『Florencia en el Amazonas』とは
1996年にテキサスで初演されたオペラ。
原作はガブリエル・ガルシア=マルケスの小説「コレラの時代の愛」。
今回は、2023年メトロポリタン・オペラで初めて上演されたものを観劇した。
演出はMary Zimmerman。
あらすじ
著名なオペラ歌手であるFlorenciaは、凱旋コンサートのため故郷のマナウスに戻ることとなる。
彼女は、ジャングルに出かけたまま戻らない、かつて愛した蝶ハンターのCristobalに出会えるのではないかという期待も抱きつつ、蒸気船エルドラド号でアマゾン川を下っていく。
蒸気船には、彼女について本を書いているジャーナリストのRosalbaや、船長の甥Arcadio、コンサートを観に来た喧嘩中の夫婦PaulaとAlvaro、Rioboloを乗せていた。
RosalbaはArcadioと恋に落ちる。
途中、嵐に見舞われ、AlvaroやRioboloは海に投げ出されてしまう。
Rioboloは川の精に姿を変え、川の神に頼み嵐を止める。
Alvaroを失ったPaulaは嘆き悲しむが、Rioboloが現れAlvaroを甦らせる。
Rosalbaは嵐で書き溜めた原稿がなくなってしまったことを憂うが、長年インタビューしたいと願ってきたFlorenciaに出会い、Arcadioに対する自分の思いも肯定する。
蒸気船はマナウスに到着するが、コレラの大流行で下船することはできない状態であり、FlorenciaはCristobalと再会することは絶望的であると知る。
Florenciaは蝶に姿を変え、Cristobalを探しにいく。
キャスト
Florencia Grimaldi Ailyn Pérez
Rosalba Gabriella Reyes
Paula Nancy Fabiola Herrera
Arcadio Mario Chang
Riolobo Mattia Olivieri
Alvaro Michael Chioldi
Capitán Greer Grimsley
感想
マジックリアリズムというのでしょうか、ファンタジーの要素を多分に含みながらも、感染症によって分断される人々を描いていて、コロナ禍の記憶が鮮明に残る現代の観客の心にも響く内容だったように思います。
思いがけない天災や感染症で失って初めて気づく愛の尊さが、色鮮やかな南米の景色をバックに描かれていました。
蝶に姿を変えても愛する人の元へ行こうとするFlorenciaの一途さに感動しました。
現世と精霊の世界を行き来するRioboloは狂言回しの役割も果たしていました。
▼trailer
いつものFamily Circle(最上階)からオペラグラスで観劇しました。
スペイン語で書かれたオペラを観るのは初めてでした。英語字幕は座席前の電光表示だけでなく、舞台背景にも表示されていたので観やすかったです。
▼開演前
舞台は川下りをする蒸気船の上がメインなので、魚やワニといった水辺の生き物が様々な形で登場します。
頭に魚の被り物をした人々が魚のハンドバッグを持って登場するなど、クスッと笑ってしまうような小道具の使い方がありました。
▼カーテンコール