『Betrayal』とは
1978年にロンドンのNational Theatreで初演された、ハロルド・ピンター作のプレイ。
邦題は『背信』。
ハロルド・ピンターはイギリスのテレビ司会者Joan Bakewellの7年にわたる不倫騒動から着想を得た。
ブロードウェイでは、これまで4回上演されている。
今回のJamie Lloyd演出のプロダクションは、ロンドンのHarold Pinter Theatreで上演後、ブロードウェイにトランスファーしたもの。
あらすじ
ジェリーはロバートと無二の親友同士である。
しかし、ジェリーにはジュディスという妻がいるにも関わらず、ロバートの妻であるエマと不倫をする。
1977年から1968年へ、逆の時系列でその真相が描かれる。
キャスト
Robert Tom Hiddleston
Emma Zawe Ashton
Jerry Charlie Cox
Waiter Eddie Arnold
感想
『Sea Wall / A Life』に続き、ロンドンからトランスファーした作品を、最前列で観劇しました。
ハロルド・ピンターのことも、トム・ヒドルストンのことも、この作品を観て初めて知りました。
▼trailerです。
▼観劇後の感想です。
『Betrayal(背信)』ハロルド・ピンター作。妻が旧友と長年不倫関係にあった男性をトム・ヒドルストンが演じる。不穏な空気の中、無機質な舞台で3人の微妙な関係が描かれる。90分休憩なし。演技に引き込まれてあっという間に終わった。最前列のため、数メートル先にずっとトム・ヒドルストンがいた。 pic.twitter.com/VF0VcKOIg0
— るん / Lune (@nyny1121) September 25, 2019
▼3人へのインタビュー
BETRAYAL Stars Tom Hiddleston, Zawe Ashton and Charlie Cox Relish Their Love Triangle
最初にプロットを読んだ時、未熟な私には理解できないお話かなと不安でしたが、実際に観始めると知らぬ間に引き込まれていました。
緊迫した空気や遠くで鳴るサイレン音が、危うい三角関係を仄めかしていました。
子どもちゃんが登場すると、もう胸が締め付けられてたまらなかったです。
初めてトム・ヒドルストンを目の当たりにしたのですが、不倫の事実になんとなく気づいてしまう演技が秀逸で、とにかく目が美しかったことを記憶しています。
ライトブルーの目にうっすら涙を浮かべながら、切々と語っている姿が印象的でした。
最初のシーンが不倫が終わった時点、ラストシーンが不倫が始まる時点。
時系列が逆向きになっている効果というのは、今でこそよくある演出ですが、1977年当時は革新的なものだったようです。
誰の誰に対する裏切りなのか。
人生経験が浅い私はあまり深い考察はできませんでしたが、観る人によって三者三様の捉え方ができるようですね。
友情、夫婦、家族、親子、恋人・・・
社会的関係において、誰しもどこかに負い目を感じながら生きている部分はきっとあると思います。
あまりに身近な関係性の中での裏切りに、観ている方も束の間のスリリングな経験をすることができました。
▼日本語訳された戯曲
ハロルド・ピンター (1) 温室/背信/家族の声(ハヤカワ演劇文庫 23)
- 作者: ハロルド・ピンター,Harold Pinter,喜志哲雄
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/07/30
- メディア: 文庫
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▼キャストへのインタビュー(長尺)
Tom Hiddleston, Charlie Cox & Zawe Ashton Speak About The Broadway Play, "Betrayal"