ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『アメリ』2018.6.3.12:00@天王洲 銀河劇場

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アメリ』とは

2001年の同名のフランス映画を基にしたミュージカル。

ブロードウェイでは2017年3月初演(〜2017年5月)。

日本では今回が初演。


AMÉLIE the Musical - Montage Starring Phillipa Soo

あらすじ

想像力は豊かだが、周囲とのコミュニケーションが苦手な少女・アメリは、妄想の世界が一番の遊び場だった。

22歳になり、モンマルトルのカフェで働いている今でも、周りの人々を観察しては日々想像力を膨らませて楽しんでいたが、ある出来事をきっかけに、他人を幸せにすることに喜びを見出し始める。

彼女なりの方法で他人を幸せにしていくアメリだったが、自分の幸せには全くの無頓着だった。

ところが、スピード写真のボックスに残された他人の証明写真を収集している不思議な青年ニノに出会ったアメリは、たちまち恋に落ちてしまう。

しかし、自分の気持ちを素直に打ち明けることができず・・・

キャスト

アメリ 渡辺麻友

ニノ 太田基裕

その他、一部の役名不明のため割愛。

感想

ブロードウェイで上演している時に、観たいなと思っていたものの、あっという間にcloseしてしまい、ウエストエンドでの上演はなさそうですし、日本上演も今回を逃すともうなさそうだなと思い、観劇することにしました。

ミュージカルは相当な人気作でもない限り、チャンスを逃すと向こう半世紀くらい上演されないことなんてザラにあるので、fullのshowをliveで観られるチャンスがあったらひとまず観ておくことにしています。

プレミアはバークレーで2015年に行われたのですが、その時はなんとアメリ役はサマンサ・バークス Samantha Barksだったんですね。

彼女は映画版『レミゼ』のエポニーヌ役に抜擢された女優さんです。

ブロードウェイでは、人気が収まる気配を全く見せない『ハミルトン』のオリジナルキャストで、且つ、トニー賞にもノミネートされたフィリッパ・ソウPhillipa Sooさんでした。

さて、作品ですが、全体で2時間、休憩なしの1幕ものでした。

アメリの子供時代から物語は始まるのですが、少女のアメリは物語が終わるまで、成人したアメリに寄り添って一緒にいます。

アメリの中にある子供の部分を表しているのだと思うのですが、この前日に観た『モーツァルト!』のヴォルフガングとアマデとそっくりで、既視感が強かったですね。

ヒット映画を舞台化しようという流れに乗った作品なんでしょうが、正直ミュージカルとしては起伏が少ないため見応えがなく、単調で、味気ない作品になっていました。

とにかく眠くて、二幕ものなら一幕でもう退場していました。

舞台を左右に横断する形で張られた照明は、とても綺麗でした。

演者に関しては、…ノーコメントで……まぁ、お察しください。

こんな感じの公演をやっている限り、東京のエンターテイメント、舞台芸術のレベルはどんどん下がる一方なので…まぁもはや東京にそこまで期待してないですけれどね。

ちゃんと鑑賞するなら海外行きますから。

ひとまず作品としてfullで観てみたかっただけなので、その願望は叶い、私としてはそれで満足です。


渡辺麻友が「アメリ」に、ミュージカル初挑戦

『モーツァルト!』2018.6.2.17:45@帝国劇場

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モーツァルト!』とは

1999年ウィーン初演のミュージカル。

2002年、東宝系で中川晃教井上芳雄主演で日本初演

エリザベート』のミヒャエル・クンツェ作詞・脚本、シルヴェスター・リーヴァイ作曲。

今回は5回目の再演。

古川雄大はヴォルフガングとして初めての出演となる。

あらすじ

1768年、ウィーン。

ザルツブルクの宮廷楽士であるレオポルト・モーツァルトは、錚々たる名士が集まる貴族の館で、今、幼い息子がピアノを弾くのを目の当たりにしている。

5歳にして作曲の才が花開いたその子は、“奇跡の子”と呼ばれていた。

歳月は流れ、息子ヴォルフガングは、ザルツブルクぇ音楽活動を続けている。

傍にはいつも、奇跡の子と呼ばれていた頃のままの分身、アマデが寄り添い、作曲に勤しんでいた。

しかし、青年ヴォルフガングは、領主であるコロレド大司教支配下で作曲せねばならないことに嫌気がさしていた。

自由と輝きを求める彼は、「大司教に逆らうな」という父と意見が衝突。

とうとう、傍若無人な態度の大司教に怒りを爆発させてしまった。

1777年、ヴォルフガングは、故郷ザルツブルクを後に、母親と旅に出る。

マンハイムで彼はウェーバー一家と出会う。

貧しい下層階級のウェーバー夫妻は、この若い作曲家から金を巻き上げようと、画策する。

しかし、パリに移ったヴォルフガングは芽がでることなく、金を使い果たした上に、母を病気で亡くしてしまう。

失意のヴォルフガングは、劇作家でありプロデューサーのシカネーダーと知り合い、意気投合する。

2人はいつか大衆が喜ぶオペラを作ろうと約束する。

コロレドに反抗したままの彼に、まともな仕事があるはずもなく、父と姉ナンネールの心配は募るばかり。

そこに、ヴォルフガングの良き理解者、ヴァルトシュテッテン男爵夫人が現れ、ウィーンで音楽活動をするよう勧めるのだった。

父と姉の元を離れ、ヴォルフガングはウィーンに移り住む。

そこでウェーバー一家と再開した彼は、コンスタンツェとの愛情を深めてゆく。

しかし、コロレド大司教の謀略に遭う彼は、演奏の機会をことごとく絶たれてしまうのだった。

ヴォルフガングは再び大司教と対決し、彼らは決定的に分裂するのだった。

1781年、モーツァルトの音楽は、ウィーンの社交界で話題を呼んでいた。

コンスタンツェとも結婚、仕事も精力的にこなし、遊び仲間も増えた。

ヴォルフガングには故郷に残してきた父と姉の存在はどんどん薄くなるのだった。

そして妻は、夜になるとひとりダンスパーティーに出かけるようになり、夫婦の間に陰りが見え始める。

一方、ヴォルフガングの名声は増すばかりで、皇帝の御前演奏会、そしてオペラ『フィガロの結婚』も大成功。

だが、レオポルトは息子の中に奢りとたかぶりを感じ取る。

心痛のあまり苦言を吐くが、ヴォルフガングは聞き入れようともしない。

お互いに心を通い合わせることなく、レオポルトはウィーンを後にする。

そして、コンスタンツェもヴォルフガングと心の距離を感じていた。

そんな時、ヴォルフガングの前に謎の人物が現れ、レクイエムの作曲を依頼する。

キャスト

ヴォルフガング  山崎育三郎

コンスタンツェ  生田絵梨花

ナンネール  和音美桜

ウェーバー夫人  阿知波悟美

アルコ伯爵  武岡淳一

エマニュエル・シカネーダー  遠山裕介

ドクトル・メスマー  戸井勝海

アマデ  加藤憲史郎

ヴァルトシュテッテン男爵夫人  涼風真世

コロレド大司教  山口祐一郎

オポルト  市村正親

感想

いくちゃんコンビ(山崎育三郎×生田絵梨花の組み合わせを勝手に命名)を拝見してきました。

この作品は以前、井上芳雄くんの回を観て以来、2回目。

いつものB席より観劇。

山崎育三郎くんのヴォルフガング、素晴らしかったです。

井上くんがいた頃は、何となく押され気味でしたが、今は役が身体に馴染んでよく声が出て動けていました。

生田ちゃんは、これからに期待ですね。

まだまだコゼット的あどけなさが抜けませんね。

比較というわけではないのですが、今回拝見して、ソニンちゃんのコンスタンツェがどれだけすごいのかというのが、はっきりしました。

若手が主役級で、その脇を固める、山口さん、市村さん、涼風さん、阿知波さんたちがまた素晴らしいのです。

舞台全体としては、随所に色々なジャンルのキャッチーなナンバーが散りばめられていて、観るものを飽きさせません。

「僕こそ音楽」、「影を逃れて」、「愛していれば分かり合える」、「星から降る金」、「ダンスはやめられない」など。


『モーツァルト!』歌唱披露/古川雄大 ♪「僕こそ音楽」

比較的勢いのある一幕と比べて、二幕は少し弛みますが、ドラマの要素が強まる印象です。

何度観ても、涙してしまうのは、レオポルトとヴォルフガングの関係性ですね。

やはり、私は親子ものに弱いらしいです。

マンマ・ミーア!』の母娘関係にも号泣してしまうので。

父に認めてもらいたい一心のヴォルフガング。

息子を愛するからこそ厳しくするレオポルト

いつの時代も親子ってすれ違い、時に傷つけ合いながら、お互いに成長していくんですね。


『モーツァルト!』2018PV【舞台映像Ver.】