは酒に溺れる日々を過ごすようになり、2人の関係に溝が生まれ始める。
キャスト
エスター(ヴィッキー) ジュディ・ガーランド
ノーマン ジェームズ・メイソン
マット ジャック・カーソン
オリヴァー チャールズ・ビックフォード
ダニー トミー・ヌーナン
感想
ジュディ・ガーランドの実質的には最後の出演映画と言っていいのではないかと思います。
この作品公開時、彼女は32歳ですが、若年期からの薬物依存の影響もあるのか、全盛期の輝きはありません。
しかし、紆余曲折を経て演技や歌声に深みが増しているように感じられました。
▼trailer
約3時間と長尺ですが、ジュディのミュージカルシーンがたくさん盛り込まれていて、飽きることがありません。
特にハロルド・アーレンとアイラ・ガーシュウィンが手がけた「The Man That Got Away」のシーンは非常にiconicです。
ハロルド・アーレンは『オズの魔法使』で使われた「虹の彼方に」の作曲者でもあり、この曲はジュディへの作曲家からのラブレターのように聴こえました。
個人的には人生を振り返る「Born In a Trunk」がまさにジュディの人生そのもののようで、観るたびに涙が出てきてしまいます。
一部のフィルムが紛失してしまったようで、部分的にスティル写真で補われています。
やっぱりみんなこの題材が好きなんですね。
この後、バーブラ・ストライサンドやレディ・ガガも同じ題材でリメイク映画を出していますし。
きっとジュディはこの作品を肉体的/精神的にぎりぎりのところで撮っていたんだと思います。
薬やアルコール中毒のために、やや朦朧状態で撮影に臨んでいたのだろうけれど、長年のキャリアで身体に染み付いたダンスのキレを見ると、やはりさすがだなと感じました。
よくがんばったねと声をかけてあげたい気持ちです。
ファンとしてはオスカーを獲らせてあげたかったですし、本人もそのつもりだったでしょう。
この作品にしてこの役柄ですから、意識していないはずはないですし、その意気込みを感じる熱演でした。
しかし、残念ながらそれが叶うことはありませんでした。
それはジュディの死後、娘のライザ・ミネリが果たしてくれましたから、きっとジュディは草葉の陰で喜んでいることだろうと思います。
いつまでも私にとってジュディはミュージカル映画界のアイドルなので、これからも繰り返し観る作品の一つになるだろうと思います。