『Gutenberg the Musical』とは
2006年にNew York Musical Festivalやロンドン、オフ・ブロードウェイで初演され、2023年ブロードウェイで初演されたミュージカル。
作詞・作曲・脚本はScott Brown、Anthony King。
今回は2023年にブロードウェイで上演された公演を観劇した。
演出はオフ・ブロードウェイ公演に引き続きAlex Timbers。
あらすじ
若手のミュージカル作家コンビのBudとDougは、活版印刷技術を発明したヨハネス・グーテンベルクについてのミュージカルを作ろうと考える。
プロデューサーたちに作品をアピールするため、彼らはすべての登場人物を自ら演じることに。
果たしてブロードウェイへの道は開かれるのか。
キャスト
Bud Davenport Josh Gad
Doug Simon Andrew Rannells
感想
『Book of Mormon』のオリジナル・ブロードウェイ・キャストとしてお馴染みのジョシュ・ギャッドとアンドリュー・ランネルズのコンビが、ブロードウェイに戻ってきました。
『Gutenberg! the Musical』は日本公演を観たことがあり、きっとこの2人が主演したら面白いに違いないと確信し観に行くことにしました。
ただ2人芝居でオフ向きの作品なので、オンでどのような感じなるのかと気になっていました。
▼trailer
2人で役名の書かれた黄色い帽子を被りながら、老若男女や動物や静物など、様々な役を演じ分け、ワイン製造機から印刷機を思いついたグーテンベルクや彼の周囲の人々を描く作品を見せます。
面白いには面白いのですが、やっぱり箱が大きすぎで空間を持て余している印象が強かったですし、オンだからこそという演出も特にありませんでした。
ブロードウェイ・プロデューサー役として各回ごとに変わる特別ゲストを迎えても集客はすこぶる良いわけではない様子でした。
私が観た回では、ジェイク・ジレンホールが登場しました。どうやら彼は私と同じ列にずっと座っていたようですが、全く気づきませんでした。
そもそも「鳴かず飛ばずの若手ミュージカル作家がいつかブロードウェイで自分たちの作品が上演されることを夢見て必死でプレゼンする」という内容を、ブロードウェイの大きな劇場で見せられてもなぁ、と思ってしまいました。劇中では、おじさんから相続したお金があるとか、親の家を売ったとかで、James Earl Jones Theaterを借りたと言っていましたが。
ブロードウェイからほど遠いオフかオフオフで上演してほしい作品だなと改めて思いました。
舞台のプロダクションの一つの流れとして、オフ→(ロンドン→)オンのようなものがありますが、全てがその道を通る必要はないと思うんですよね。
その作品が輝く場所は必ずしもオンとは限らないですし、この作品のようにオフだからこそ生きるものもあると思います。例えば『Little Shop of Horrors』とか。
今回は『Moulin Rouge! the Musical』や『Beetlejuice』などで名を広めたAlex Timbersの演出家としての野望と、演者2人のカムバックがちょうど合って叶った公演だと思いますが、オンでやる意義がよくわからず、特段言うべきことはありませんでした。