ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『グッド・オールド・サマータイム(1949)』In the Good Old Summertime

『グッド・オールド・サマータイム(1949)』とは

1949年のMGMによるミュージカル映画

原作は1937年に発表されたMiklós Lászlóによる戯曲「Parfumerie」で、舞台をシカゴに変更している他、香水店から楽器店に変更している。

同じ原作を持つ映画に『桃色の店(1940)』や『ユー・ガット・メール(1998)』がある。

また、同じ原作を持つ舞台ミュージカルに『She Loves Me』がある。

タイトルナンバーはジョージ・エヴァンス作曲、レン・シールズ作詞で、1902年に初演された舞台ミュージカル『The Defender』の中で最初に使われた。

ジュディ・ガーランドの娘であるライザ・ミネリは、まだ赤ん坊ではあったが本作で映画デビューを飾った。

監督はロバート・Z・レナード

あらすじ

舞台は1900年代初期のシカゴ。

オバークーゲンの楽器店に勤めるアンドリューは、道端でぶつかったヴェロニカに名刺を渡す。

アンドリューとぶつかったことで面接がうまくいかなかったヴェロニカは、仕事中のアンドリューを訪ね、オバークーゲンの楽器店で働くことになる。

初対面の印象が良くなかった2人はその後も頻繁に喧嘩する。

一方で、ヴェロニカには文学作品などの知的な会話を楽しむ名前も知らないペンパルがいた。

実はこのペンパルこそアンドリューで、2人は互いに知らない間に惹かれあっていた。

文通相手と遂に会うことになるが、店の外からみたアンドリューは相手がヴェロニカだと知ってしまう。

キャスト

ヴェロニカ   ジュディ・ガーランド

アンドリュー   ヴァン・ジョンソン

オットー・オバークーゲン   S・Z・サカール

ネリー   スプリング・バイイントン

ルディ   クリントンサンドバーグ

ヒッキー   バスター・キートン

アディー   リリアンブロンソン

ルイーズ   マルシア・ヴァン・ダイク

感想

繰り返し映画化や舞台化されている戯曲を基にした、ジュディ・ガーランドとヴァン・ジョンソン主演のミュージカル・コメディ。

楽器店での楽器の実演のシーンや店主の婚約パーティーの余興のシーンで、ジュディが歌い踊ります。

音楽はあらすじと直接関わりがなく、物語の延長線上のミュージカルシーンはなく、あくまで脚本頼りのミュージカル映画という印象で、同時代のMGM作品の音楽と比べてキャッチーさには欠けます。

ただ、まだ元気で幸せそうなジュディの姿をカラーで観られるだけで十分というものです。

主演が予定されていたジューン・アリソンが妊娠のため降板し、代わりにジュディに白羽の矢が立ち出演する運びとなりました。

健康的なジュディの表情が見られるのは本作が最後といっても過言ではなく、この次に主演予定だった『アニーよ銃を取れ』では薬物中毒に伴う体調不良などが原因で降板しています。

 ▼trailer


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ジュディの歌うクリスマスナンバーといえば『若草の頃(1944)』の「Have Yourself a Merry Little Christmas」がすぐに思い浮かびますが、この作品の中でも「Merry Christmas」というナンバーを歌っています。