『ベル・オブ・ニューヨーク(1954)』とは
1954年のMGMによるミュージカル映画。
監督はチャールズ・ウォーターズ。
あらすじ
金持ちの御曹司でプレイボーイのチャールズは、気に入った女性と婚約しては直前になって婚約破棄することを繰り返していたため、多額の賠償金を要求されており、レティおばさんは憤慨していた。
そんなある日、救世軍の楽団にいるアンジェラの歌声を街頭で聴き、彼女に一目惚れする。
身の堅いアンジェラはチャールズを全く相手にしないが、何度もアプローチするチャールズに、最後はアンジェラも恋に落ち、婚約を交わす。
このことにレティおばさんも大喜び。
しかし、結婚式の日、チャールズは式場に現れなかったのだ。
直前になり、結婚することへの恐怖が沸き起こっていたのだった。
アンジェラは落ち込むが、わざと奔放な女性を装って、チャールズのいるカジノへ乗り込むのだった。
キャスト
アンジェラ ヴェラ・エレン
レティおばさん マジョリー・メイン
弁護士マックス キーナン・ウィン
感想
この作品名にある「ベル」は鐘を意味するBellではなく、美女を意味する「Belle」です。
そのため、タイトルを直訳すると「ニューヨークの美女」となります。
印象的なのは、「恋をすると宙に浮く」という言葉通り、劇中で宙に浮かびながら踊るシーンです。
最初は突然のファンタジックな展開でやや戸惑いましたが、ここはミュージカル映画黄金期、何でもござれです。
フレッド・アステアがワシントンハイツにある門のような高所で踊るこのシーンは、恋に落ちた者が陥る浮かれた気持ちがよく表現されています。
この映画でも、このようなアステアらしいエレガントなダンスシーンを多く楽しむことができます。
▼「Seeing's Believing」
The Belle of New York (1952) – Seeings Believing
砂粒を撒いた上でタップを踊るのは『トップ・ハット』でもやっていた技法ですが、今回も素晴らしいです。
▼「I Wanna Be a Dancing Man」
The Belle of New York (1952) – I Wanna Be A Dancin' Man
アステアの相手役を務めたヴェラ・エレンは、優等生タイプの女性が男性との出会いでやや奔放になるという、どことなく『グリース』を思わせる役どころで、彼女らしさが際立っていました。
特に、顔に見立てたタンブリンを相手に踊る「Naughty But Nice」はチャーミングで何度見ても飽きないシーンです。
また、特筆すべきなのは、2人の距離が縮まる「Oops」というナンバー。
馬車を舞台に繰り広げられる、長尺のナンバーですが、2人のダンスの息が絶妙に合っていて見応えがあります。
興業的には失敗に終わった小作ではありますが、馬の上で踊ったり、バドミントンをしながら踊ったりと、小さな工夫が積み重ねられていることを見て取ることができました。
純粋にMGMのミュージカル黄金期の世界に浸りたい時や、ロジャース以外のペアでアステアのダンスを楽しみたい時におすすめです。
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