『ゴールド・ディガース(1933)』とは
1933年のワーナー・ブラザーズのミュージカル映画。
1919年ブロードウェイ初演の同名の舞台(プレイ)を基にしている。
音楽はハリー・ウォレン(作曲)、アル・デュビン(作詞)。
振付はバズビー・バークリー。
監督はメルヴィン・ルロイ。
あらすじ
1933年、世界大恐慌時代。
若手女優のポリー、キャロル、トリキシー、フェイは新作ミュージカルの開幕に向けてリハーサルをしていたが、急遽ショーが中止されることになる。
別のショーの仕事を探すポリーたちだったが、ご時世もあり、職探しは難航する。
そんな時、ショーのプロデューサーであるバーニーがポリーたちの元を訪れる。
バーニーはショーに全てを注ぎ込んでいたため落ち込んでいたが、隣の部屋から流れてくるピアノの演奏に気づく。
ピアノを弾いていたのはブラッドという若手作曲家であり、バーニーは彼の音楽は新作のショーに使いたいと申し出る。
ブラッドは快諾するが、自身の出演は断固として拒否し、その理由を言わない。
さらにブラッドは上演のためのお金まで出すと言い出す。
ブラッドに恋していたポリーは、彼が無理をして資金を捻出したと思い込み不安になるが、実は彼は大金持ちだった。
ショーの本番、ブラッドが代役を務めたことで、彼の兄ローレンスの知るところとなり、ポリーたちはgold diggers(お金目当てで近づく女性)と罵られる。
しかし、ローレンスもまた彼女たちに魅了されるようになる。
キャスト
J・ローレンス・ブラッドフォード ウォーレン・ウィリアムズ
キャロル・キング ジョーン・ブロンデル
トリキシー アリーン・マクマホン
ポリー ルビー・キーラー
ブラッド ディック・パウエル
ピーボディー ガイ・キービー
バーニー・ホプキンス ネッド・スパークス
フェイ ジンジャー・ロジャース
赤ちゃん ビリー・バーティ
感想
ショーガールとの身分違いの結婚を反対される隠れ貴族の作曲家を取り巻く人々を描いていて、結婚を反対していた兄や弁護士も、結局は恋に落ちてしまうというロマンティックコメディ。
ミュージカルシーンは劇中劇の中で主に繰り広げられます。
バズビー・バークレーの才覚が光る、芸術性の高いミュージカル映画だと思いました。
▼trailer
ディック・パウエルは同年の『四十二番街』にも出演していますが、本作でも見事な歌声を披露していました。
gold diggersの4人のうちの1人、ルビー・キーラーは『四十二番街』に続いてディック・パウエルと共演しています。
ジョーン・ブロンデルは大きな瞳が印象的で、アリーン・マクマホンとともに演技で魅せていました。
本作でのジンジャー・ロジャースはあまり目立つ役回りではありません。
冒頭の「We're In The Money」では金貨を身に纏う大胆な衣装でパフォーマンスしています。
▼「We're In the Money」
一件の価値のあるのは後半にある「The Shadow Waltz」。
光るヴァイオリンを使った目を引く演出や、螺旋階段を模したドレスを着たダンサーたちが螺旋階段に並んで踊るシーン、水面に映る人影に花を投げ入れるラストと、非常に美しいミュージカルシーンとなっていました。
このシーンはモノクロだからこそ、より美しく観られるように思います。
▼「The Shadow Waltz」
ロマコメですが、ラストのナンバーは時代を反映し、不況に喘ぐ人々を描いた重々しいものとなっています。
公開された頃は世界恐慌只中ですし、この作品は当時の人々の心を照らしたのだろうと想像しました。