ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『エビータ』2019.6.29.17:30 @自由劇場

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『エビータ』とは

1978年ロンドンで初演されたミュージカル。

アンドリュー・ロイド=ウェバー作曲、ティム・ライス作詞。

アルゼンチンのフアン・ペロン大統領の2人目の妻、エバ・ペロンの人生をモチーフにしている。

1979年にはブロードウェイで初演され、トニー賞7部門を受賞した。

マドンナ主演で映画化もされている。

日本では劇団四季が1982年より断続的に上演している。

浅利慶太がミュージカルの訳詞に初めて参加した作品。

あらすじ

幕が上がると、エバ国葬が行われている。

チェ・ゲバラ狂言回しとして登場し、エバの生涯を振り返っていくこととなる。

アルゼンチンの田舎町に私生児として生まれた、15歳のエバは、歌手のマガルディに頼り、ブエノスアイレスに上京する。

ラジオを通して世に知られるようになる中で、あるパーティーでのちの夫となるペロンと出会う。

アルゼンチン大統領となるペロンのそばでエバは、政治に関心を持ち、自らの考えを世論に訴えるようになる。

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キャスト

エビータ  谷原志音

チェ  芝清道

ペロン  佐野正幸

マガルディ  高橋基史

ミストレス  藤原加奈子

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感想

『エビータ』という作品をずっと観たいと思い続け、去年夏、念願叶って来日公演を鑑賞することができたわけですが、今回ようやく劇団四季による日本語公演を観ることができました。

率直な感想ですが、素晴らしく大変感動しました。

アンドリュー・ロイド=ウェバーとティム・ライスの共同制作の最後の作品であり、浅利慶太氏にとってはミュージカル訳詞初挑戦となった作品でもあります。

また、ブロードウェイのオリジナルのタイトルロールは、私の崇拝するパティ・ルポンが務めており、彼女の舞台女優としての地位を不動のものにした作品でもあります。

貧しく恵まれない環境から、アルゼンチン大統領夫人にまで上り詰めたエバ・ペロンの生涯を描いているミュージカルです。

エバ・ペロンという人自体、私はこのミュージカルを通して初めて知りましたし、その後もこの作品以外で耳にすることはあまりありません。

アルゼンチンでは今でもエバ・ペロンを崇拝している人、軽蔑している人の両者がいるそうですが、このミュージカルでも決して賞賛の声だけではなく、狂言回しのゲバラが懐疑的な台詞を何度も放っています。

▼trailerです。


劇団四季:エビータ:2019年CM

まず、ゲバラを演じる芝清隆さんが相変わらずの素晴らしさで、大黒柱のような安定感があり、安心して観られました。

ゲバラでもフロローでもペドロでも、芝さんは芝さんですね。

エビータの谷原さんは、きっとこの大役に震える思いだっただろうなと想像しますが、見事に難しいロイド=ウェバーの旋律を歌いきっていました。

個人的にこの作品のキラーノートだと思っている「Rainbow High」のhigh A♭も気持ちよく出ていました。

ただ一つ思ったことは、野心家エビータの雑草の強さ、何が何でも成り上がってやるといういやらしさが弱かったかなと思いました(*個人的な感想です)。

逆にあまりに出し過ぎると引かれてしまいますし、難しいのですが、やはり日本人が演じると優等生的になってしまうというか。

聖母のような清らかさもあり、かつ、目的のためには手段も選ばない狡猾さもあるため、エバは非常に難しい役柄だと改めて思いました。

また、アンサンブルキャストのレベルが非常に高いですね。

本作はプリンシパルは少数で、アンサンブル合唱も非常に美しいことで知られていますが、今回はアンサンブルに他の四季の舞台でメインを演じている方が多く出演されていたように思います。

特に、鈴木さんとか、平田さんとか、それぞれラウルやベルを演じられていたはず。

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舞台装置ですが、来日版では非常にシンプルな舞台だったのですが(ツアーで国際的に回っているからということもあると思いますが)、劇団四季版で特に印象的だったのは舞台に埋め込まれた円状の照明です。

シーンごとにアルゼンチンを象徴するスカイブルーとホワイトになったり、「Rainbow」を象徴する7色変わったりしました。

背景には白い壁がそびえ、センターで二分できるようになっていました。

舞台の前と後ろで上がり舞台(正式名称がわかりません。セリではないです)があり、大統領夫人として国民に演説するシーンなどで効果的に使われていました。

エバの衣装は豪華でしたし、衣装チェンジも何度もあり、早替えも何度もあり見応えがありました。

死後半世紀以上経ったのちも、こうして地球の反対側で、ミュージカルとして彼女は何度も生き返っているわけですが、彼女に関しては様々な見方ができ、個々でそれぞれで意見が違うからこそ、様々な国で上演され続けているのだろうと感じました。

そして、今回もロイド=ウェバーの天才性に終始しびれました。

セリフはほぼなく、オペレッタ的な作品だからこそ、圧巻の作曲力が光っていました。

公式サイト:

ミュージカル『エビータ』作品紹介 | 劇団四季【公式サイト】