『オペラ座の怪人〜ケン・ヒル版』とは
1976年に初演された、ガストン・ルルーの同名小説を元につくられたミュージカル。
同じ題材を扱ったアンドリュー・ロイド=ウェバーのミュージカル(1986年初演)の方が巷では知名度が高い。
ケン・ヒルはロンドンを中心に活躍した劇作家、演出家として知られる。
あらすじ
「パリのオペラ座には幽霊が住んでいる」という噂が囁かれていた。
関係者たちは幽霊にまつわる慣習を守るようにと新支配人リシャードを諭すが、彼は全く取り合わない。
その夜、無名のコーラスガール、クリスティーンが歌姫カルロッタの代役を務めたオペラ『ファウスト』の公演で、出演者が不慮の死を遂げる。
遺体のそばには、幽霊からの謎のメモが添えられていた。
そして、幽霊からの突然の手紙がリシャードの元に。最高のボックス席の独占とクリスティーンの起用を求める内容に、リシャードはクリスティーン自身が関わっていると疑い、彼女を解雇する。
支配人の息子でクリスティーンの恋人のラウルも、彼女の楽屋から聞こえた謎の男の声に嫉妬し、かばおうとしない。
ところがそんなとき、カルロッタがどうしても歌えないと訴える。
喉を痛めたというが誰かに脅迫されている様子。
舞台にはカルロッタが立ち、歌はクリスティーンが歌うという妥協案がとられることになる。
だがその夜の『ファウスト』もまた、思わぬ大事故に見舞われるのだった。
動揺するクリスティーンは謎の男との不思議な体験をラウルに打ち明け、逃避行を約束する。
しかし物陰には謎の男=ファントムの影が。
恋が叶わぬことを知り、『ファウスト』のマルガレーテ役を演じることに。
これで騒ぎは収まるとリシャードは安堵する間もなく、今度は上演中の舞台からクリスティーンが消えてしまう。
彼女を救うために、謎めいたペルシャ人とともにオペラ座の地下に足を踏み入れたラウルたち一行を待ち受けるのは…。
キャスト
(会場にキャスト表が無かったので、公式HPに掲載されているもののみ)
ファントム John Owen Jones
クリスティーン Helen Power
感想
ALW版と比較して、クラシック、オペレッタ寄りという印象を受け、オペラ座という舞台に合ったナンバーで彩られている印象を受けました。
これはこれでよし。
ただ、今回の観劇で、改めてALW版のロック調のナンバーが、恋慕や嫉妬をいかに巧みに表現しているか、浮き彫りになったのも事実です。
また、ALW版よりもファントムの出番が少なく、『レ・ミゼラブル』のジャンバルジャン役としても知られるJOJの出演は二幕のごく終盤に限られていて、少し物足りなかったです。
確かにオペラ座の荘厳な雰囲気に合ったナンバーではありますが、笑いのシーンを増やしてもやや冗長になってしまった感じは否めず、もう一度観たいという類のものではありませんでした。
あまりにALW版に慣れ親しんでしまっているせいもあるかもしれませんが、少なくとも私はそうでした。