ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『Little Shop of Horrors』2019.9.23.20:00 @Westside Theatre/Upstairs

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『Little Shop of Horrors』とは

1982年にオフオフブロードウェイを経て、オフブロードウェイで初演されたミュージカル。

1960年の同名の低予算映画を基にしている。

作曲はアラン・メンケン、作詞はハワード・アシュマン。

本作をきっかけにして、メンケン&アシュマンコンビはディズニーに声をかけられ、のちにディズニールネサンスの一連の作品を担当することになる。

今回の演出はMichael Mayer

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あらすじ

アル中が徘徊するような貧民街(スキッド・ロウ)で生まれ育ったシーモアは、閑古鳥の鳴く花屋の店員として雇われていた。
皆既日食の起こった日、偶然手に入れた不思議な花に、片思いの女性の名前にちなんで“オードリーⅡ”と名づける。
それを花屋のショーケースに出すと、みるみるうちに客が押し寄せ、店は大繁盛。
新聞やTVの取材など、シーモアの人生は一転し、一躍有名人になる。
しかし、“オードリーⅡ”の大好物は、なんと人間の生血だったのだ。
シーモアは自身の血を与えるが、それだけでは足りない。
そこで、オードリーの恋人で、暴力ばかり振るうS気質の歯医者・オリンを“オードリーⅡ”に与える。
オリンの消失後、シーモアはオードリーと恋仲になるが、“オードリーⅡ”の食欲は衰えず、その矛先はオードリーに向かう。

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キャスト

Seymour    Jonathan Groff

Audrey    Tammy Blanchard

Orin & Others    Christian Borle

Mushnik    Tom Alan Robbins

The Voice of Audrey II    Kingsley Leggs

Ronnette, an Urchin    Ari Groover

Crystal, an Urchin    Salome Smith

Chiffon, an Urchin    Joy Woods 『I Can Get It for You Wholesale』

Audrey II (manipulation)    Eric Wright, Teddy Yudain, Kris Robert, Chelsea Turbin

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感想

今回一番期待していたミュージカルといっても過言ではない公演でした。

映画版が大好きで何度も見直した作品に、ジョナサン・グロフとクリスチャン・ボールが出演するのですから。

▼紹介動画


Jonathan Groff & More Talk Bringing LITTLE SHOP OF HORRORS Back to Its Off-Broadway Roots

▼観劇後の感想です。

※今回の公演で新曲はありませんでした。誤った記載です。すみません。

まずクリスチャン・ボールの一人多役には驚かされましたし、彼の俳優としての矜持を強く感じました。

ホームレスでもおばあちゃんでもサラリーマンでも何でもござれ!とでも言わんばかり。

オープニングからして、「あら?すごく観たことがある人がいる!」と思ったら、アル中役のクリスチャン・ボールだったのです。

彼の役名をよく見ると「Orin & Others」となっているけれど、othersがあまりに多すぎて、役に合わせて衣装だけでなく声色まで変えて、よくここまで演じ分けられるなぁと驚愕しました。

また、下のような衣装の場面もありました。

これは私の深読みかもしれませんが、ミュージカルファンであればこのシーンで『Legally Blonde』のElleを思い起こすことでしょう。

彼も『Legally Blonde』のオリジナルブロードウェイキャストでエメット役を演じていましたが、Elle役のLaura Bell Bundyと不倫したことがきっかけで(あくまで噂)、Sutton Fosterと離婚したことは有名な話です。

Elleのようなショッキングピンクの衣装で登場するということは、ある意味、自虐ネタなのかなと個人的に思ってしまいました。

ジョナサン・グロフの素晴らしさは、歌と演技の完璧さはもちろんだけれど、健気でウブなシーモアの雰囲気が出ていたこと。

全身から汗、台詞のたびに唾を撒き散らしながら、全身全霊で役を全うしている彼にしびれました。

彼は『Frozen2』のPR活動を挟みながら、なかなかハードな公演スケジュールをこなしていましたが、後述するファンサービスも非常に丁寧で、さらに好感が持てました。

▼ジョナサン・グロフのインタビュー動画


Show People with Paul Wontorek: Jonathan Groff of LITTLE SHOP OF HORRORS

また、オードリー役のTammyさんは、ABCテレビの『Life with Judy Garland: Me and My Shadow』でジュディ・ガーランドを演じたことがあるのですが、本作の雰囲気も何だかジュディに似ていました。

最初、ジュディが蘇って舞台に現れたのかと思ったほど。

私だけかなと思っていたら、観劇後のSDで隣だった方とも「そっくりだったよね」とハモってしまいました。

オードリーはオリジナルと映画版のエレン・グリーンのイメージが強く、オードリーはブロンドでもっと若い方がいいという意見もありました。

でも、男性が年上のお姉さんを好きになることもよくあるし、これもいいのではと個人的には思いました。

(逆に、日本は実力の不確かな若手を起用しすぎなのですよ。日本のロリコン文化には辟易します。)

オードリーIIは蛍光グリーンで、4人がかりで動かす形。

舞台はシンプルながら、歯医者の医療器具など小物はしっかり作り込まれている印象でした。

この作品のラストは、もともと悲劇でしたが、その後、観客の声に合わせてハッピーエンディングに変更され、映画もそのエンディングになりました。

その後の舞台プロダクションでは、公演ごとにどちらのエンディングにするか選ばれるようになりました。

今回は、オリジナルのサッドエンディングで、登場人物全員がオードリーIIになるというショッキングなエンディングでした。

SDもなかなか玄人度が高く、周りの方とおしゃべりするのが楽しかったです。

一番仲良くなったのが元CAのお母さんと娘さんで、娘さんはブロードウェイ女優を目指していて、ジョナサン・グロフのレッスンも受けたことがあるそうで、実際にそのことを楽しそうにグロフと話していました。

▼オードリーを演じたTammyさん

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▼オリンだけでなく様々な役を演じ分けたクリスチャン・ボール
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▼ジョナサン・グロフは自撮りを手伝ってくれました。
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▼クリスチャン・ボールとも一緒に写真を撮れましたが、私が目を閉じてしまったので、また次回。
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大げさでなく、一生の思い出になりました。

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