『モーツァルト!』とは
1999年ウィーン初演のミュージカル。
『エリザベート』のミヒャエル・クンツェ作詞・脚本、シルヴェスター・リーヴァイ作曲。
今回は5回目の再演。
古川雄大はヴォルフガングとして初めての出演となる。
あらすじ
1768年、ウィーン。
ザルツブルクの宮廷楽士であるレオポルト・モーツァルトは、錚々たる名士が集まる貴族の館で、今、幼い息子がピアノを弾くのを目の当たりにしている。
5歳にして作曲の才が花開いたその子は、“奇跡の子”と呼ばれていた。
歳月は流れ、息子ヴォルフガングは、ザルツブルクぇ音楽活動を続けている。
傍にはいつも、奇跡の子と呼ばれていた頃のままの分身、アマデが寄り添い、作曲に勤しんでいた。
しかし、青年ヴォルフガングは、領主であるコロレド大司教の支配下で作曲せねばならないことに嫌気がさしていた。
自由と輝きを求める彼は、「大司教に逆らうな」という父と意見が衝突。
とうとう、傍若無人な態度の大司教に怒りを爆発させてしまった。
1777年、ヴォルフガングは、故郷ザルツブルクを後に、母親と旅に出る。
貧しい下層階級のウェーバー夫妻は、この若い作曲家から金を巻き上げようと、画策する。
しかし、パリに移ったヴォルフガングは芽がでることなく、金を使い果たした上に、母を病気で亡くしてしまう。
失意のヴォルフガングは、劇作家でありプロデューサーのシカネーダーと知り合い、意気投合する。
2人はいつか大衆が喜ぶオペラを作ろうと約束する。
コロレドに反抗したままの彼に、まともな仕事があるはずもなく、父と姉ナンネールの心配は募るばかり。
そこに、ヴォルフガングの良き理解者、ヴァルトシュテッテン男爵夫人が現れ、ウィーンで音楽活動をするよう勧めるのだった。
父と姉の元を離れ、ヴォルフガングはウィーンに移り住む。
そこでウェーバー一家と再開した彼は、コンスタンツェとの愛情を深めてゆく。
しかし、コロレド大司教の謀略に遭う彼は、演奏の機会をことごとく絶たれてしまうのだった。
ヴォルフガングは再び大司教と対決し、彼らは決定的に分裂するのだった。
1781年、モーツァルトの音楽は、ウィーンの社交界で話題を呼んでいた。
コンスタンツェとも結婚、仕事も精力的にこなし、遊び仲間も増えた。
ヴォルフガングには故郷に残してきた父と姉の存在はどんどん薄くなるのだった。
そして妻は、夜になるとひとりダンスパーティーに出かけるようになり、夫婦の間に陰りが見え始める。
一方、ヴォルフガングの名声は増すばかりで、皇帝の御前演奏会、そしてオペラ『フィガロの結婚』も大成功。
だが、レオポルトは息子の中に奢りとたかぶりを感じ取る。
心痛のあまり苦言を吐くが、ヴォルフガングは聞き入れようともしない。
お互いに心を通い合わせることなく、レオポルトはウィーンを後にする。
そして、コンスタンツェもヴォルフガングと心の距離を感じていた。
そんな時、ヴォルフガングの前に謎の人物が現れ、レクイエムの作曲を依頼する。
キャスト
ヴォルフガング 山崎育三郎
コンスタンツェ 生田絵梨花
ナンネール 和音美桜
アルコ伯爵 武岡淳一
エマニュエル・シカネーダー 遠山裕介
ドクトル・メスマー 戸井勝海
アマデ 加藤憲史郎
ヴァルトシュテッテン男爵夫人 涼風真世
感想
いくちゃんコンビ(山崎育三郎×生田絵梨花の組み合わせを勝手に命名)を拝見してきました。
この作品は以前、井上芳雄くんの回を観て以来、2回目。
いつものB席より観劇。
山崎育三郎くんのヴォルフガング、素晴らしかったです。
井上くんがいた頃は、何となく押され気味でしたが、今は役が身体に馴染んでよく声が出て動けていました。
生田ちゃんは、これからに期待ですね。
まだまだコゼット的あどけなさが抜けませんね。
比較というわけではないのですが、今回拝見して、ソニンちゃんのコンスタンツェがどれだけすごいのかというのが、はっきりしました。
若手が主役級で、その脇を固める、山口さん、市村さん、涼風さん、阿知波さんたちがまた素晴らしいのです。
舞台全体としては、随所に色々なジャンルのキャッチーなナンバーが散りばめられていて、観るものを飽きさせません。
「僕こそ音楽」、「影を逃れて」、「愛していれば分かり合える」、「星から降る金」、「ダンスはやめられない」など。
比較的勢いのある一幕と比べて、二幕は少し弛みますが、ドラマの要素が強まる印象です。
何度観ても、涙してしまうのは、レオポルトとヴォルフガングの関係性ですね。
やはり、私は親子ものに弱いらしいです。
『マンマ・ミーア!』の母娘関係にも号泣してしまうので。
父に認めてもらいたい一心のヴォルフガング。
息子を愛するからこそ厳しくするレオポルト。
いつの時代も親子ってすれ違い、時に傷つけ合いながら、お互いに成長していくんですね。