『CHESS』とは
1986年でウエストエンドで初演され、1988年にブロードウェイで初演されたミュージカル。
音楽はABBAのメンバーだったベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァースが作曲し、ティム・ライスが作詞した。
演出はニック・ウィンストン。
あらすじ
舞台は米ソの冷戦時代。
イタリアでチェスの世界一を決める選手権が開催される。
時の世界チャンピオンはアメリカ合衆国のフレディ。
傍らには、彼のセコンドを務めるフローレンスがいる。
対戦相手はソビエト連邦のアナトリー。
自由奔放な性格のフレディは記者会見で対戦相手を罵り、記者たちから非難をあびせられる。
天才チャンピオンの成功と孤独に苦しむフレディ。
一方、アナトリーは共産主義のソビエト連邦という国家を背負ってチェスをプレイすることの重圧に苦しんでいた。
フレディは試合を放棄、それによりアナトリーが不戦勝で新たな世界チャンピオンとなる。
葛藤の中で、敵味方であるはずなのに恋に落ちてしまうフローレンスとアナトリー。
しかしアナトリーには故郷に残してきた妻と子供がいた。
フローレンスはハンガリー動乱で親を失くした孤独な身の上だ。
アナトリーは亡命を決意する。
一年後、再びチェスの世界選手権がタイのバンコクで開催される。
世界チャンピオンであるアナトリーは出場者としてフローレンスとともにこの国に来ていた。
そしてこの地に、テレビ業界に転身したフレディ、アナトリーの妻スヴェトラーナも現れる。
試合を前にKGB(旧ソ連国家保安委員会)、CIA(米国諜報機関)の思惑も交錯する。
彼らの人生はどのような奇跡を描いていくのか。
すべてを賭したゲームが始まる。
キャスト
アナトリー ラミン・カリムルー
フローレンス サマンサ・バークス
フレディ ルーク・ウォルシュ
スヴェトラーナ エリアンナ
モロコフ 増原英也
感想
去年、この公演の報道があった時は、まさかと思いました。
ミュージカル映画『レ・ミゼラブル』で、エポニーヌ役として出演したサマンサ・バークスが来日するというのですから。
彼女は最近だと、ブロードウェイで『プリティ・ウーマン』に主演しましたし、今後はウェストエンドでの『アナと雪の女王』にエルサ役として出演することが決まっています。
『CHESS』という演目は今回が初でした。
▼舞台映像
▼公開稽古
ミュージカル『チェス』公開稽古 2020/1/16 Ramin Karimloo Samantha Barks Luke Walsh 佐藤隆紀(LE VELVETS)
▼観劇後の感想
『CHESS』米ソの冷戦を背景に、チェスのタイトルマッチの心理戦とそれに影響する人間関係を描く。@raminkarimloo のAnthem、@SamanthaBarks のNobody’s Sideは特に圧巻だったが、それに引けを取らない佐藤さんや増原さんらの歌唱、息の合ったアンサンブルに、心から拍手を送った👏👏 pic.twitter.com/xs518cXJpd
— るん / Lune (@nyny1121) 2020年2月1日
ラミンの歌う「Anthem」を聴くためだけでも観る価値があったというものです。
この曲は特にラミンの歌声に合っている気がしました。素晴らしかったです。
ただ、主人公のアナトリーには微塵も共感できませんでした。
故郷にいる妻や子どもを置いて、遠征先で恋に落ちた女性と亡命してしまうなんて、世の中の全女性を敵に回すストーリーラインですね。
もしかしたら、受け入れられないのは私の人生経験が少ないだけかもしれませんが、やはり不倫は許せません。
悪ぶっていたフレディの方が、よっぽど人間らしくて事情を理解できました。
サマンサが演じるフローレンスも歌声は素晴らしかったです。
まさか日本で彼女を観られるとは・・・主催者に感謝です。
舞台は中央に置かれた階段でチェス盤をイメージしたアンサンブルによる群舞があったり、背景に映像を多用していたのが印象的でした。
少し、背景の映像がくど過ぎたかなとも思いました。
背景の映像によって状況を説明しすぎると、全体的にチープな感じになってしまうようでした。