『オクラホマ!(1955)』とは
1955年公開のミュージカル映画。
1943年ブロードウェイ初演の同名のミュージカルを基につくられており、このミュージカルはストレートプレイ『Green Grow the Lilacs』に基づいている。
音楽は『サウンド・オブ・ミュージック』、『南太平洋』、『回転木馬』、『王様と私』などを手がけたリチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタインⅡ世による。
アカデミー賞2部門受賞。
あらすじ
舞台はオクラホマ州。
エラーおばさんに育てられたローリーは、カーリーのことが好きだが、彼が他の女性たちとも仲が良いことを怒ったローリーは勢いで、農場手伝いのジャッドと村祭りに一緒に行く約束をしてしまう。
村祭りに行く前、庭先でうっつらうっつらしていたローリーは、ジャッドがカーリーを殺す不吉な夢を見る。
一緒に馬車で行く途中で、ジャッドはローリーにキスを強要しようとしたので、彼女はジャッドを馬車から突き飛ばして置き去りにしてしまう。
ローリーが村祭りの会場に到着すると、余興で学校の資金集めの競りが行われようとしていた。
すると、ローリーが寄付した料理入りの籠を巡って、カーリーとジャッドが争い、カーリーが大事にしている馬やピストルなど全財産を叩いて競り勝つ。
ローリーはカーリーの思いに素直になり、2人は遂に結婚することになる。
しかし、それを恨んでいたジャッドは、2人が乗っている干し草に火を放ち、殺そうとする。
カーリーはローリーを下に下ろし、自身はジャッドに飛びかかるが…
キャスト
カーリー ゴードン・マクレー
ローリー シャーリ・ジョーンズ
ジャッド ロッド・スタイガー
アニー グロリア・グレアム
エラーおばさん シャーロット・グリーンウッド
ガーディ バーバラ・ロレンス
アリ エディ・アルバート
感想
ロジャース&ハマースタインⅡ世(以下、R&H)の作品として有名すぎるこの作品ですが、一応レビューをまとめておきたいと思います。
主人公の2人に言いたいことをまとめると、「痴話喧嘩はおよしなさい。素直におなり」です。
↓trailerです。
全編にわたりR&Hによる秀逸な楽曲で埋め尽くされていますが、他のR&Hの作品と比べると、ストーリーに共鳴するポイントが非常に少なく感動はしませんでした。
だって、カーリーは誰もに好かれる好青年で女性からも大人気で、ローリーも箱入り娘で選り取り見取りで、お互いに明らかに想い合っているのがわかるのに、ローリーが変な意地を張ったことで周りが大迷惑を被ってしまうのです。
他人に危害を加えようというジャッドは確かに悪役なのですが、ジャッドをその気にさせてしまうローリーもローリーだと思うのです。
シャーリー・ジョーンズが抜群に可愛くて歌も上手いので、そんなことは気にならなくなってしまうのですけれどね。
↓R&Hから直々のオファーを受けて出演したシャーリー・ジョーンズ
↓シャーリーは『回転木馬』でも今回の相手役ゴードンと共演しています。
カーリー役のゴードンはこの作品でも朗々とした歌声を披露しています。
特に冒頭の「Oh What a Beautiful Morning」は見事。
彼については、ハワード・キールと似ている印象を私は持っています。
また、多くの眼を見張るダンスシーンがありますが、まずは「Kansas City」のタップ。
言うまでもなく役者は素晴らしいのですが、部分的に足が映っていない場面があって、せっかくのタップがもったいないことになっていました。
Oklahoma! - Kansas City (1955)
次に、ローリーの夢の中のバレエシーンについて。
アップリフトを多用したダイナミックなバレエシーンですが、全体的にもったりしてしまっていました。
遠景の画が多かったので、アップも交えて構成を工夫した方が主旨が明確になって良かったし、全体的にもう少し要約できたと思います。
他にも、「Many A New Day」などでダンスシーンがやや間延びしてしまった場面がありました。
元の舞台版を観ていないので比較はできないのですが、2019年にブロードウェイでrevivalされる予定なので、観劇後この点についても記しておこうと思います。
また、ストーリーにアクセントを与えていた存在といえば、どちらかというと三枚目キャラだったアニー。
アニーがいなければとても単調な作品になってしまっていたでしょう。
他にも「The Surrey with the Fringe on Top」「People Will Say We're in Love」「Out of My Dreams」「The Farmer and the Cowman」そしてタイトル曲の「Oklahoma」と、耳なじみのいい楽曲が多く、音楽だけをみればR&Hの最高傑作と言っても過言ではないでしょう。