『キス・ミー・ケイト』とは
1953年公開のミュージカル映画。
1948年ブロードウェイ初演のミュージカルを映画化したもの。
音楽は、コール・ポーターによる。
シェイクスピアの『じゃじゃ馬ならし』上演の裏側を描いた、舞台物ミュージカル。
あらすじ
フレッドの元に、コール・ポーターが『じゃじゃ馬ならし』を元にしたミュージカル『キス・ミー・ケイト』の楽譜を持ってやって来た。『キス・ミー・ケイト』はフレッド、その元妻のリリー、若手女優のロイスらが出演することとなる。公演初日、フレッドは若手女優ロイスに向けて花束を贈るが、誤ってリリーの元にその花束が届いてしまう。リリーは花束を受け取って上機嫌だったが、1幕の途中でロイス宛だったことがわかってしまう。怒ったリリーは幕間で帰ってしまうのだが・・・
キャスト
フレッド ハワード・キール
リリー キャスリン・グレイソン
ロイス アン・ミラー
コール・ポーター ロン・ランデル
ビル トミー・ロール
リッピー キーナン・ウィン
グレミオ ボビー・ヴァン
バプティスタ クルト・カズナー
ホーテンシオ ボブ・フォッシー
感想
MGMの集大成とも言いましょうか。
本当に素晴らしいミュージカル映画です。
コール・ポーターの陽気な音楽、楽しい脚本、アン・ミラーをはじめ名ダンサーたち。
ミュージカルには、舞台にまつわる場面や舞台の裏側を描いた作品がたくさんありますが、これもそう言った舞台物の一つです。
シェイクスピアの『じゃじゃ馬ならし』は、概要を言うと、結婚をしない娘たちとその父親、そして彼女たちにYESと言わせようとする男たちの物語です。
フレッドは元妻のリリー相手に、結婚を承諾させようとする役を演じるのです。
仕事とはいえ、大変ですね。
劇中に、さらに怒らせてしまうのですから、もうどうしようもありません。
しかし、リリーが帰っても、どんなことが起ころうと、show must go onなのです。
脚本が本当によく作られているし、音楽とダンスが見事にマッチして、何度見ても感嘆してしまいます。
ダンスに関しては、アン・ミラーが冴え渡っています。
「Too Darn Hot」のタップダンス、「Tom Dick or Harry」も素晴らしい出来です。
さらに、ここで、「Tom Dick or Harry」で若き日のボブ・フォッシーを見逃してはいけません。
Kiss Me Kate---TOM, DICK OR HARRY
音楽はコール・ポーターの名曲ばかりで、書ききれませんが、「So in Love」「Always True To You (In My Fashion)」「Too Darn Hot」などなど。
So In Love (from Kiss Me Kate) || HQ
ハワード・キール、キャスリン・グレイソンのコンビは、『ショウ・ボート』でも素晴らしかったですが、この作品ではいぶし銀と言いますか、いい味のある歌声、演技を披露しています。
なんと言うか、この作品はミュージカル映画黄金期の華やかさそのものであり、これを見るたびに、失われていく世代を思い、悲しい気持ちになってしまうのです。