『踊る騎士(1937)』とは
作詞・作曲はジョージ・ガーシュウィン、アイラ・ガーシュウィン。
ハーミーズ・パンが振付した遊園地で踊る「Stiff Upper Lip」のシークエンスは、アカデミー賞美術賞を受賞した。
監督はジョージ・スティーヴンス。
あらすじ
トットニー城に住むアリス嬢はまもなく結婚すると噂されており、城の使用人たちは結婚相手が誰か、賭けをしていた。多くが知られた名前を挙げる中、アルバートだけが誰も知らない"ミスターX"に賭ける。
アリスは密かにスイスで出会ったアメリカ人に恋していた。
ある日、ロンドンに出かけたアリスは偶然、ダンサーのジェリーに出会う。
ジェリーはアリスと話す中で、アリスが恋しているアメリカ人は自身のことだと勘違いし、アリスに恋する。
広報係のジョージや秘書のグレーシーとともに、ジェリーはアリスの住む城を訪れる。
アルパートはジェリーが"ミスターX"だと思い込み、彼の恋を応援する。
一方、賭けに負けたくない執事のケッグスは、ジェリーやアルパートを邪魔する。
ジェリーはアリスの部屋に押しかけ、2人は次第に親しくなるが、過去にジェリーが数々の浮き名を流していたことが仇となり、アリスはジェリーを遠ざけるようになる。
キャスト
ジェリー フレッド・アステア
ジョージ ジョージ・バーンズ
アリス ジョーン・フォンテイン
ケッグス レジナルド・ガーディナー
レジー レイ・ノーブル
キャロライン コンスタンス・コリアー
マーシュモートン モンタギュー・ラヴ
アルバート ハリー・ワトソン
感想
この作品はガーシュウィン兄弟の音楽とフレッド・アステアのパフォーマンスを同時に楽しめるという点で観る価値があると思います。
ガーシュウィンが音楽を手がけた『踊らん哉(1937)』のように、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのペアはみられませんが、代わりにアステアのジョージ・バーンズ/グレイシー・アレン夫婦との掛け合いがとても楽しいです。
制作途中でジョージ・ガーシュウィンは亡くなりますが、後にスタンダード・ナンバー化する「I Can' t Be Bothered Now」や「Stiff Upper Lip」、「Nice Work If You Can Get It」といった名曲の数々をこの映画のために書き残しています。
これらは1992年初演の舞台ミュージカル『Crazy For You』に使われています。
▼「I Can't Be Bothered Now」
▼「Stiff Upper Lip」
「Stiff Upper Lip」では、遊園地の一角を使い、ベルトコンベアや湾曲した鏡を使ったダンスを披露しています。
コメディックなグレイシー・アレンがいい仕事をしています。
▼「Nice Work If You Can Get It」に合わせてタップを踏むアステア
ヒロインのジョーン・フォンテインは歌うことはなく、アステアとのデュエットダンスも林の中をターンとステップで通り抜ける簡単なもので、ロジャースの時と比べると物足りなさはありますが、当時19歳とは思えない大人びた魅力があります。