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『Prayer for the French Republic』2024.2.24.14:00 @Samuel J. Friedman Theatre

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『Prayer for the French Republic』とは

2022年オフブロードウェイでプレミア上演された後、2024年ブロードウェイで初演された、Joshua Harmonによるプレイ。

2022年ドラマデスク賞最優秀演劇賞を受賞した。

3幕構成。

演出はDavid Cromer。

あらすじ

2016年フランス、パリに暮らすマルセルの自宅を、彼女の遠縁にあたるモリーアメリカから語学研修で訪れる。

マルセルは大学で教鞭を取っていて、アルジェリア出身のユダヤ人医師の夫チャールズと暮らしている。

そこに、彼らの息子ダニエルが顔に怪我を負って帰宅する。

ダニエルはキッパ(ユダヤ教徒特有の帽子)を被っていたことから、反ユダヤ主義の人々のターゲットにされたのだった。

一方、シーンが変わり1944年、ナチスによる迫害に苛まれる第二次世界大戦下。

子どもたちが収容所に連行され、残された夫婦は自宅に閉じこもっている。

2つの時代を行き来しながら、ユダヤ人の生き様を描く。

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キャスト

(2016-2017)

Marcelle Salomon Benhamou    Betsy Aidem

Charles Benhamou, Marcelle's husband    Nael Nacer

Elodie Benhamou, their daughter    Francis Benhamou

Daniel Benhamou, their son    Aria Shahghasemi

Patrick Salomon, Marcelle's brother    Anthony Edwards

Molly, a distant American cousin    Molly Ranson

Pierre Salomon, Marcelle & Patrick's father    Richard Masur

(1944-1946)

Irma Salomon, Pierre's grandmother    Nancy Robinette

Adolphe Salomon, Pierre's grandfather    Daniel Oreskes

Lucien Salomon, Pierre's father    Ari Brand

Young Pierre Salomon    Ethan Haberfield

感想

前シーズンでは反ユダヤ主義の流れの中で、『Leopoldstadt』や『Parade』が上演され、特に『Parade』が始まった頃は反ユダヤ主義団体によるデモが劇場前で行われたことも記憶に新しいですが、今シーズンもその流れを汲んだ作品が多く見受けられます。

この作品もその一つで、時代を超えたユダヤ人家族を描いていることから『Leopoldstadt』にやや似ています。

▼trailer


www.youtube.com


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戦時中のナチスによる迫害とともに、つい最近のフランスでの反ユダヤ主義による被害も描かれており、とても驚いたと同時に、日本に生まれ育った身では理解するのに難しい場面が多く、想像力をたくましくしないといけませんでした。

廻舞台で盆が回るたびに時代が移り変わり、徐々にそれぞれの相関図が明らかになっていきます。

決して明るい話ではありませんが、マルセルの娘エロディーなどのコメディックな演技が笑いを誘い、張り詰めた場が和む場面もありました。

最終的に、反ユダヤ主義の流れを受け、家族は住み慣れたパリを離れ、仕事も家も捨てイスラエルに移住することになりますが、その日にヘブライ語で唱える祈りの言葉が印象的でした。