『アニーよ銃をとれ(1950)』とは
1950年公開のMGMのミュージカル映画。
実在のアニー・オークリーの人生をモデルにした、1946年ブロードウェイ初演の同名の舞台ミュージカルを基にしている。
ブロードウェイ初演時のアニー役はエセル・マーマン。
音楽はアーヴィング・バーリン。
その後、MGMの他のミュージカル映画にも何度も登場する「There's No Business Like Show Business」はもともとこのミュージカルのために書かれたもの。
当初アニー役はジュディ・ガーランドが演じる予定だったが、体調不良による頻繁な遅刻などのため途中で降板し、代役としてベティ・ハットンが演じた。
アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞した。
あらすじ
バッファロー・ビル率いるワイルド・ウェスト・ショーが興行中、看板役者フランク・バトラーを銃の腕前で上回るものに賞金を出すコンテストが開かれていた。
チャーリーはたまたま出会った、田舎から出てきた埃まみれのアニーの稀有な銃の才能を見出し、そのコンテストに参加させ、アニーは見事に勝利する。
アニーは、フランクに一目惚れしてしまうが、フランクの理想の女性像を聞き、それが自分とはかけ離れたものであると知る。
バッファロー・ビルにスカウトされたアニーは、フランクのそばに居られることを喜び、一座に加わり旅巡業に出る。
いく先々で大評判のアニーは、フランクの理想の女性像に近づこうと、身だしなみに気を配るようになる。
しかし、アニーの腕前に当初は感心していたフランクだったが、徐々に嫉妬するようになるのだった。
キャスト
アニー・オークリー ベティ・ハットン
フランク・バトラー ハワード・キール
バッファロー・ビル ルイ・カルハーン
チャーリー・ダヴェンポート キーナン・ウィン
ドーリー・テイト ビネイ・ヴェヌタ
酋長 J・キャロル・ネイシュ
ポーニー・ビル エドワード・アーノルド
感想
今日は何回も観ているこの作品について書いておこうと思います。
男勝りのアニーの恋愛物語はとても面白いですし、アーヴィング・バーリンの名曲がちりばめられたミュージカル映画の名作だと思います。
▼trailerです。
Annie Get Your Gun - Trailer #1
舞台版ではエセル・マーマンの代表作として知られています。
最近では1999年のバーナデット・ピータース版をご覧になられた方もいらっしゃるかもしれませんね。
ジュディ・ガーランドが演じることになっていましたが、このころはもう薬物中毒の渦中でもがき苦しんでいた時期でしょう。
残念ながら、相次ぐ遅刻や製作陣との衝突が続き、降板となってしまいました。
ジュディは同じく1950年公開の『サマー・ストック』を最後にしばらくハリウッドからは遠ざかります。
次に彼女をみるのは、1954年の『スタア誕生』まで待たなければなりません。
また、バッファロー・ビルも『オズの魔法使』のオズの魔法使い役の俳優が演じる予定でしたが、撮影途中で急死してしまったので、代役が立てられました。
参考までにジュディ・ガーランド版も載せておきます。
▼降板させられたジュディ・ガーランドによる「Doin' What Comes Naturally」
Doin' What Comes Natur'lly - Judy Garland
ジュディの降板により、ベティ・ハットンが代わりに演じることになりました。
ジュディはジュディでいいのですが、個人的にはベティ・ハットンの溌剌とした活気のあるアニーが私は大好きです。
フランクに一目惚れしてしまう演技も、裏表のないアニーらしく、とてもわかりやすくて可愛らしいですし。
ミュージカル界の大スターであるジュディ・ガーランドの代役なんて、大そう緊張したことでしょうが、ハリのある歌声や体を張った演技と、その役割を全身全霊で全うしていることがわかります。
特に、「Anything You Can Do」は負けず嫌いのアニーの性格がよく表れているiconicな一曲です。
このシーンは何回見ても笑ってしまいます。
それと同時に彼ら2人の役者魂が衝突しているようにも見え、そのperformanceに圧倒されます。
▼ベティ・ハットンとハワード・キールによる「Anything You Can Do」
"Anything You Can Do" from Annie Get Your Gun (1950)
今この作品を見ると、最後はフランクのために試合にわざと負けてあげて、気に入ってもらおうというアニーに、やはりちょっと古いなと感じてしまう部分もあります。
ただ男社会で生きていると、女が一枚、二枚上手で、男をうまく操るなんていうことはよくあるので、時代が変わっても男女の仲というのは変わらないものだなとも思いました。
才能ある女は常に賢くあれ、ということでしょうか。
最後になりますが、ハワード・キールの新人とは思えない堂々とした存在感にも驚かされます。
本作でハリウッドデビューを飾ったキール。