『The Inheritance』とは
2018年3月にロンドンでプレミア公演され、2019年にブロードウェイで初演された舞台。
Matthew Lopez作。
E・M・フォースターによる小説「ハワーズ・エンド」にインスパイアされて作られた。
演出はStephen Daldry。
あらすじ
トビーとエリックはゲイのカップルで、ニューヨークに住んでいる。
トビーが手掛けた小説が舞台化されることが決まり2人は喜ぶが、トビーはその舞台で主演する俳優のアダムと関係を持ち、エリックと破局する。
エリックは年上のウォルターと仲良くなり、ウォルターは自身の別荘をエリックに相続させたいというメモを残すが、ウォルターのパートナーだったヘンリーはそのメモは無効であるとして捨ててしまう。
その後、紆余曲折ありエリックとヘンリーは結婚する。
・・・(以下、割愛)
ニューヨークに生きるゲイを三世代にわたって描いている。
キャスト
Eric Glass Kyle Soller
Tobby Darling Andrew Burnap
Adam / Leo Bradley James Tejeda
Morgan / Walter Poole Paul Hilton
Henry Wilcox Tony Goldwyn
Jasper Jake Odmark
Toby's Agent Jonathan Burke
Young Henry Carson McCalley
Tristan Jordan Barbour
Jason #1 Darryl Gene Daughtry Jr.
Young Walter Dylan Frederick
Jason #2 Arturo Luis Soria
Margaret Lois Smith
感想
part1とpart2に分かれ、全編6時間半にもなる超大作でした。
私は1日で両パートを観ましたが、正直ちょっと疲れてしまいましたが、作品の世界にどっぷりと没入できたという点では良かったのかもしれません。
大袈裟ではなく、今まで見た舞台作品の中でダントツで強烈な印象を残し忘れられない舞台作品となりました。
▼trailer
The Inheritance | Broadway Trailer
▼観劇後の感想
『The Inheritance』part1終了。話題の新作プレイ。3時間15分、圧倒され続けた。とてもかいつまんで話すことはできない。何度も笑って、何度も息を飲んだ。シンプルな舞台で大勢の登場人物を1人多役で演じる。計算された身体動作。音楽も美しい。そしてこれから続けてpart2へ。 pic.twitter.com/dPdxZ8BZXb
— るん / Lune (@nyny1121) 2020年2月23日
Part 2終了。これは劇場以外では決して経験できない「旅」だね。語彙が足りない…すごい体験だなと。1,2合わせて300ドルって高いと思ったけれど、観劇後はむしろ安すぎと思ってしまう。何度も観たいわけではないけれど、一生記憶に残る追体験だろうな。同じ日にプレイのマチソワは疲れる…はぁ…(放心
— るん / Lune (@nyny1121) 2020年2月24日
上記のあらすじはフルで思い出すことはできなかったので、割愛して書いていますが、ゲイのコミュニティ内の人間関係を描いた作品です。
ライトグレーの舞台上には同色の板が置かれ、その板の周りに全てのキャストは座り、登場人物がその板の上で演じ、物語は語られていきました。
それ以外の舞台装置はなく、非常にシンプルなものでした。
板の周りで待機しているキャストはパソコンを出して何か打っていたり、飲み物を飲んでいたり、自由に振る舞っていました。
一息でも違うと全てが狂ってしまうような緊張感の中で演じられていました。
ニューヨーク、特にブロードウェイはゲイとの関わりが深く、舞台業界には非常に多くいて、彼らの歴史は差別や偏見、HIV感染症などとともにありました。
私はゲイではありませんが、ジェンダーは関係なく楽しめる作品だと思いました。
なぜなら、誰かを求めたり、誰かに裏切られたり、自暴自棄になったり・・・と、人を描いている作品だと思うからです。
数多くの登場人物の中、観客の誰もが誰かに自己投影して観ていたはずです。
キャストは多くはおそらく無名(私が知らなかっただけかもしれませんが)の若手でした。
母国語でないプレイだとミュージカルよりも観るのに集中力を使いますね。
少し集中力が切れると全く分からなくなっていて、とてもいい英語のトレーニングになりました。
▼SDでの様子