『王様と私』とは
1951年ブロードウェイ初演のミュージカル。
1944年のマーガレット・ランドン作の実話を基にした小説『アンナとシャム王』を基にしている。
音楽はリチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタインⅡ世による。
初演時にはトニー賞3部門を受賞し、以来再演を繰り返している。
今回観劇したのは、2015年のブロードウェイ(リンカーンセンター)再演版のツアーの一環の公演であり、2015年初演時と同じく渡辺謙、ケリー・オハラが主演を務めた。
あらすじ
1860年代のシャム(現在のタイ)。
幼い息子を連れたイギリス人未亡人アンナは、王家の子女たちの家庭教師として近代化を目指す王宮に迎え入れられる。
理知的ながら傲慢なシャム王にはじめは激しく反発しながらも、王子や王女、王妃たちと打ち解け、新時代の国を想う王の真摯な人柄を知るにつれ、徐々に理解を示していくアンナ。
一方、隣国ビルマから貢物として王に献上されたタプティムは密かに恋人ルンタと許されぬ愛を育んでいた。
そんな折、イギリスから視察に訪れた特使を西洋式の晩餐会で歓待することに成功した王様とアンナ。
2人は絆を深めていくが。
キャスト
アンナ・レオノーウェンズ ケリー・オハラ
シャム王 渡辺謙
チャン夫人 セザラー・ボナー
オルトン船長/エドワード・ラムゼイ卿 フィリップ・ブルコック
タプティム キャム・クナリー
ルンタ ケイヴィン・パンミーチャオ
クララホム首相 大沢たかお
チュラロンコン皇太子 アーロン・ティオ
フラ・アラック侍従長 ウィリアム・マイケル・リー
ルイ ジャック・ドワイヤー
『アンクル・トムの小屋』(劇中バレエ)
イライザ 山口恵奈
アンクル・トム ミサ・コイデ
天使/ジョージ ジェシー・ミリガン
トプシー 加藤愛子
サイモン王 クリータス・チャン
リトル・エヴァ エラ・リソンドラ
感想
この夏一番の話題作『王様と私』を観てきました。
ブロードウェイやウエストエンドで公演していることは知っていたのですが、なかなか都合がつかず見逃してしまっていたので、今回の来日を初めて聞いた時、必ずや拝見したいと思い、この日に至りました。
シアターオーブ初の最前列席、しかもどセンターという特等席で、圧巻のperformanceを目の当たりにし、大満足の観劇となりました。
ケリー・オハラの舞台を観るのは今年の5月の遠征の際に『Kiss Me Kate』で拝見して以来、2ヶ月ぶりでした。
これから2ヶ月ぶりにケリー・オハラ!
— るん / Lune (@nyny1121) 2019年7月21日
←このセリフを言ってみたかっただけ。すみません。
そうそう、ケリーさんの英語綴りはKelli O’Haraなので注意!(自戒の念を込めて) https://t.co/JoRrkyEkXO
▼trailerです。
Bunkamura 東急シアターオーブ ミュージカル『王様と私』 PR動画
▼感想です。
最前列どセンターで観劇。舞台版を観るは初。冒頭の大きな船の登場から圧倒された。1幕最後の2人の可愛らしさに、何度も心のシャッターを切った。改めて彼らはプラトニックな恋愛関係を表すのに絶妙な配役だと感じた。Kenさんの特にpuzzlementが素晴らしかった。贅沢な時間に感謝。@KingandIMovieJP pic.twitter.com/nBnJsFhLBc
— るん / Lune (@nyny1121) 2019年7月21日
公演自体は全て英語でした。
私は見ませんでしたが、舞台のサイドに日本語字幕が表示されていたので英語がわからなくても大丈夫なようになっていました。
冒頭から奥にある紗幕の向こう側でドライアイスが焚かれ、上手後方から船が登場するシーンは圧巻でしたし、その後ケリー・オハラが船から出てくると会場から歓声が上がりました。
そのほか、舞台装置に関しては、タムタムという銅羅をあえて舞台に置き、タイらしい雰囲気をだす舞台装置として使っていたのも興味深かったです。
王宮での渡辺謙とケリー・オハラの掛け合いには4年ほどともに演じる中で磨かれた「あ・うんの呼吸」のようなものを感じました。
観劇前は渡辺謙って歌えるのだろうかとやや心配していましたが、作中の王の歌にはメロディーはあるもののセリフ調のものが多いので、無難にこなされていたという印象です。
特に「puzzlement」では王の人知れぬ苦悩を巧みに表現されていたと感じました。
そして見せ場の「Shall We Dance」では王宮の柱が移動することで広い空間で縦横無尽に踊っているように見せていました。
移動する柱にぶつからないように、うまく振り付けと折り合いをつけ、空間を上手に使っているのが素晴らしかったです。
大沢たかおさんのクララホム首相は目立たない存在ではありますが、そのことを意識してカーテンコールでも控えめの会釈に留めているところに好感を覚えました。
また、舞台版では映画版と比べて、第一夫人であるチャン夫人の登場シーンが多いように感じました。
第一夫人として宮中の各所に目を配っているのがわかり、場面転換の際にちょっとした表情で魅せるといったことが多かったです。
演出のバーレット・シャーは去年観た『マイ・フェア・レディ』や今度9月に観劇する『アラバマ物語』も手がけている方なので、9月の観劇も楽しみになりました。
公式サイト: