『ドリトル先生不思議な旅(1967)』とは
1967年に公開された20世紀FOXによるミュージカル映画。
ヒュー・ロフティングによる児童小説「ドリトル先生」シリーズのいくつかの作品を基にして製作された。
アカデミー賞で視覚効果賞、歌曲賞の2部門を受賞した。
音楽はライオネル・ニューマンらによる。
監督はリチャード・フライシャー。
あらすじ
イギリスの片田舎に住み、人付き合いが苦手な菜食主義者のドリトル先生は、動物の言葉をいくつも話すことができ、獣医として動物たちに愛されている。
妹や周りの人々にとって、ドリトル先生は風変わりな変人にしか見えない。
しかし、マシューやトミーといったごく少数の理解者に囲まれながら、ドリトル先生は動物たちの診療や動物語学の研究に明け暮れていた。
ある日先生は、大海かたつむりを見つける旅に出ることを決意する。
旅の資金作りに、贈り物でもらったオシツオサレツという双頭のラマのような生き物をサーカス団に売り込む。
目論見は当たり、大金を手にするが、北極にいる夫に会えずに悲しんでいるサーカス団のアザラシを、必死の思いで海に逃がしてやる。
しかし、それを「人を海に投げ入れた」と勘違いされ、裁判にかけられたドリトル先生は、殺人の疑いは晴れたものの、動物への異常な執着を理由に精神病院送りが決まる。
マシューやトミー、そして裁判長の娘で先生に想いを寄せるエマや動物たちの助けがあり、ドリトル先生は病院への搬送中に脱出し、大海かたつむりの旅に出かけるのだった。
キャスト
ドリトル先生 レックス・ハリソン
エマ・フェアファックス サマンサ・エッガー
アルバート・ブロッサム リチャード・アッテンボロー
マシュー・マグ アンソニー・ニューリー
ベロウズ将軍 ピーター・ブル
トミー・スタビンス ウィリアム・ディックス
ウィリアム・シェイクスピアⅩ ジェフリー・ホールダー
ブロッサム夫人 ミュリエル・ランダース
サラ・ドリトル ポーシャ・ネルソン
感想
この作品は、幼少期にテレビで、週末の午後のロードショーのような番組で観た記憶がおぼろげにあります。
最近になって、最初から改めて観てみました。
『マイ・フェア・レディ』のヒギンズ教授役でお馴染みのレックス・ハリスンが、ドリトル先生を熱演しています。
▼trailerです。
Doctor Dolittle (1967) ORIGINAL TRAILER
60年代の映画ということで、CGによる特殊効果は全くなく、非常にアナログですが、手作り感満載のセットの数々が登場します。
限られた状況下での人間の創意工夫が発揮されている感じがするので、私はこの手のものが割と好きです。
レックス・ハリスンは『マイ・フェア・レディ』と同じように、台詞を言うように歌う歌い方でした。
一部の終盤の裁判のシーンで、「人間も動物だ」と凛々しく歌い上げるドリトル先生ですが、二部では思いっきり女性差別発言を連発する様子には、全くもって納得いきませんでした。
原作では女性が苦手ではあるものの女性差別発言はないと思うのですが、『マイ・フェア・レディ』のヒギンズのイメージを保つためか、このようなキャラクター設定になっていました。
また、わずかな出演シーンにも関わらず、強烈な印象を残しているのが、サーカスの団長を演じているリチャード・アッテンボロー。
アッテンボロー監督としての方が、私には馴染みがあります。
彼の「I've Never Seen Anything Like It」は本作の中で一番陽気なナンバーでした。
たくさんの動物たちとドリトル先生の温かいふれあいの画が数多く収められていますが、途中でやや冗長な部分があることは否めません。
音楽もそこまで耳に残る楽曲はありませんでした。
かといって、現代のCG技術をもってリメイクしても、本作の持つ素朴な温かさを表すことはできないでしょう。