『アンデルセン物語』とは
1952年公開のハリウッドミュージカル映画。
音楽は『野郎どもと女たち』や『努力しないで出世する方法』などのブロードウェイミュージカルを手がけたフランク・レッサーによる。
童話作家として有名なハンス・クリスチャン・アンデルセンを題材としたマイルズ・コノリーの小説を基にしている。
日本では、劇団四季によって、この映画を基にした舞台版ミュージカルが不定期に公演されている。
あらすじ
1805年、デンマーク、オーデンスに、ハンス・クリスチャン・アンデルセンという人のいい靴屋が弟子のピーターと住んでいた。彼はいつも子供を集めて面白い童話を語って聞かせる人気者だったが、これが町の人々は気に入らず、町を追い出されてしまう。ピーターとともにコペンハーゲンに引っ越したハンスは、間違いで牢獄に投げ込まれるが、あるバレエ劇団でトウシューズが急に必要ということで釈放される。そこで、美しいバレリーナ、ドーロに出会い、ハンスは一目惚れする。ドーロは演出家ニールスの妻だったが、たまたまニールスがドーロを叩く場面を目撃したハンスはドーロを思いつめ、恋心を託した『人魚姫』を書き上げるのだった。
キャスト
ニールス ファーリー・グレンジャー
ドーロ ジジ・ジャンメール
ピーター ジョセフ・ウォルシュ
感想
アンデルセン童話の作者として有名なハンス・クリスチャン・アンデルセンの人生を振り返りながら、ダニー・ケイのエンターテイナーぶりを満喫できる作品です。
ダニー・ケイの出演作はこの映画が初めてでしたが、歌の入りが非常に自然で、とってつけたような演技は全くなく、違和感なくミュージカルシーンを楽しめました。
人がよく、子どもたちから愛され、ドーロへ切ない恋心を抱くハンスを見事に演じていました。
また、フランク・レッサーによる音楽が素晴らしいです。
「Wonderful Copenhagen」をはじめ「I'm Hans Christian Andersen」「Thumbelina」「Anywhere I wander」「No Two People」など、少数ながらキャッチーな曲が全体に散りばめられています。
以前、劇団四季による「アンデルセン」を観た帰り道、「ワーンダフルワーンダフルコーペンハーゲン♪」と口ずさまずにはいられなかったのを思い出しました。
大人でも子どもでも一度聞いたら思わず口ずさんでしまうというのは、ミュージカル作品として良質であることを示す一つの指標ですね。
みどころのひとつとして、バレエのシーンがあります。
特殊効果を使わず、丁寧に手をかけて映画を作った時代の雰囲気を感じました。
この機会にハンス・クリスチャン・アンデルセン自身のwikiを見てみましたが、オペラ歌手になろうとして挫折したり、王立バレエ学校に在籍したりと、波乱万丈の生涯を送ったようですが、生涯未婚だったそうです。
ドーロとのエピソードはおそらく原作の小説の中に出てくるフィクションでしょうが、とても切なくなりました。