ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『Merrily We Roll Along』2022.11.27.14:00 @New York Theatre Workshop

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『Merrily We Roll Along』について

1981年にブロードウェイで初演されたミュージカル。

1934年の同名のプレイを基にしている。

作詞・作曲はスティーヴン・ソンドハイム

今回のプロダクションは2012年にロンドンのメニエール・チョコレート・ファクトリーでプレミア公演された後、ウエストエンドで上演されたもので、2022年11月からオフブロードウェイのニューヨーク・シアター・ワークショップで上演された。

2021年6月には同じマリア・フリードマンの演出で、日本人キャストにより新国立劇場で上演された。

2023年秋、ブロードウェイにトランスファー予定。(2022年12月25日現在)

演出はマリア・フリードマン

あらすじ

成功した作曲家、映画プロデューサーであるフランクの家で開催された、新作映画を祝うパーティーに、彼の旧友であるメアリーが転がり込んでくる。

彼女は酒に酔い、あたり構わず罵詈雑言を吐き、その場から追い出される。

フランクはこれまでの年月を振り返り、彼が失ってしまったものについて思いを巡らせる。

離婚、愛息との別れについて。

そして、若き日にメアリー、チャーリーと一緒に夢を語り合った日々について。

キャスト

Franklin Shepard    Jonathan Groff

Mary Flynn    Lindsay Mendez

Charley Kringas    Daniel Radcliffe

Gussie Carnegie    Krystal Joy Brown

Beth Shepard    Katie Rose Clarke

Joe Josephson    Reg Rogers

Meg Cincaid    Talia Robninson

Jerome    Vishal Vaidya

KT    Natalie Wachen

Scotty/Mrs. Spencer/Auditionee    Sherz Aletaha

Newscaster/Waitress/Auditionee    Leana Rae Concepcion

Tyler/Make-Up Artist    Corey Mach

Dory/Evelyn    Jamila Sabares-Klemm

Newscaster/Photorapher/Bunker    Brian Sears

Ru/Reverend    Christian Strange

Terry/Mr. Spencer    Jacob Keith Watson

感想

チケットを手に入れるまで

ソンドハイムの作品の中で一番好きなミュージカルなので、この作品を観ることが今回の遠征の大きな目的のひとつでした。

ただ、10月の一般発売でチケットが即完売してしまったため、手元にチケットがない状態でした。

残された方法はdigital lottery、もしくはcancellation lineのみ。

くじ運のない私はdigital lotteryに期待せず(一応、応募していましたが)、粛々とcancellation lineに並ぶことにしました。

キャンセルされたチケットがある場合は、開演の2時間前から劇場前に並んでいる順に販売されるので、狙ったのは日曜日のマチネ公演。

SNSで集めたデータによると、販売開始の7時間前までに並んでいた人は確実に入手できている様子だったので、マチネであれば14時開演で12時から販売され、早朝から並べば可能性がある気がしたのです。(冬の朝の早起きは相当ツラいですからね。)

私は朝5時から並び、次に来た方が7時、その次が8時半で、12時になる頃には10人近く並んでいましたが、最終的に販売されたチケットは3枚のみで、入手できたのは私と7時に来た方のみでした。

下の写真の通り、5時の時点では誰もいませんでした。

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開演2時間ちょっと前になると、こんな看板とラインが登場します。

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2023年秋のブロードウェイトランスファーが発表されたので、それほどいらっしゃらないと思われますが、これからcancellation lineに挑戦される方は、防寒対策を徹底されることを強くお勧めします。

実際に観て

まず劇場に入って気づいたのは、2021年6月に新国立劇場で観たものとほぼ同じセットであるということ。

上記の通り、2021年の日本公演でもマリア・フリードマン演出だったので、今回も同じ演出なのねと納得しました。

具体的には白を基調とした壁、背景に窓、反転する円形に繰り抜かれた壁、上階のバンドのための小部屋、下手側に階段。

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新国立劇場ではこのセットの他に、愛息と別れるシーンや2幕のフランクがメアリーやベスとショーをするシーンなどで何度かセットチェンジがありましたが、今回は非常に小さいvenueだったので、ずっとこのセットのままでした。

おそらくオン・ブロードウェイにトランスファーしたら、セットの転換があるのかもしれません。

キャストは上記の通りで、この他にスウィング2名、フランクの愛息を演じる子役が1名出演する、かなり大人数のカンパニーとなっていて、役のつけ方も日本公演と同じ印象を持ちました。

また、メインの3人が『春のめざめ』や『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』のジョナサン・グロフ、『回転木馬』でトニー賞助演女優賞を受賞したリンゼイ・メンデス、『努力しないで出世する方法』でブロードウェイに主演したこともあるダニエル・ラドクリフと、一般の方にも広く知られている方々。

いずれも良かったです。

ダニエルはメイクの影響か、なんだかものすごく頬がこけているように見えて、少し心配になりました。

改めてこの作品の素晴らしさに気づくことができました。

観ている間は時間が遡っていくので、徐々に初々しい若き日に近づいていって、いい気分で観終えるのですが、観劇後に「あの希望に満ちた若者たちが…あの素晴らしい友情が…あんな末路を辿るなんて」と落ち込んでしまったり、ずっとフランクを思い続けたメアリーの気持ちに思いを馳せたりして、しばらく呆然としてしまいました。