『スター!(1968)』とは
イギリス出身で、ロンドンやブロードウェイの舞台で活躍した女優ガートルード・ローレンスの半生を描いている。
『サウンド・オブ・ミュージック』に続いて、ジュリー・アンドリュースとロバート・ワイズが組んだ作品。
監督はロバート・ワイズ。
あらすじ
ガートルード・ローレンスはボードヴィル俳優を父に持つ貧しい家庭で育つが、幼少期から舞台学校に通い芸事を学んでいた。
同じ舞台学校で学んだノエルとは竹馬の友であり、生涯にわたってその交友は続くことになる。
家を出た父が所属する劇場で舞台経験を積みながら、様々な舞台を踏み、舞台女優としてのスターダムを駆け上がっていく。
彼女を主役の代役に採用した舞台監督のジャックと結婚し、一女に恵まれるが、子どもを酒場に連れて行くなどの非常識な行動に怒ったガートルードは離婚を決意する。
英国軍隊に所属するアンソニーに出会ったガートルードは、レディーとしての嗜みを身につけていく。
ガートルードはアンソニーに求婚されるが、アメリカでのデビューショーの出演が決まり、返事をせずに旅立つ。
アメリカでのキャリアは順調だったが、娘パメラとの疎遠な関係に悩み、経済的にも厳しくなり、徐々に精神的に追い詰められ、酒に溺れていく。
そんな折、ノエルがサプライズで開催した誕生パーティーで、ガートルードは、地方の劇場を運営するイギリス人銀行家リチャードと出会う。
キャスト
リチャード リチャード・クレンナ
アンソニー マイケル・クレイグ
ノエル・カワード ダニエル・マッセイ
チャールズ ロバート・リード
アーサー・ローレンス ブルース・フォーシス
パメラ ジェニー・アガター
感想
ジュリー・アンドリュースが出演するということで随分前に観たのですが、もう一度見直してみました。
舞台女優ガートルード・ローレンスの伝記映画ということで、舞台でのミュージカルシーンが中心となっています。
『サウンド・オブ・ミュージック』や『メリー・ポピンズ』でお馴染みのジュリー・アンドリュースの美声は本作でも健在です。
▼trailerです。
貧しい家庭環境から成り上がり、イギリスだけでなくアメリカでも活躍した彼女の人生は、その華やかな表舞台の裏で、仕事と家庭の両立や母親としての責任を果たせないことへの苦労があったということがよくわかりました。
ジュリー・アンドリュースのキャリアのスタートは舞台で、『マイ・フェア・レディー』や『キャメロット』のオリジナルキャストです。
ジュリー・アンドリュースの出演作で舞台ものというと、『ヴィクター/ヴィクトリア』もありますけれど、ちょっと趣が違いますし、実際にブロードウェイやウエストエンドで活躍していた舞台女優としてのジュリーの素顔に近いのはこの作品なのではないかなと思いました。
舞台の実際の映像は公になることはないので、この映画を通して、舞台女優としての彼女の一面を垣間見られたような気がしました。
▼「Limehouse Blues」
▼「Someone to Watch Over Me」
「The Saga of Jenny」
上映時間は3時間近くあり、長尺で、確かに少し冗長な感じはありました。
ジュリーのパフォーマンスが素晴らしいから、色々と盛り込みたかったのだろうという製作陣の気持ちはわかりますが、やはり長く、途中で疲れてしまいました。
ガートルード・ローレンスの日記や旧友であるノエル・カワード本人から聴取した彼女との思い出など、取材を徹底して制作に臨んだ、その意気込みは感じ取れましたが、興行的には失敗に終わりました。
しかし、舞台でのミュージカルシーンはジュリーを抜きにしても衣装や舞台セットなど見応えがあり、一見に値する出来となっていました。