『シティ・オブ・エンジェルズ』とは
1989年ブロードウェイ初演のミュージカル。
『スイート・チャリティー』などを手がけたサイ・コールマン作曲、後に多くのディズニー作品を手がけるデヴィッド・ジッペル作詞。
トニー賞6部門で受賞。
今回は福田雄一演出。
あらすじ
ハリウッドでは映画『シティ・オブ・エンジェルズ』の製作が進行中。脚本家のスタインは、タイプライターに向かって日夜、映画のストーリーを綴っていた。
主人公のストーンはロサンゼルスの私立探偵。
彼を支えるのは秘書のウーリー。
ある日、謎の女性アローラが、継娘マロリーを探して欲しいと依頼する。
怪しく思いつつも依頼を引き受けたストーン。
ところが、この件から手を引けと暴漢から襲われる羽目に。
目を覚ましたストーンは元同僚のムニョスから女に弱いと揶揄され、かつての恋人ボビーと映画界の大物アーウィンとのトラブルを思い出す。
何もかももう懲り懲りと、ストーンは依頼を断りにアローラの家へ。しかし脅され、再びマロリーを探し始めることに…
名声を得るため、やる気満々でこの仕事に臨んだスタインだったが、プロデューサーのバディから脚本にあちこちケチをつけられ、削って、直して、悩んで…の繰り返し。
創作活動は混迷を極め、ある日思いがけないことが…
キャスト
ストーン 山田孝之
スタイン 柿澤勇人
アローラ/カーラ 瀬奈じゅん
ウーリー/ダナ 木南晴夏
ムニョス/パンチョ 勝矢
ボビー/ギャビー 山田優
感想
この作品のOriginal Broadway Cast 盤が大好きでして、何度も繰り返し聴いていたこともあり、フルオケで聴く機会もそうそうないので、観劇することにしました。
『野郎どもと女たち』に代表されるような所謂バディbuddyもの、大好きなんですよね。
「You’re Nothing Without You」は名曲です。
↓ブロードウェイでの公演の一部をトニー賞授賞式のパフォーマンスより
City of Angels 1990 Tony Awards
例のごとく、日本公演キャストは全体的に若く経験不足なのは明らかだったので期待していなかったのですが、意外な才能を垣間見せてくれたのが山田孝之さんと木南さん。
この方々はいい声とミュージカルのセンスをお持ちで、新しい発見でした。
あとは、瀬奈さんと柿澤さんに支えられた舞台。
柿澤さんは、実に劇団四季時代の『春のめざめ』以来だから何年ぶりでしょう。
それ以外のキャストの方についてはノーコメントで…お察しください。
上記の曲は、一幕ラストに、それまでパラレルに進行していた映画の中と現実世界が交じり合う場面で歌われるのですが、この柿澤さんの最後のロングトーンが最高でした。
うーん、色々文句はつけたくなる場面は多々ありましたけれど、ここで帳消しにしてしまいたくなるほどでした。
文句をつけたい場面というのは、コメディのネタの浅はかさや下品さ、時事ネタの取り入れ方など、主に演出によるところ。
この演出のため、途中退出された方もいらっしゃいました。
ミュージカル作品は演出家による裁量で決めていい部分もありますが、今回のものとしては原作へのリスペクトに欠けていたように思い、私はとても不愉快でした。
笑わせれば全てOKなわけないですし、日本の観客を舐めすぎです。
また、ある出演者が「下手ですみません!」と言いながらダンスや歌をしていましたが、そういうことは言わないでおいてほしかったです。
たとえ下手であっても、黙っていても熱意は伝わりますし、そこまで下手だと自覚があるなら出演辞退していただければと思います。