ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『カバー・ガール(1944)』Cover Girl

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『カバー・ガール(1944)』とは

1944年のコロンビア映画によるミュージカル映画

音楽は複数人によるもので、カルメン・ドラゴンとモリス・ストロフがアカデミー作曲賞を受賞した。

また、ジェローム・カーン作曲、アイラ・ガーシュウィン作詞による「Long Ago and Far Away」はアカデミー賞オリジナル歌曲賞にノミネートされた。

監督はチャールズ・ヴィダー

ジーン・ケリーは、本作で演じているダニー・マグワイア役を、本作から36年後に上映された『ザナドゥ(1980)』でも再び演じている。

あらすじ

ラスティは、恋人のダニー・マグワイアの経営するナイトクラブでコーラスガールをしている。

同僚のモーリン・マーティンが雑誌「Vanity」のカバーガール(雑誌の表紙を飾る女性)のオーディションに応募する話を聞き、密かにスターになることを夢見ていたラスティも応募する。

面接官のコーネリアにひどい評価を受けたモーリンは、当て付けに、ラスティに面接がうまくいかないようにするための助言をする。

モーリンの助言を信じたラスティはその通りにすると、履歴書も渡せぬままコーネリアに追い返されてしまう。

つかの間落ち込むモーリンだが、コーラスガールの仕事に戻り、仕事終わりにダニーやジーニアスと牡蠣を食べると気を取り直すのだった。

一方、「Vanity」の編集長のジョンは、なかなかカバーガールを見つけられずにいた。

コーネリアスの勧めるモーリンを見るため、ダニーのナイトクラブを訪れると、ラスティに一目で魅了される。

なんと、ラスティの祖母のマリベルは、ジョンのかつての婚約者でもあったが、結婚式当日に逃げられたという過去があったのだ。

モーリンはカバーガールに決まり、大きな劇場での主演の話が舞い込むが、ラスティの心はダニーにあった。

しかし、ある日ダニーと喧嘩別れしてしまうのだった。

キャスト

ラスティ・パーカー/マリベル・ヒックス リタ・ヘイワース

ダニー・マグワイア ジーン・ケリー

ジーニアス フィル・シルヴァース

ジョン・コーダイ オットー・クルーガー

コーネリア・"ストーンウォール"・ジャクソン イヴ・アーデン

ノエル・ウィートン リー・ボウマン

感想

絶頂期にあったリタ・ヘイワースの美しさが光る、ジーン・ケリーとのロマンティックなミュージカル映画です。

コロンビアと契約していたリタ・ヘイワースもまた、時代の流れにのって多くのミュージカル映画に出演した女優の一人でした。

その美貌だけでなく、子ども時代から培ってきた歌、ダンス、演技すべてにおいて優れていることが、この映画をはじめ多くの作品で証明されています。

▼「Make Ways For Tomorrow」


gene kelly, rita hayworth & phil silvers - make way for tomorrow

ジーン・ケリーリタ・ヘイワースとともに行動するジーニアス役のフィル・シルヴァースは、本作でちょうどいいコミックリリーフとして活躍していました。

やはり主演2人だけだと重苦しい雰囲気になりがちなところを、シルヴァースが入ることでやや和ませてくれますね。

彼は後年になってテレビや舞台にも進出し、エミー賞トニー賞を受賞するなど活躍した方です。

ジェローム・カーン作曲だけあって、音楽も魅力的でした。

また、1890年代風のファッションも、リタ・ヘイワースの美しさと相まって見応えがありました。

アカデミー歌曲賞にノミネートされたロマンティックなナンバー「Long Ago and Far Away」


Long Ago (and Far Away) — “Cover Girl 1944”

キャリアでの成功を願う気持ちと、恋人ダニーへの気持ちとの間で揺れ動くラスティを演じるリタ・ヘイワースの切ない表情にうっとりしてしまいます。

ジーン・ケリー VS ジーン・ケリー

また、ラスティを想うからこそ悩むジーン・ケリーが演じるダニーの自分自身とのダンスは必見です。

この頃から、このような場面でジーン・ケリーらしい創意工夫が見て取れます。

体操選手だっただけあって、体幹がしっかりとした安定感のあるダンスがケリーの特徴です。

▼自分自身との対峙を卓越したダンスで表現した、ジーン・ケリーによる名シーン


Gene Kelly in 'Cover Girl' (1944) - Alter Ego Dance Sequence

最後に脱線しますが、リタ・ヘイワースの名前を初めて聞いたのはデヴィッド・リンチ監督の『マルホランドドライブ』でした。

主人公が偽名として、とっさに見かけたリタ・ヘイワースのポスターから「リタ」と名乗る場面が印象的でした。