『メリー・ポピンズ・リターンズ(2018)』とは
2018年公開(2019年日本公開)のディズニーによるミュージカル映画。
P.L.トラヴァースによる同名小説を基にした、1964年のミュージカル映画『メリー・ポピンズ』の続編。
音楽は『ヘアスプレー』などを手がけたマーク・シャイマンによる書き下ろしだが、一部前作の楽曲モチーフが挿入されている場面もある。
前作の音楽を担当したシャーマン兄弟の弟リチャード・シャーマンは音楽コンサルタントとして支えた。
監督はこれまでもミュージカル映画を手がけてきたロブ・マーシャル。
前作に引き続き、ディック・ヴァン・ダイクは出演しているが、ジュリー・アンドリュースは「エミリー・ブラントのための作品にしてほしい」と自ら出演を辞退した。
▼前作については以下の記事をどうぞ。
あらすじ
1934年、ロンドン、チェリー通り17番地で、ジャックがいつものように街灯の明かりを消している。
「おはよう」と窓越しに手を振るのは、バンクス家の双子たち、アナベルとジョンだ。
すると、お手伝いさんのエレンがキッチンから「また水道管が漏れた」と叫ぶ。
しかしキリンのぬいぐるみを抱えた末弟のジョージーもお父さんのマイケルも加わり、慣れた手つきでどうにか漏れは収まる。
すると、玄関のドアをノックする音がし、エレンが開けると弁護士が立っている。
実は、子どもたちのお母さんのケイトが1年前に亡くなって以来、希望をなくしたマイケルは画家としての仕事を諦めて、銀行に勤め、そこで借金もしていたのだ。
借金額はマイケルの年収ほどにもなっており、その全額を金曜の深夜までに返済しないと、家を差し押さえると弁護士たちが言う。
マイケルのお姉さんのジェーンも朝から訪ねてきていて、貧しい人たちに朝ごはんをふるまいに出かけるところだった。
借金の話を耳にしたジェーンは「そういえばお父様が銀行の株を持っていたはず。それがあれば借金を全額返済できる」と思い出す。
みんなで必死で株券を探すが、せいぜい懐かしい凧しか出てこない。
ところがマイケルが外のゴミ箱に捨てたつもりの凧が、風で飛ばされてしまう。
そしてそれを追いかけて捕まえたジョージーが、大きな凧に引っ張られて空へ舞い上がってしまう。
ジャックの力も借りてジョージーを救うと風が止み、凧のしっぽに捕まって雲の合間から旅行鞄と傘を持ったメリー・ポピンズが現れた。
メリーと一緒に子どもたちは家に帰ると、マイケルとジェーンおばさんもメリーのことを知っていた。
マイケルが子どもだった頃も、メリーは風が強い日に現れて姉弟の乳母になってくれたのだった。
再びバンクス家の子どもたちを助けにきたメリーは「再び扉が開くまで帰らない」と話すのだった。
傘の柄に彫られたオウムが喋り出したり、お風呂に湯を張ればイルカが飛び出したり、不思議なことを引き起こすメリーに子どもたちは魅了される。
一方、株券は依然として見つからないが、マイケルはふと銀行に貸金庫があることを思い出し、鍵を見つけて開けてみるが、そこにも株券はない。
ジェーンとマイケルはウィルキンズ頭取にかけあうが、台帳にも株の記録はないと言われる。
ところが、ウィルキンズは嘘をついており、実際には記録があったのだった。
バンクス一家の運命はどうなるのか。
キャスト(日本語吹き替え)
ジェーン エミリー・モーティマー(堀内敬子)
エレン ジュリー・ウォルターズ(木村有里)
バルーン・レディ アンジェラ・ランズベリー(大方斐紗子)
ミスター・ドーズ Jr. ディック・ヴァン・ダイク(宝亀克寿)
アナベル ピクシー・デイヴィス(植原星空)
ジョージー ジョエル・ドーソン(鈴木柊真)
感想
映画館で観てきました。
今宵はレイトショーでこれ。楽しみ。#メリーポピンズリターンズ pic.twitter.com/VbAmhjTAId
— るん / Lune (@nyny1121) 2019年2月2日
▼trailerです。
Mary Poppins Returns | Official Trailer
鑑賞直後の感想です。
『メリーポピンズリターンズ』最高に幸せなミュージカル映画体験。今だからできたシーンもあると思った。Julieみたいなソプラノではないけれど、Emilyのメゾも落ち着いていてよかった。LMMの可愛さといったらもう。overtureから号泣。涙が止まらなかった。未見の方を配慮して深夜にツイートしてくよ。
— るん / Lune (@nyny1121) 2019年2月2日
いやぁ良かったです。
チェリー通りの家の並びも、家の間取りも前作と同じで、思わず「ただいま」と言いたくなってしまいました。
前作の素晴らしいエンディングで登場した凧でメリーが登場する粋な演出には舌を巻きました。
LMMというのはジャック役のリン=マニュエル・ミランダのことで、この映画によって彼のことを世界に広く知ってもらえたらこれ以上になく幸せです。
本作で俳優として出演している彼ですが、『イン・ザ・ハイツ』や『ハミルトン』などでは主演だけでなく、脚本、作曲、作詞、演出まで手がけた、ブロードウェイにおけるヒップホップミュージカルのニューウェーブを作り出した張本人です。
本作でもミュージックホールの場面で、ラップ調の歌唱部分があり、ほんのわずかですが彼らしさを発揮しています。
ジャックは前作のバートに当たる役柄で、前作は煙突掃除夫でしたが、今回は点灯夫でした。
前作では屋根の上の煙突掃除夫のダンスシーンが後半の見所でしたが、今作では地下で繰り広げられるBMXも取り入れたダイナミックなダンスシーンとなっていました。
ジェーンは貧しい労働者階級を救うような社会主義に傾倒しているようですが、これは前作で母親が女性参政権運動をしている姿に重なります。
ジュリー・アンドリュースの転がるような小鳥のさえずりのような美しいソプラノとは全く違いますが、エミリー・ブラントのメゾソプラノ〜アルトの歌声も落ち着いた大人の女性らしさがあり、私は好きでした。
特に末っ子のジョージーの歌う「幸せのありか」は感涙必至。
前作から引き続き、カメオ出演した1925年生まれ・御歳93歳のディック・ヴァン・ダイクのダンスシーンには、きっと天国のフレッド・アステアも驚いているでしょう。
バルーン売りのアンジェラ・ランズベリーは、日本ではディズニーアニメ映画『美女と野獣』のポット夫人の声でおなじみかもしれませんが、『ベッドかざりとほうき』で主演するなど、古くからディズニーとの関わりのあるミュージカル女優です。
楽曲ですが、舞台ミュージカル版も観ている私としては、曲数に物足りなさを感じてしまいました。
確かに楽しい楽曲ではあるのですが、前作の「Supercaliflagilisticexpiaridocious」や「Chim Chim Cherie」のような衝撃的な名曲というのは残念ながらありませんでした。
かえって、前作がいかに優れた作品だったのかということを思い知らされました。
確かLMMのふとした一言からだったかしら。Topsy役のMerylが”Hmm. Topsy Turvy. I like that.”と言うのはノートルダムの鐘の実写化への布石なのかなと思った。
— るん / Lune (@nyny1121) 2019年2月2日
このように、他のディズニー作品ネタを盛り込むのもディズニーらしい遊びですね。
メリル・ストリープの演じた、メリーのいとこであるトプシーの「ひっくりカメ」のシーンも面白かったですね。
こちらは日本語吹き替え版の島田歌穂さんの歌声が実に見事でした。
ビッグベンに必死の思いでよじ登るLMM(ジャックだっけ?)を「まぁ慣れてるでしょ」と突き放して見て、いざとなったら魔法でひとっ飛びして全て解決。それなら最初からあなたひとりでできたんでないの?と突っ込まざるを得なくて笑。この時、メリーのSっ気を感じてしまった。
— るん / Lune (@nyny1121) 2019年2月2日
ここは大人たちみんなツッコんだでしょう。
メリーポピンズはやはりpractically perfect in many waysだった。楽曲も逸脱した雰囲気のものはなく、オリジナルへのリスペクトを随所で感じた。ただ60年代では綿密なセットで作ったのだろうと感じられるレトロなシーンでも、今回はどうせCGだろうと思ってしまう部分もあった。素晴らしかったけど。
— るん / Lune (@nyny1121) 2019年2月2日
そう、片付けのシーンなど、きっとひとつひとつコマ撮りしだんだろうなと思わせるような前作中の手作り感のあるシーンも、今作のようにCGを使われてしまうと、ねぇ。
私の勝手な趣味かもしれませんが・・・
ただお風呂のシーンなど、今だからこそできた夢のあるシーンもありましたし、一長一短ですね。
▼【おさらい】1964年の前作と2018年の今作を比較してみましょう。
MARY POPPINS RETURNS vs Mary Poppins (1964)
▼前作を基にした舞台版ミュージカルについてはこちらをどうぞ。
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