『フリーキー・フライデー』とは
2018年にアメリカのディズニーチャンネルで公開されたミュージカル作品。
1972年のメアリー・ロジャースによる同名小説を基にした、2016年10月にディズニーシアトリカルプロダクションによりヴァージニア州アーリントンで初演された同名の舞台ミュージカルを映画化したもの。
舞台ミュージカル版はブロードウェイで上演される予定は現在のところない。
ちなみに原作者メアリー・ロジャースは『サウンド・オブ・ミュージック』などで知られる作曲家リチャード・ロジャースの娘であり、彼女自身はミュージカル『Once Upon a Mattress』を手がけている。
作詞・作曲は『ネクスト・トゥー・ノーマル』などを手がける作曲家トム・キット、そしてブライアン・ヨークによる。
ハイジ・ブリッケンスタフは舞台ミュージカル版でも母親役を演じている。
あらすじ
いつも友達のカールやモニカとつるむ高校生のエリーは、学校を挙げての大行事「ハント」を心待ちにしていた。
しかし、母親のキャサリンは危ないから行ってはいけないとエリーを制し、険悪なムードになってしまう。
キャサリンは間も無く結婚する予定の恋人のマイクと挙式の予定を組むのに大忙し。
一方、エリーは亡くなった実の父親を恋しく思う気持ちが強く、マイクに八つ当たりしてしまい、母親との関係は悪くなるばかり。
ある日、口論をしながら父親の形見であるアンティークの砂時計を取り合っているうちに、エリーとキャサリンは入れ替わってしまう。
エリーはキャサリンが同じものをもう1つ持っていたことを思い出すが、すでにそれはアンティークショップに売られてしまっていたのだ。
エリーが急いでそのお店を訪れるとすでに廃業しており、店頭の品物は町中のアンティークショップに各々引き取ってもらったとのことだった。
途方に暮れるエリーだったが、「ハント」を利用してその砂時計を見つけ出すことを思いつくのだった。
キャスト
エリー・ブレイク コージー・ズールスドーフ
キャサリン・ブレイク ハイジ・ブリッケンスタフ
フレッチャー・ブレイク ジェイソン・メイバウム
マイク・ハーパー アレックス・デザート
アダム リッキー・ヘ
トリー・ミン カヒュン・キム
サヴァンナ ダラ・レネー
カール・カールソン イザイヤ・レーティネン
モニカ・ヤン ジェニファー・ラポート
感想
Amazonのprime videoにあったので観てみました。
内容的にはどこかで聞いたことがあるような…と思われた方も多いはず。
人間の中身が入れ替わるお話は古典的ですよね。
さて、今回、何より楽しみだったのは、トム・キットの手がけた楽曲。
私はブロードウェイで彼がトニー賞音楽賞を受賞した『Next To Normal』を観劇して感動したのですが、最近ではoff broadwayで手がけた『Superhero』というミュージカルが初演されるなど、めざましい活躍ぶりのトムは、本作でもその本領を発揮しています。
ディズニー作品ということもあるのか、いつもの彼の作品より全体的にポップに仕上がっていて、且つ家族の内情を高らかに歌い上げている素晴らしいナンバーとなっています。
▼「What It's Like to Be Me」ポップなアニメーションが可愛いオープニングナンバー。舞台版にはない。
What It's Like to Be Me ⏳ | Freaky Friday | Disney Channel
▼「Just One Day」お互いへの不満が積もりに積もった母娘が「1日でも私になればこの大変さがわかるわ」と歌い合うナンバー。
Just One Day ⏳ | Freaky Friday | Disney Channel
▼「I Got This」入れ替わってしまった2人。「きっとうまくやるわ」と意気込むけれど、お互いに相手がヘマをしないかと心配な様子。
I Got This ⏳ | Freaky Friday | Disney Channel
▼こちらは一般の方のカヴァーで「Oh, Biology」。中身はお母さんであるはずのエリーがアダムにときめいてしまうシーンで、理科室で踊り歌われるナンバー。
Oh, Biology - "Freaky Friday The Musical" | Julie Good
▼こちらも一般の方のカヴァーで「At Last It's Me」。この曲も舞台版にはない。ハッピーエンディングを飾るナンバー。
At Last It's Me (from Freaky Friday) Music Video | Cozi Zuehlsdorff | Cover by Bethany Fisher
前半に名曲が多く、その分やや後半がたるみましたが、それでも素晴らしかったので、何度も車の中でサントラを聴いています。
やはり素人さんたちがカヴァーしたがる、というのは、ミュージカルナンバーとして名曲の証だと思うんですよね。
そして、キャスティングがまた素晴らしいのです。
主人公の娘エリー役のコズィちゃんがベリーショートが超絶似合うユニセックスな雰囲気が魅力の美少女で、歌もダンスも演技もいずれも完璧でした。
今後もまたミュージカルに出演してほしい若手女優さんです。
母親役のハイジさんは『[title of show]』や『Something Rotten』のオリジナルのビー役など、数多くのブロードウェイミュージカルに出演されている方で、歌声が感動的で素晴らしいです。
さらに、歌だけでなく、エリーに入れ替わった後のはしゃぎっぷり、はちゃめちゃっぷりが、観ているこちらが清々しい気持ちになるくらい貫いていて最高でした。
確かにライトなテレビミュージカルとして楽しむ分には良作ですが、これをブロードウェイに持っていかないのは納得です。
だからこそ、ぜひ日本でもBD/DVD化してほしいものです。