『失われた地平線(1973)』とは
1973年のコロンビアピクチャーズによるミュージカル映画。
原作はジェームズ・ヒルトンの同名小説。
作曲はバート・バカラック、作詞はハル・デヴィッド。
監督はチャールズ・ジャロット。
あらすじ
ある国で革命運動が起こり、現地に滞在していたリチャードら一行は急遽帰国することになったが、飛行機がハイジャックされてしまう。
途中でエンジンが故障し、飛行機がヒマラヤの雪山に墜落したことでハイジャック犯は亡くなり、リチャードたちは寒さと孤独に怯えながらその場に取り残される。
そこにチャンが率いる旅の一団が通りかかり、リチャードらは彼らと一緒に旅を続け、シャングリラに辿り着く。
そこは俗世から切り離された桃源郷だった。
各々、次第に素朴な生活に慣れていくが、リチャードの弟ジョージだけはその場に馴染むことができなかった。
ジョージはシャングリラで出会った恋人のマリアと逃げ出そうとするが、ハンは「若く見えるマリアは実際には100歳を超えており、シャングリラを出ると元の年齢の姿に戻ってしまう」と忠告する。
しかしジョージはそれを信じず、リチャードも一緒に逃げ出すが、実際にはハンの言ったとおりマリアは年老いて亡くなる。
絶望と悲しみのあまり、ジョージは崖から落ちてしまう。
キャスト(歌唱部分の吹き替え)
リチャード ピーター・フィンチ(ジェリー・ウィットマン)
キャサリン リヴ・ウルマン(ダイアナ・リー)
サリー サリー・ケラーマン
サム ジョージ・ケネディ
ジョージ マイケル・ヨーク
マリア オリヴィア・ハッセー(アンドラ・ウィリス)
ハリー ボビー・バン
トーレン ジェームズ・シゲタ
チャン ジョン・ギールグッド
ハイ・ラマ シャルル・ボワイエ
感想
思いがけず異世界に迷い込み、人生が変わってしまった人々の物語。
バート・バカラックが音楽を担当しているため、米盤を購入して観ましたが、なぜミュージカル映画にしようと思ったのか、最後まで腑に落ちない作品でした。
ただ豪華なセットや脇を固める豪華な役者陣は一見の価値があると思いました。
▼trailer
シャングリラの豪華な宮殿や庭園のセットには目を見張るものがあります。
その点は美術さん、お見事です。
子どもたちがたくさん出てくるのですが、「The World Is a Circle」や「Question Me an Answer」といったナンバーは、エキゾチックでありながら『サウンド・オブ・ミュージック』的な世界観が広がっていて楽しかったです。
メインの役者たちはミュージカル映画の常連という顔ぶれではありませんが、意外にもサリー・ケラーマンは自身の声で歌っていて、なかなか好みでした。
あとは『フラワー・ドラム・ソング』などでお馴染みのジェームズ・シゲタさんもご自身の声で歌われていましたが、脇役でナンバーは少なめ。
布施明さんと出会う前のオリヴィア・ハッセーさんも出演していて、歌は吹き替えではありますが、日本舞踊のようなダンスも披露していてとても素敵です。
バカラック自身、「曲だけ単独で聴くといい曲なのだけれど、この話には合っていない」と話している通り、サントラとして聴く分にはいい曲なのだけれど、物語の途中で流れると違和感があることもありました。