『世紀の楽団(1938)』とは
作詞・作曲を務めたアーヴィング・バーリンの楽曲が多数使用されている。
脚本はアーヴィング・バーリンの他、リチャード・シャーマン、キャスリン・スコラ、ラマー・トロッティ。
監督はヘンリー・キング。
アカデミー賞最優秀歌曲賞を受賞した。
あらすじ
ヴァイオリン奏者のロジャーはクラシック音楽からラグタイムに転向し、音楽教師や家族を落胆させてしまう。
チャーリーやデイヴィーなどのバンドメンバーとともにバーに売り込むが、その場に居合わせた歌手ステラとともにバンドを結成することとなる。
最初は互いに不満があった両者だが、次第に妥協して一緒に音楽活動をするようになる。
チャーリーは想いを寄せるステラのために音楽を作るが、ステラはロジャーと恋に落ちる。
チャーリーも彼ら2人の恋を理解し、仕事も軌道に乗るが、プロデューサーに引き抜かれたのはステラだけだった。
1人だけでニューヨークに行くことになったステラにロジャーは腹を立て、喧嘩別れする。
仲裁に入ったチャーリーとも言い争いになったロジャーは、ステラやチャーリーと別れ、兵士として戦地に赴く。
戦地から帰ってきたロジャーは、謝るためにステラの元を訪れ想いを伝えるが、ブロードウェイのスターになっていたステラは既にチャーリーと結婚していた。
落ち込むロジャーは新たにバンドの歌手となったジェリーの支えもあり、再び音楽に向き合うようになる。
キャスト
ロジャー(改めアレクサンダー) タイロン・パワー
ステラ アリス・フェイ
チャーリー ドン・アメチー
ジェリー エセル・マーマン
デイヴィー ジャック・ヘイリー
感想
アーヴィング・バーリンが音楽を手がけたミュージカル映画はいくつかあるのですが、この作品ほど彼の音楽が詰まった作品はないのではないでしょうか。
前半ではハリウッド黄金期にミュージカル映画で主演したアリス・フェイ、後半にはブロードウェイの数々の舞台で主演を張ったエセル・マーマンが主に歌います。
▼trailer
使われているアーヴィング・バーリンの曲は「Alexander's Ragtime Band」「Heat Wave」「Easter Parade」「Now It Can Be Told」「A Pretty Girl Is Like a Melody」「What'll Do I?」「My Ragtime Violin」「Everybody's Doin' It Now」など。
これら以外にもinstrumentalでサラッと挿入されている曲も含めると、ナンバーは約26曲にものぼります。
楽しいミュージカルシーンとともに、アルトの歌声が素敵なアリス・フェイ、二枚目のタイロン・パワー、ピアノの弾き語りが素敵なドン・アメチーの掛け合い、人間ドラマも見どころ。
ラグタイムという音楽がバーなどの庶民的な場から、アメリカ音楽としてヨーロッパにツアーに出て、最終的には音楽家なら誰もが憧れるカーネギー・ホールで演奏されるまでになるという、ラグタイムの旅路も、この物語は示しています*1。
脚本にも携わったアーヴィング・バーリンにとってタイトル曲は最初のヒットですし、この映画には彼のアメリカ音楽に対する愛が詰まっているように感じられます。
*1:このあたりは史実とは異なる部分がかなりあります。