ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『夜の豹(1957)』Pal Joey

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『夜の豹』とは

1957年のアメリカのミュージカル映画

1940年初演の同名のブロードウェイミュージカルを基に製作されたが、内容は大幅に変更された。(舞台版ではジョーイは性格は非常に悪く、ラストはハッピーエンドではなく、舞台に独り取り残される。)

本作で、フランク・シナトラゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞した。

リチャード・ロジャース&ローレンツ・ハートのコンビによる「I Could Write a Book」や「Bewitched」など、後にスタンダードナンバー化した名曲で彩られている。

ただし、「My Funny Valentine」や「Lady Is a Tramp」は同じくロジャース&ハートによる楽曲ではあるが、オリジンはミュージカル『青春一座(Babes In Arms)』である。

▼trailerです。


PAL JOEY Trailer

あらすじ

芸人ジョーイは才能はあるが、極めてわがままで、女に手が早く、あちこちでトラブルを起こして厄介払いされていた。

無一文でサンフランシスコへやって来たジョーイは、旧友ネッドが働くナイトクラブで働き、大富豪の未亡人ベラの愛人となってひともうけしようと企む。

そんなジョーイにコーラスガールのリンダが密かに想いを寄せていた…

キャスト

ジョーイ  フランク・シナトラ

リンダ  キム・ノヴァク

ベラ  リタ・ヘイワース

グラディス  バーバラ・ニコルス

ネッド  ボビー・シャーウッド

感想

40代前半の脂ののったフランク・シナトラを楽しめる一作。

若い頃の彼は、ジーン・ケリーらと一緒に主演ということがままありましたが、本作はシナトラのソロ曲が多くあります。

シナトラ演じる、このジョーイですが、筋金入りのチャラ男です。

友だちの女を自分のモノにしてしまう、まったくしょうもない男です。

でも、一度マイクを握らせると、忽ちみんな彼に魅せられてしまう、そんな罪な男でもあります。

シナトラはこの役柄を地でいっていると多分に思うのですが笑。

彼が歌うナンバーで1番のお気に入りは「I Could Write a Book」です。

こんな歌を耳元で歌われたら、そりゃあリンダも落ちますわね、と思わず納得してしまいました。

▼「I Could Write a Book」


I Could Write a Book - Frank Sinatra and Kim Novak (Pal Joey)

また、この曲は、ミュージカル映画ではありませんが、メグ・ライアン主演の映画『恋人たちの予感』でもテーマ曲に採用されていて、まさに、曲の内容的にはこちらの映画の内容にこそぴったりなので、よかったらご覧ください。

このジョーイを巡って、リンダとベラは争うわけですが、お2人ともなんてグラマラスなんだろうと同性ながらうっとりしてしまいます。

リタ・ヘイワースも多くのミュージカル作品に出演していますが、本作では元ストリッパーで大富豪の未亡人という役柄。

最後は、ネタバレになってしまうので控えますが、うーん、私がベラの立場だったらあんなこと絶対できない!!ということをします。

私が未熟だからかしら。

ヘイワースがうっとりしながら歌う「Bewitched」もとても素敵で、何度も見てしまいます。

成熟した女性の中にある恋する乙女な部分が表れていますね。

▼ヘイワースによる「Bewitched」


Rita Hayworth - Bewitched, Bothered & Bewildered

キム・ノヴァクは、溢れんばかりの眩い若さ、という感じ。

憂いを帯びたアルトヴォイスで歌う「My Funny Valentine 」は聴き入ってしまいました。

プロットは意外と最後の最後までどう転ぶか定まらず、結局ラストまで集中してしっかり観てしまいました。

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『パリの恋人(1957)』Funny Face

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『パリの恋人』とは

1957年のアメリカのミュージカル映画

1927年初演の同名のブロードウェイ・ミュージカルの楽曲をいくつか採用しているが、プロットは全く別のものになっている。

基となったブロードウェイ・ミュージカルには、アステアは姉とともに主役として出演している。

作詞・作曲はガーシュウィン兄弟によるもので、「S'wonderful」など現代のスタンダードナンバーとなっている楽曲もある。


Funny Face - Trailer

あらすじ

ロケで書店を訪れた、ファッション誌の大物編集長とその右腕の写真家ディック・エイブリー。

ディックは、哲学を語るインテリ書店員、ジョー・ストックトンの風変わりな魅力に心を惹かれ、パリに一緒に飛んでモデルにならないかとスカウトする。

ファッションに何も興味のないジョーだったが、パリに行けば崇拝するフロストル教授の講義を聴くことができると考え、申し出を了承する。

パリに飛んだジョーは、瞬く間に世界的スーパーモデルになり、ディックと恋に落ちる。

そんな折、ジョーはフロストル教授とたまたま出くわすのだが・・・

キャスト

ジョー・ストックトン オードリー・ヘップバーン

ディック・エイブリー フレッド・アステア

マギー・プレスコット ケイ・トンプソン

エミール・フロストル教授 ミシェル・オークレール

ポール・デュパル ロバート・フレミング

感想

フレッド・アステアオードリー・ヘップバーンの共演作。

オードリーが、花のパリを舞台に、愛くるしい表情をくるくる変えながら歌い踊ります。

映画『マイ・フェア・レディ』では、歌の部分が吹き替えとなったオードリーですが、本作では吹き替えなしでご自身の声で歌っています。

膝を叩いて褒め称えるほどの歌唱力ではありませんが、アルトでハスキーな声のオードリーに合う楽曲が多く、アステアと歌ってもそこまで不自然な感じはありませんでした。

様々なパリのロケーションが次々に登場するので、パリ好きな方にとっては間違いなく楽しい映画と言えるでしょう。


Funny Face (1957) - "Bonjour Paris" Song - Audrey Hepburn & Fred Astaire (4 of 10)

まだ新人のオードリーの初々しさ、そしてそれをうまくリードしようというアステアがなんとも微笑ましいのです。

もちろん、アステア&ロジャースコンビには敵いませんが、これはこれで美しいコンビでしたね。

↓湖畔の美しいデュエット「He Loves and She Loves」


Funny Face (1957) - "He Loves and She Loves" Song - Audrey Hepburn & Fred Astaire (7 of 10)

写真の現像室での赤いライトの中で踊るシーンは、目がシバシバしてしまいましたが、現代的というか幻想的な雰囲気でしたね。

↓オードリーのなんとも言えない不思議なダンスシーン


Funny Face Song - Audrey Hepburn's Dance - Crazy Dancing (5 of 10)

ストーリーはMGMによるミュージカル映画に見られるような予定調和ですが、アステアとオードリーという2大スターの息の合った演技を見られる稀有なミュージカル映画と言えるでしょう。

↓名曲「S'wonderful」も2人によって歌われています。


Audrey Hepburn & Fred Astaire - S'wonderful - Song from Funny Face (10 of 10)

 

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