『キンキー・ブーツ』とは
2012年シカゴで初演、2013年にブロードウェイで初演されたミュージカル。
2005年の同名の映画を基にしている。
脚本はハーヴェイ・ファイアスタイン。音楽・作詞はシンディ・ローパー。
トニー賞13部門でノミネート、6部門で受賞した。
演出・振付はジェリー・ミッチェル。日本版上演台本は岸谷五朗。
あらすじ
イギリスの田舎町ノーサンプトンの老舗の靴工場「プライス&サン」の4代目として生まれたチャーリー・プライス。
彼は父親の意向に反してフィアンセのニコラとともにロンドンで生活する道を選ぶが、その矢先父親が急死し、工場を継ぐことになる。
工場を継いだチャーリーは、実は経営難に陥って倒産寸前であることを知り、幼い頃から知っている従業員たちを解雇しなければならず、途方にくれる。
従業員のひとり、ローレンに倒産を待つだけでなく、新しい市場を開発すべきだとハッパをかけられたチャーリーは、ロンドンで出会ったドラァグクイーンのローラにヒントを得て、危険でセクシーなドラァグクイーンのためのブーツ"キンキーブーツ"をつくる決意をする。
チャーリーはローラを靴工場の専属デザイナーに迎え、二人は試作を重ねる。
型破りなローラと保守的な田舎の靴工場の従業員たちとの軋轢の中、チャーリーはミラノの見本市にキンキーブーツを出して工場の命運を賭けることを決意するが。
キャスト
チャーリー・プライス 小池徹平
ローラ 三浦春馬
ローレン ソニン
ニコラ 玉置成実
ドン 勝矢
ジョージ ひのあらた
パット 飯野めぐみ
トリッシュ 白木美貴子
ハリー 施鐘泰
感想
初演時には行くことができなかった『キンキー・ブーツ』再演に行ってきました。
1階中央のセンターブロックからの観劇でした。
まず一言、最高でした。
久々にチケット代以上の感動と興奮を体験しました。
結局、去年のブロードウェイ遠征でもスキップしてしまったこの作品。
非ミューオタの友人たちの多くがNYで観劇して、「大ファンになった」と異口同音に言っていたのですが、ひねくれ者の私は「映画のミュージカル化でしょ」と思ってしまい・・・
帰国してからこの4月のcloseが判明して、結局観ずじまいになってしまい、今回日本版キャストで念願の初観劇となりました。
▼ゲネプロ
ブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」ゲネプロ2019 小池徹平 三浦春馬
▼幕間の感想です。
私なんで今までキンキーブーツ観てこなかったんだろう…やっぱシンディーローパーは神。クリエイティブ良き。小池&三浦コンビも予想以上にハマっていた。ソニンさんは帝劇の時と声変えていて別人だわ。客席が盛り上がってすごい熱気だ!
— るん / Lune (@nyny1121) 2019年4月20日
観客の熱気や興奮は2017年10月のジョン・キャメロン・ミッチェルが来日した『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』のオーブ公演を彷彿とさせるようなものでした。
いや、実際それ以上の盛り上がりでしたね。
ラストでみんな一体となってSing-alongできるのも最高でした。
オリジナル版を観ていないので何とも言えませんが、主演の小池徹平さんと三浦春馬さんは再演ということもあり、パフォーマンスが板についていると感じました。
小池さんは帝劇の『1789』の時より、今回はロングトーンもしっかり出ていたし、真剣にヴォイストレーニングをやってきたことが伝わってきました。
三浦さんはおそらくliveでは初かなと思いますが、観る者に有無を言わせない、堂々としたローラのパフォーマンスだけでなく、存在そのものが見事でした。
歌唱についても、意外でしたが、「Land of Lola」の細かい歌詞まで届いてきて非常に良かったです。
ボクシングのシーンのいでたちは、ギリシャ神話の登場人物かと思うほどの造形美。
楽曲に関しては、盛り上がるものももちろん良かったのですが、「父親との意見の不一致」、「父親の期待に応えられない不安」という共通項で、チャーリーとローラが 心を通わせる「Not My Father's Son」が個人的には一番好きでした。
親の期待に応えたいという思いは
ソニンさんは去年の『MA』のマルグリットぶり。
マルグリットのシリアスさとは打って変わって、今回のローレンは明るくコミカルさが売りですが、声質から変えて役作りをするとは流石です。
また、ドラァグクイーンという概念自体が希薄な田舎町の話だからこそ、勝矢さん演じるドンの存在がとても重要でした。
ドンのような存在こそ、ローラが故郷を捨て、ロンドンに出た理由でもありましたが、勇気を出してそれに真っ向から対峙し、「ありのままの自分を受け入れて」と訴えるローラには涙を禁じ得ませんでした。
ああ、今思い出しても涙が出るって一体何なんでしょうね。
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