『Manic Street Creature』とは
2022年エディンバラ・フェスティバル・フリンジで上演され、2023年にロンドンのSouthwark Playhouseで上演された音楽劇。
物語は作者であるMaimuna Memon自身の体験に基づく。
エディンバラ・フェスティバル・フリンジではThe Scotsman Fringe Awardをはじめとする複数の賞を受賞した。
作詞・作曲・脚本はMaimuna Memon。
演出はKirsty Patrick Ward。
あらすじ
音楽家を志し、田舎からロンドンに上京したリアは、独身生活を満喫していたが、ある日ダニエルという男性に出会う。
ダニエルと付き合うようになったリアは、彼が時折精神的に不安定になることに気づく。
双極性障害を患うダニエルを看病するうちに、リアの心も次第に病んでいくのだった。
キャスト
Ria Maimuna Memon
Heidi Rachel Barnes
Raz Harley Johnston
感想
エディンバラ・フェスティバル・フリンジに行くのが長年の夢でして、いつか叶えたいと思っているのですが、この作品は昨年のフリンジで評価が高かったので何となく記憶していて、たまたま渡英期間中にロンドンで上演していたので観に行くことにしました。
ご存知の方はすぐ気づかれると思いますが、イギリスのバンド「Manic Street Preature」をもじったタイトルになっています。
▼trailer
この作品はMaimuna Memonによる原案・脚本・作詞・作曲・主演で、ソロの音楽劇(あるいはミュージカルと言ってもいいかもしれない)となっています。
Maimuna Memonは俳優としてミュージカルの舞台にも立っており、『Standing at the Sky's Edge』への出演でオリヴィエ賞のミュージカル助演女優賞にノミネートされています。
▼『Standing at the Sky's Edge』でMamimunaが歌う「Open Up Your Door」
俳優業の傍ら、自身で作った曲を発表するなど、マルチな才能を発揮している方です。
Maimunaがギターやキーボードを担当し、その他にチェロ、ドラムなどのパーカッションを担当する方が1人ずつ。
台詞や歌は全てMaimunaが担当し、それ以外の2人はコーラスで参加する形。
小空間に響くフォーク・ミュージックが心地よかったです。
▼冒頭曲「On My Way」
劇場の大きさはオフブロードウェイやオフオフブロードウェイのクラス。
ステージには絨毯が敷かれ、Maimunaの部屋に招かれたような感覚を覚えました。
舞台装置はほぼありませんが、照明が効果的に使われていたことと、Maimunaの語り口の巧みさで、作品の世界に浸ることができました。
作品のテーマは双極性障害患者の介護者や周囲にいる人々が負う心理的なトラウマ。
精神疾患の二次的な影響について描いています。
Maimuna自身の体験から生まれていることもあり、共感しやすくやや苦しくなりました。