『ダンシング・レディ(1933)』とは
1933年公開のMGMによるミュージカル映画。
1932年に出版されたJames Warner Bellahによる同名小説を基にしている。
監督は20〜50年代にMGMで多くの作品を手がけたロバート・Z・レナード。
フレッド・アステアが映画で初めてクレジットされた作品でもある。
あらすじ
ダンサーであるジェイニーはチャンスを得られず、場末のバーレスクでストリップショーに出演していたが、ある日劇場が警察に抑えられてしまう。
劇場関係者は裁判にかけられ、ジェイニーは無礼な態度を理由に拘留されるが、億万長者のプレイボーイであるトッドに助けられる。
さらに、トッドの口利きで、ブロードウェイミュージカルの演出家であるギャラガーに金で取り入り、ジェイニーを出演させるように仕向ける。
最初は嫌がったギャラガーだったが、ジェイニーの才能に気づき、最終的には主演に抜擢する。
夢が叶い喜ぶジェイニーだったが、舞台にのめり込むジェイニーが自身との結婚に無関心なことに、トッドは内心焦っていた。
そして、トッドはジェイニーには秘密裏にショーへの投資を中断してしまうのだった。
キャスト
ジェイニー・バーロウ ジョーン・クロフォード
トッド・ニュートン フランチョット・トーン
トッドの祖母 メイ・ロブソン
フレッド・アステア(本人役)
劇場スタッフ 三ばか大将
感想
この映画もずっと観たかったけれど観られていなかった一作。
ブロードウェイミュージカルのオーディションや劇中劇の場面以外にミュージカルシーンはほぼないので、Play with musicと呼んでもいいかもしれませんが、モノクロではあってもアステアが登場する煌びやかなショーシーンは見応えがあります。
ヒロインのジョーン・クロフォードの艶やかな美しさは、本作で特に神がかっているような気がしました。
それもそのはず。
彼女はこの映画で共演したフランチョット・トーンと公開2年後に結婚しています。
劇中では結ばれなかった2人ですが、実生活では一時期パートナーだったんですね。
また、クラーク・ゲーブルの渋いかっこ良さは本作でも健在です。
↓trailerです。
そして、初クレジットとは思えない、当時34歳のアステアの存在感にも圧倒されます。
この時はまだ、彼がジンジャー・ロジャースとの共演作への出演が続く前です。
↓ヒロインのジョーン・クロフォードのダンスパートナーを務めたフレッド・アステアの見せ場
Fred Astaire & Joan Crawford - Heigh Ho, the Gang's All Here (1933)
アステアのダンスシーンの優雅さはこの時既に認められ、ようやく掴んだチャンスを無碍にしまいと彼が持ち前のshowmanshipを発揮しているのがわかります。
魔法のじゅうたんのような円形のカーペットの上で、空を背景に踊るこのシーンはとても印象的でした。
↓当時singleとしてもヒットした劇中ナンバー「Everything You Have Is Yours」
Everything I have is yours in Dancing Lady (1933) Joan Crawford
この憂いを帯びたようなメロディーがロマンティックな「Everything I Have Is Yours」は、後年、様々なアーティストにカバーされています。
作曲は『晴れた日に永遠が見える』や『フィニアンの虹』も手がけたバートン・レーン Burton Laneによるものです。
彼は無名だった若き日のジュディ・ガーランドを発掘したことでも知られています。
さて、作品を総じて、ドラマ担当やミュージカル担当と役者ごとに役割が分かれてしまっているためミュージカルという印象が薄いけれど、ショーのシーンでの群舞や初期のアステアは一見の価値ありかと思いました。
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