『夜の豹』とは
1940年初演の同名のブロードウェイミュージカルを基に製作されたが、内容は大幅に変更された。(舞台版ではジョーイは性格は非常に悪く、ラストはハッピーエンドではなく、舞台に独り取り残される。)
本作で、フランク・シナトラはゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞した。
リチャード・ロジャース&ローレンツ・ハートのコンビによる「I Could Write a Book」や「Bewitched」など、後にスタンダードナンバー化した名曲で彩られている。
ただし、「My Funny Valentine」や「Lady Is a Tramp」は同じくロジャース&ハートによる楽曲ではあるが、オリジンはミュージカル『青春一座(Babes In Arms)』である。
▼trailerです。
あらすじ
芸人ジョーイは才能はあるが、極めてわがままで、女に手が早く、あちこちでトラブルを起こして厄介払いされていた。
無一文でサンフランシスコへやって来たジョーイは、旧友ネッドが働くナイトクラブで働き、大富豪の未亡人ベラの愛人となってひともうけしようと企む。
そんなジョーイにコーラスガールのリンダが密かに想いを寄せていた…
キャスト
ジョーイ フランク・シナトラ
リンダ キム・ノヴァク
ベラ リタ・ヘイワース
グラディス バーバラ・ニコルス
ネッド ボビー・シャーウッド
感想
40代前半の脂ののったフランク・シナトラを楽しめる一作。
若い頃の彼は、ジーン・ケリーらと一緒に主演ということがままありましたが、本作はシナトラのソロ曲が多くあります。
シナトラ演じる、このジョーイですが、筋金入りのチャラ男です。
友だちの女を自分のモノにしてしまう、まったくしょうもない男です。
でも、一度マイクを握らせると、忽ちみんな彼に魅せられてしまう、そんな罪な男でもあります。
シナトラはこの役柄を地でいっていると多分に思うのですが笑。
彼が歌うナンバーで1番のお気に入りは「I Could Write a Book」です。
こんな歌を耳元で歌われたら、そりゃあリンダも落ちますわね、と思わず納得してしまいました。
▼「I Could Write a Book」
I Could Write a Book - Frank Sinatra and Kim Novak (Pal Joey)
また、この曲は、ミュージカル映画ではありませんが、メグ・ライアン主演の映画『恋人たちの予感』でもテーマ曲に採用されていて、まさに、曲の内容的にはこちらの映画の内容にこそぴったりなので、よかったらご覧ください。
このジョーイを巡って、リンダとベラは争うわけですが、お2人ともなんてグラマラスなんだろうと同性ながらうっとりしてしまいます。
リタ・ヘイワースも多くのミュージカル作品に出演していますが、本作では元ストリッパーで大富豪の未亡人という役柄。
最後は、ネタバレになってしまうので控えますが、うーん、私がベラの立場だったらあんなこと絶対できない!!ということをします。
私が未熟だからかしら。
ヘイワースがうっとりしながら歌う「Bewitched」もとても素敵で、何度も見てしまいます。
成熟した女性の中にある恋する乙女な部分が表れていますね。
▼ヘイワースによる「Bewitched」
Rita Hayworth - Bewitched, Bothered & Bewildered
キム・ノヴァクは、溢れんばかりの眩い若さ、という感じ。
憂いを帯びたアルトヴォイスで歌う「My Funny Valentine 」は聴き入ってしまいました。
プロットは意外と最後の最後までどう転ぶか定まらず、結局ラストまで集中してしっかり観てしまいました。