『Tommy』とは
1993年ブロードウェイで初演されたミュージカル。
1969年に初演されたロックオペラ『Tommy』を基にしたもの。
作詞・作曲はPete Townshend。脚本はPete TownshendとDes McAnuff。
今回は2023年にシカゴで上演された後、2024年ブロードウェイにトランスファーしたプロダクションを観劇した。
演出はDes McAnuff。
あらすじ
1940年ウォーカー夫妻は結婚した。
第二次世界大戦でウォーカー大佐はナチスに捕えられ、捕虜になる。
妊娠中のウォーカー夫人は夫の戦死を知らされる。
その翌年、ウォーカー夫人は男の子を出産し、トミーと名付ける。
1945年終戦をむかえ、ウォーカー大佐は解放され、ロンドンの自宅に戻る。
同じ頃、ウォーカー夫人は4歳になったトミーと新たな恋人と暮らしていた。
何も知らないウォーカー大佐はショックを受け、夫人の恋人を射殺する。
一部始終を目の当たりにした幼いトミーは、視覚・聴覚・発話の機能を失ってしまう。
両親はトミーに病院で精密検査を受けさせたが、原因は明らかにならない。
その後、トミーは、両親が不在の間ベビーシッターをした叔父らに虐待を受けたり、ドラッグを試されそうになったりする。
様々な苦難を乗り越え、トミーはピンボールの才能を開花させていく。
キャスト
Tommy Ali Louis Bourzgui
Mrs. Walker Alison Luff
Captain Walker Adam Jacobs
Uncle Ernie John Ambrosino
Cousin Kevin Bobby Conte
Acid Queen/Data Analyst Christina Sajous
Hawker/Specialist Sheldon Henry
Lover Nathan Lucrezio
Harmonica Player Daniel Quadrino
Pinball Lads Mark Mitrano, Jeremiah Alsop
Sally Simpson Haley Gustafson
感想
今期の観劇は『Tommy』で締めくくりました。映画版は観ましたが、舞台で『Tommy』を観るのは今回が初めてでした。今期のリバイバルのミュージカルはスターキャストが出演する2作品が目立っていて、このプロダクションは影に隠れてしまっていますが、とても良かったので記録に残しておきます。
▼footage
▼開演前
ロックオペラでメトロポリタン歌劇場で上演されたこともあり、sung-throughとなっています。トミーは4歳、10歳、成人と3人の役者によって演じられます。視覚・聴覚・発話の機能を失ったトミーは、研ぎ澄まされた感覚でピンボールの達人になり一躍スターになっていきます。成人になったトミーを演じるAli Louis Bourzguiは素晴らしい歌唱を披露していました。おそらく今年でなければトニーにノミネートされていたでしょう。今後が楽しみな役者さんです。彼に呼応したバックのアンサンブルキャストも見事でした。
一部、キャストがホルンを演奏するシーンもありました。
背景はプロジェクションで、近未来的なデザイン。記者のインタビューの場面で舞台上でビデオカメラで撮影したものが、リアルタイムで背景にニュース映像として流れました。
今回、演出が脚本を担当した方ということで、オリジナルプロダクションに関わった方の思いが詰まっているのかなと思いました。
映画版を観てピンと来なかった部分が、今回の舞台を観て腑に落ち、ようやくこの作品の真意を理解できたと思いました。やはり映画版はケン・ラッセルが監督なので、別物と考えた方が良かったのかもしれません。
想像を絶する体験を経て成人したトミーが子ども時代の自分と向き合い、受け入れていく過程は苦しくもありましたが感動的でした。
▼終演後
これで2023/2024のブロードウェイ・シーズンの観劇は終わりです。おかげさまで、今期は初めてミュージカルを全て網羅して観ることができました。今後ともよろしくお願いいたします。
最近、YouTubeを始めました。NY遠征のVlogと、ブロードウェイに関する情報を発信するポッドキャスト「劇場夜話/Theater Night Talk」をアップしています。もしよろしければブログと合わせてご覧いただけると嬉しいです。