『コーラスライン』とは
1985年公開のアメリカのミュージカル映画。
1975年初演の同名のブロードウェイミュージカルを基にしたもの。
大団円で鏡を背景に歌われる「One」は圧巻。
舞台版に加えて新たな楽曲として「Surprise Surprise」と「Let Me Dance For You」がある。
あらすじ
ニューヨーク、ブロードウェイのとある劇場では、新たな作品のコーラスダンサーを求めて、演出家のザックと演出補助のラリーはオーディションを行なっていた。多くの志願者の中から十数人を選出したところで、ザックは志願者ひとりひとりから、今までの人生について思うままに話すように指示する。最初は戸惑っていた彼らだったが、ダンスを始めるきっかけ、複雑な家庭環境、性の目覚め、整形手術など、徐々に自分をさらけ出していく。一方、往年のスターダンサーであるキャシーは仕事を求め、オーディション会場に向かっていた。ザックは昔の恋人だった。キャシーとザックの揺れ動く感情と、最終選考に残ったダンサーの様々な人生が交差しながらも、オーデションは進んでいく。
キャスト
ザック マイケル・ダグラス
キャシー アリソン・リード
ラリー テレンス・マン
リッチー グレッグ・バージ
マーク マイケル・プレヴィンス
ダイアナ ヤミール・ボージェス
ポール キャメロン・イングリッシュ
アル トニー・フィールズ
クリスティン ニコール・フォッシー
シーラ ヴィッキー・フレデリック
コニー ジャン・ガン・ボイド
ビビ ミシェル・ジョンストン
ジュディ ジャネット・ジョーンズ
マギー パム・クリンガー
ヴァル オードリー・ランダース
マイク チャールズ・マクゴアン
グレッグ ジャスティン・ロス
ドン ブレイン・サヴェージ
感想
『コーラスライン』は私がブロードウェイで2番目に観たミュージカルで、ちょうどその頃、再演キャストのオーディションを追ったドキュメンタリー映画『ブロードウェイブロードウェイ コーラスラインにかける夢』を観たこともあり、とても思い出に残っている作品です。
その時は十代で、夢を追ってニューヨークに集ったダンサーの鼓動に触れて、いつか私もこの街の一部になりたいと思って涙したのを覚えています。
さて、この映画は初演から10年後に作られました。
性の目覚めを歌う「Hello 12〜」は少しだけ冒頭が歌われますが、「Surprise Surprise」にほぼ差し替えられています。
リッチーを演じたグレゴリー・バージはタップダンス界では有名な方で、本当に素晴らしいパフォーマンスを披露していますが、個人的にはなぜこの曲に変えたのか不明です。
「Hello 12〜」が好きなので、少し残念。
もう一曲加えられたキャシーの「Let Me Dance For You」は素晴らしかったですね。
舞台版だと「Music and Mirror」のようなタイトルの曲で、この曲も好きなのですが、新曲の方が、よりキャシーとザックの関係を浮き彫りにしています。
キャシーがもう一曲歌っている「What I Did For Love」は、舞台版ではダイアナが歌います。
日本語では「愛した日々に悔いはない」。
オーディション中盤でポールが足をくじいて医師の元へ運ばれた後、ザックが「もし明日、踊れなくなったらどうする?」と志願者に問いかけます。
短いダンサー寿命、厳しい稽古、体重制限、激しい競争を勝ち抜いても給料はスズメの涙、家族に理解されない日々。
もっと他の道もあったはず。
でも、ダンスを、舞台が大好きだから、たとえ明日踊れなくなったとしても、今日まで踊ってきた日々に悔いはない、と歌うナンバーです。
この曲は大好きで毎回カラオケで歌います。
この作品を原案者であるマイケル・ベネットは、優れたダンサーですが、『コーラスライン』や『ドリームガールズ』などの優れた演出家、振付家でもあります。
彼もまたゲイで、AIDSの合併症で亡くなりました。
後半でポールが自分の初舞台での両親との対面について淡々と告白するシーンは、なぜかいつもマイケル・ベネットのことを思い出して泣いてしまいます。
『コーラスライン』は、彼の舞台への愛が詰まった作品だと思います。
この映画を観るたびに、私は知らないうちに、オーディションに参加する一人になっており、最後番号が呼ばれる時は一緒にドキドキしてしまうのです。