『ニューヨーク・ニューヨーク(1977)』とは
マーティン・スコセッシ監督による1977年のアメリカのミュージカル映画。
原案はアール・マック・ラウチによる。
フランク・シナトラにもカヴァーされ、スタンダードナンバー化したフレッド・エブ作詞、ジョン・カンダー作曲の「Theme from "New York, New York"」はこの映画のために書かれた。
フレッド・エブ&ジョン・カンダーのコンビは、ライザのブロードウェイ主演デビュー作である『Flora and the Red Menace』を皮切りに、『シカゴ』、『キャバレー』、『蜘蛛女のキス』など多くのブロードウェイミュージカル作品を手がけた。
あらすじ
1945年8月15日、アメリカが第二次世界大戦の勝利に沸いている中、ジャズサクソフォーン奏者であるジミーは、ナイトクラブで歌手のフランシーンと出会う。
ジミーの口説いナンパを拒絶するフランシーンだったが、仕方なく次の日ジミーをオーディション会場に連れて行く。
ジミーは演奏を披露するが、オーナーと言い争いになってしまい、見かねたフランシーンがジミーの演奏に合わせて歌声を披露し、それに感動したオーナーは2人に仕事をオファーする。
ともに旅巡業をする中、フランシーンもジミーに惹かれ、フランシーンはジミーの子どもを妊娠する。
お腹の子どものために旅巡業はやめたいとフランシーンが訴え、仕方なくジミーも仕事を辞める。
ニューヨークに戻った2人はフランシーンはCMソングなどの簡単な仕事をし、ジミーはナイトクラブで演奏し、次第にすれ違ってしまう。
そのうちに、フランシーンは大物プロデューサーに才能を見出され、トップスターへの道を確約されるが、そのことにジミーは嫉妬や自身への不甲斐なさを感じてしまう。
フランシーンは無事に男の子を出産するが、ジミーは子どもに会うことなくその場を去る。
キャスト
ジミー・ドイル ロバート・デ・ニーロ
トニー・ハーウェル ライオネル・スタンダー
ポール・ウィルソン バリー・プリムス
バーニス・ベネット マリー・ケイ・プレイス
感想
私は、有名なスタンダードナンバー「ニューヨーク・ニューヨーク」が大好きで、この映画もいつか観てみたいとずっと思っていた作品でした。
初めてニューヨークに降り立った時にも聴いていた、思い入れのある楽曲です。
▼trailerです。
New York, New York Official Trailer #1 - Robert De Niro Movie (1977) HD
ともに芸術家志望の主人公を演じるのはライザ・ミネリとロバード・デ・ニーロ。
ライザ・ミネリは外見(特に鼻から上のあたり)がヴィンセント・ミネリ監督とそっくりだし、パワフルな歌声はジュディ・ガーランドを彷彿とさせます。
『キャバレー』から約5年を経て、さらに円熟味を増した彼女のパフォーマンスを堪能することができます。
本作でのロバート・デ・ニーロの役どころはややトリッキーな性格のミュージシャンで、監督の指示だと思われますが、実生活で遭遇したら距離を取りたいなと思う感じの人物像でした。
ナンパにしろ、プロポーズにしろ、予想外のことばかりしでかすので、途中からあきれ果ててしまいました。
タイトル曲であり、世界的に知られる「ニューヨーク・ニューヨーク」は大団円でフランシーンにより歌われますが、夢を描いていた若い頃の主人公たちと重なる一方、その夢の末路にいる現実に胸が痛くなりました。
ニューヨークはスコセッシ監督の故郷でもあるので、監督自身の思い入れも強そうです。
また、監督のintroductionにもあったように、この映画が作られたのは70年代ですが、50年代頃のレトロなハリウッド映画を意識して作られたそうで、随所に印象的な鮮やかな色彩が衣装なり背景なりで登場します。
このことは音楽にも言えて、フランシーンが途中で歌う「You are My Lucky Star」は『雨に唄えば』に登場するナンバーですし、終盤のフランシーンによる舞台『Happy Ending』の空想シーンは明らかに『雨に唄えば』のダンスシーンを意識していることがわかりました。
この映画の冒頭は終戦の頃なので、映画全体の雰囲気をあらすじと同じ40〜50年代に合わせたいという監督のこだわりを感じました。
▼フランシーン主演舞台「Happy Ending」
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