ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ』 2009年8月 ★★★★★

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宝塚のチケットを取れず、行ってきた第二候補の『Sunday in the Park with George』。

 

ビビッときました。

 

もう少し安ければ、もう一度見直したいくらいです。

 

もっと細かい部分を確認しなおしたい衝動に駆られました。


  【作品について】

 

この作品は、画家ジョージ・スーラ作の「グランド・ジャット島の日曜日」をモチーフにして

 

スーラの人生と重ね合わせ、(もちろんフィクションですが)つくられたものです。

 

作詞作曲は、スティーブン・ソンドハイムさん

 

ウェスト・サイド・ストーリー』『ジプシー』の作詞、また作曲作詞を手掛けたものには、

 

『カンパニー』『スウィーニー・トッド』『イントゥ・ザ・ウっド』などがあります。


  【演出・舞台装置】

 

一見して驚くのは、大胆なスクリーン・プレイです。

 

去年か一昨年あたりにブロードウェイで上演された時に、

 

スクリーンを用いた演出については小耳にはさんでいたのですが、

 

予想していたのとはだいぶ異なっていました。

 

舞台背景がスクリーンになっていて、このスクリーンが傾斜舞台に馴染んでいて、

 

違和感もなかったし、わざと感もなく、自然に受け止められました。

 

冒頭シーンなどは、キャンパスに巨大な筆で誰かが線を引いているようで、

 

視覚的にきれいで見入ってしまいました。

 

今観ても意表をつかれたので、初演当初はかなり挑戦的な試みだったのでしょう。

 

1幕の静止画と、2幕の近代的な映像作品の対比も、このスクリーンのお蔭です。

 

サイドや下方から出る小型スクリーンも、2幕のジョージの忙しさを表すのに、効果的でした。

 

ただ、唯一犬は、不自然でなくもないかなと感じてしまいました。



  【感想】

 

・1幕と2幕の関係

 

この作品の特徴のひとつに、1幕と2幕で、役者の演じる人物が異なる、ということがあります。

 

通常、1幕から2幕への移行は、時間・空間的に変わるケースは多くありますが、

 

メインのキャストが前幕とは異なる登場人物を演じる、なんていうことは、まずありませんよね。

 

この作品では、1幕が、点描画家のジョージ・スーラと、彼の恋人ドットにまつわる話。

 

2幕が、彼らの間に生まれた娘マリー(おばあちゃんになってる)と、彼女の孫で発明家のジョージにまつわる話。

 

つまり、スーラの曾孫は、分野は違えどもアーティストであり、同じジョージ名前だったのです。

 

しかし、性格は極めて対照的。

 

1幕のジョージは人付き合いが苦手なのに対し、

 

2幕のジョージは「この業界は人付き合いで成り立っている」と割り切っている。

 

また、1幕と2幕で、共通して出てくるものは、トッドの使っていた文法書。

 

その他も、登場人物一人ひとり考察していけば、いろいろな見方ができる作品だと思いました。

 

2幕の最後、亡きトッドが曾孫ジョージの前に現れ、

 

世代を超えて、曾祖父ジョージから曾孫ジョージに、想いが伝わる場面は、

 

感動とは違った不思議な安らかな気持ちになりました。



・ソンドハイムの音楽

 

この作品の音楽は、ソンドハイム独特のもので、普通のミュージカルナンバー的ではないです。

 

難解な音楽、と評されるだけあって、確かに演じる側は難しいだろうなぁと思えます。

 

その人の感情とか動作とかが、音楽にすごく反映されていて、、、

 

例えば、スーラが点描で絵を描く場面では、伴奏は点描するのに合わせて一音一音切って演奏されていたり。。。

 

そんな難しい楽曲を、石丸さん&戸田さん、他出演者の方々は歌いこなしていました。

 

すごいです!!!

 

1幕最期の「サンデー」は鳥肌ものでした!!

 

また、特に、1幕ではジョージの恋人を、

 

2幕ではお祖母ちゃんマリーを演じ分けていた戸田さんの演技力(歌唱力も含めて)は、

 

本当に素晴らしいの一言に尽きます。



  キャスト

 

ジョージ…石丸幹二
トッド/マリー…戸田恵子
老婦人/ブレアー・ダニエルズ…諏訪マリー
ジュール/ボブ・グリーンバーグ山路和弘
イヴォンヌ/ネイオミ・アイゼン…春風ひとみ
フランツ/デニス…畠中洋
ボート屋/チャールズ・レドモンド…野仲イサオ
看護婦/ハリエット・ポーリング…花山佳子
セレステ2/イレイン…鈴木蘭々
セレステ1/ウエイトレス…冨平安希子
兵隊1/アレックス…岸祐二
兵隊2/カメラマン…石井一彰
ミセス/美術館アシスタント…南智子
ミスター/リー・ランドルフ…岡田誠
ルイ/ビリー・ウェブスター…中西勝之
フリーダ/ベティ…堂ノ脇恭子


  基本データ

 

会場…PARCO劇場

 

演出…宮本亜門


1984年broadway original castによる「♪Sunday」

Sunday in the Park with George