『ガラスの動物園』とは
1944年初演のテネシー・ウィリアムズ作のプレイ。
今回はフランス国立オデオン劇場からの招聘公演で、フランス語で上演され、日本語と英語の字幕が舞台上に表示された。
演出はイヴォ・ヴァン・ホーヴェ。
あらすじ
有名なので割愛。(気になる方は戯曲を読んでください。)
キャスト
トム・ウィングフィールド アントワーヌ・レナール
ジム・オコナー シリル・ゲイユ
感想
2022年に観た舞台の中でベスト3に入る観劇体験だったので、記録に残しておきます。
ほぼTwitterに書いたので、そのコピペですが下に貼っておきます。
イヴォさん演出は2019年のブロードウェイでの『ウェスト・サイド・ストーリー』再演以来でした。
このWSSのイヴォ演出は映像を多用していたり、大幅に楽曲がカットされて短縮されていたりといった特徴が自分には響かなかったので、この『ガラスの動物園』も観に行くか迷ったのですが、テネシー・ウィリアムズの作品の中で1番好きなので行ってみました。
『ガラスの動物園』閉塞感を表した舞台セットの壁には無数の顔。蒸発した夫・父の面影なのか。知らぬ間に退学していた障がいをもつ娘ローラ、夜な夜な彷徨い歩く息子トムの将来を、執拗に案じる母アマンダ。ジムの訪れによって起きたローラの変化に、私は希望を持ちたいと強く思った。 pic.twitter.com/HNGb0kmET9
— るん / Lune (@nyny1121) 2022年10月1日
横に長い長方形の舞台空間で、もぐらの穴のような地下の部屋に家族が暮らしているのですが、その背景は毛足の長い絨毯のようなフサフサした素材でできています。
しばらくその背景を眺めていると、陰影がなんとなく人の顔のように見えてきます。
いや、シミュラクラ現象じゃないかとも思ったのですが、別の場所にも複数箇所で人の顔があり、やはりこれは意図的なものなのだと確信しました。
不在の父を暗示しているということは後で知りました。
この顔は途中で消されていましたが、それが何を意味していたのかはわかりませんでした。
WSSでみられたような映像を用いる手法よりも、こういったある意味アナログな演出の方が個人的には好きです。
Ivo Van Hove演出作品はBWでのWSSぶり。映像を含めると『Lazarus』も。WSSは酷評しちゃったけれど、今回は本当に観られて良かった。今回も雨は降ったけれど映像なし。雨漏りの音もリズミカルでBGMだった。青白い照明が美しい。リフティングも繰り出されたローラとジムのダンス。ローラの透き通る歌声。 https://t.co/IBPRZKn8Qh
— るん / Lune (@nyny1121) 2022年10月1日
ローラの身体的な障害は演じられておらず、それが斬新に感じられました。
私はアマンダは毒親とは思わなかったな。親なら子の心配をして当然。トムがゲイという解釈なのはみなさんのスペースで初めて知った。昔戯曲を読んだ時は考えもしなかった。テネシー・ウィリアムズ自身がそうだったし、具体的にクィアについて書けない時代だったのね。一列前に河瀬直美。
— るん / Lune (@nyny1121) 2022年10月1日
学生時代に戯曲を読んだ時はトムがゲイということはあまり考えていませんでしたが、これは有名な話だったのですね。
今日観た『ガラスの動物園』でローラが歌っていたこの曲が脳裏に焼きついている。日本語では「黒い鷲」というのね。劇中では勿論フランス語だった。いま日本語で歌詞を噛み締めながら、その時の彼女の気持ちを想像した。半世紀以上も前の曲なのね。https://t.co/32ABT6eTXj
— るん / Lune (@nyny1121) 2022年10月1日
帰り道、このバルバラの歌う「黒い鷲」と言う曲が頭から離れませんでした。
簡単ですが、備忘録として残しておきます。