『Scotland, PA』とは
2019年7月よりオフブロードウェイで初演されたミュージカル。
2001年の同名映画を基にしている。
シェイクスピアの『マクベス』の舞台設定を、1975年のペンシルベニア州スコットランドに置き換えたストーリーになっている。
作詞・作曲はAdam Gwon。
演出はLonny Price。
あらすじ
この平凡な田舎町でファストフード店に勤める若い夫婦、マックとパットはより良い暮らしを求めていた。
その気持ちは徐々に膨らんでいき、勤務先に強盗に入る計画を立てる。
アリバイを作るために、2人は同僚のバンコを誘ってキャンプに行き、その途中で買い物に行くと言い残し、犯行に及ぶ。
しかし、予想に反して店長と強盗現場で遭遇してしまい、2人は誤って店長を殺してしまう。
希望に満ち溢れていたはずの2人は、嘘に重ねた嘘により、身動きが取れなくなっていく。
キャスト
Mac Ryan McCartan
Pat Taylor Iman Jones
Banko Jay Armstrong Johnson 『Parade』
Jessie Alysha Umphress
Stacey, Brenda Wonu Ogunfowora
Hector Kaleb Wells
Duncan, Ray Jeb Brown
Malcom, Bert Will Meyers
Doug, Andy, Gary David Rossmer
Mrs. Lenox Lacretta
Peg McDuff Megan Lawrence
感想
秋は、オフブロードウェイの方がミュージカルが華やかですね。
本作は、シェイクスピアの『マクベス』がベースにあるので、劇中にも随所にマクベスに関連する表現が出てきます。
原作を原語で読んでいないので全てわかりませんでしたが、台詞にもオマージが込められているそうです。
▼trailerです。
Scotland, PA | A Killer New Musical
▼観劇後の感想です。
『Scotland, PA』マチネでroundaboutのoff新作。シェイクスピアの『マクベス』の舞台を1975年のペンシルベニア州の小さな町に移したダークコメディ。バーガーショップで働く夫婦が生活を変えるために強盗を企てるが失敗、意図せず殺人を犯してしまう。同名映画のミュージカル化。こういう類、大好き。 pic.twitter.com/m7h79BPpnz
— るん / Lune (@nyny1121) 2019年9月23日
ダークコメディという説明だったので、どんなものだろうと思っていたら、キャッチーな音楽が魅力的な楽しいミュージカルコメディでした。
殺人の場面はやはりグロテスクではありましたが、なぜか笑いが起きてしまうような雰囲気。
まだpreview中だったので、全体的にやや粗さは目立ちましたが、特にメインの役者、Ryan, Taylor, Jayの3人が素晴らしかったです。
主人公Mac役の方がウィキッド15周年記念キャストのフィエロなのだけど、眼鏡をかけると一気にリトショのシーモア風に🤓相手役Patのbeltingが気持ちよかった。よく通る良いお声をお持ち。そしてBanko役の方の悪い人じゃないんだけど頭の回転が遅い「よくいるあの人」を演じられる賢さは見事! pic.twitter.com/e4DKTnZYre
— るん / Lune (@nyny1121) 2019年9月23日
ブロードウェイのロングラン作品で二枚目を演じている2人ですが、本作では全く違う役どころを演じています。
特にBanko役のJayの、少しおつむが弱そうな人の演技は、しゃべり方や仕草にいたるまで秀逸でした。
若い妻を演じたTaylorは、故郷からニューヨークに出てきてすぐにブロードウェイデビューを決めたという逸話の持ち主で、最近だと『Groundhog Day』や『Head Over Heel』などに出ていました。
よく通り伸びやかなbeltingと豊かな表情が魅力的な若手女優さんです。
▼若い妻を演じるTaylor Iman Jonesの素晴らしい歌声
"What We've Got" from SCOTLAND, PA
前日くらいにこんなメールが来て、どんな特殊効果を使うのかと身構えていたけれど、心配する必要はあまりなかった。
— るん / Lune (@nyny1121) 2019年9月23日
ラストはやや粗めな印象を受けたけれど、犯罪、恋愛、親子関係、友情…など要素が多くて、マクベスが元ネタとは思えないほど笑えて、ミュージカルシーンの盛り上がりもあった。 pic.twitter.com/h1yApPYiDD
もう一曲、本作中のキラーチューンが「Why I Love Football」です。
この曲は、サッカー部に参加している理由を語りながら、自身がゲイであることをカミングアウトする内容になっています。
このナンバーの後は、しばらく拍手が止まりませんでした。
▼「Why I Love Football」
"Why I Love Football" from SCOTLAND, PA
小物をたくさん使うため、テンポがずれると一気に崩れてしまうので、ちょっとヒヤヒヤする場面もありましたが、何とかうまくいっていました。
ナンバーやカラフルな舞台、個性的なキャラ、所々ダークな部分も好みで、楽しい時間を過ごせました。